バージニア労働者

アメリカで働くってどんな感じ?アメリカの企業で働く統計アナリストの労働ブログ。アメリカ生活小話や猫も登場。

自由な猫

2018年09月25日 | 猫の話
うちの猫は100%Indoor Cat(家猫)で、外に全く出さない。

本人(フリちゃん)も外に出たことがないので、家の中が彼女のお城だと知っているのか

彼女も外に出ようとしないし、ドアを開けたところで外の様子を恐々と部屋の隅から覗くぐらい。



大切に安全に育てて、長生きしてもらいたいと望むなら絶対に家の中で育てるべきだと思う。



そういう一方で、散歩に出ると家の中と外の生活を許されている猫もいて、

いつもの散歩道で出会う常連の「お友達」に会うのも非常に楽しみではある。



今日はまず、黒猫のララちゃんに会った。





瞳の色が違うだけで、小柄なところがミディに似ている。

とても私たちに懐いていて、私たちが通りかかるといつも近くに来てくれる。

今日も10分ぐらい戯れて、また来るねと言って別れた。

彼女は黒猫なので、緑の芝生の上でくつろいでいるととても絵になる。



次に会ったのは、正確な名前を忘れてしまったので勝手に命名した猫、CowCow(キャウキャウ)。




何でCowCowなのかというと、牛に模様が似ているから。





彼女もとてもフレンドリーなんだけど、ララと全く違うところは

彼女、牛みたいな毛皮を身に着けていながら中身はターボエンジン搭載で、

いつも全力でこっちに突進してくる。

今日もいい加減走り回ったと思ったら、おもむろに自分ちの木に飛びかかって上へ上へと昇ってしまった。





いつもこうやって木登りしているからなのか、体も筋肉質で(Chieさんが好きな筋肉さんよ!)うちのお姫様とは大違い。

楽しそうで、下から見ていると「あはははは」という笑い声が聞こえてきそうなほど。

ハニバニが「猫って上へ登っても降りる方法を知らんのんが多いよね。降りれるかな。降りる?ジャンプする?」と

手を差し伸べるけど



「ありがたい。では。」とジャンプするわけもなく、暫く枝から枝へ渡っては毛繕いを楽しんでた。

CowCowは自由だな。

降りてくるところを見届けたかったけど、うちのフリちゃんも待ってることだしと、CowCowにもまた来るねと言ってバイバイした。



それにしても、暦の上ではもうすっかり秋なんだよね。

夏はいきなり登場する感じだけど、秋って静かに忍び寄るね。

影も長くなってきたよ。



影だけ見てると、足長に写真を加工しまくる芸能人のインスタ写真のよう。

加工写真といえば、自己満足だけならまだ許せるとして、他人を巻き込んじゃうのはダメだよね。

こんなんとか(ネットで有名)。






家に戻ったら、隣のベイリーがガレージの前で待ってた。



散歩から帰るとハニバニにおやつを貰うのが嬉しくて嬉しくて、尻尾を千切れんばかりに振ってるのが可愛い。

猫が尻尾ブンブン振るのって、最高にムカついてる時なんだよね。

終いには床に尻尾バンバン叩きつけたりするもんねえ。

「ええ加減にしとかんと、もうすぐ堪忍袋の緒が切れるで。」みたいな。



家のドアを開けたらフリちゃんが椅子の上で佇んでいて、静かに私らの方を見つめてたわ。

外でよその犬猫と戯れてた事がバレたかな...。








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★Bruno Marsコンサートに行ってきた(2018)★

2018年09月20日 | アメリカ生活
水曜日は1時間ほど早めに職場に行って、どうしても提出しなければならないレポート数個済ませると

走るように退社した。

朝から興奮が止まらなくて、ソワソワしていたからレポートにエラーがなければ良いのだけど...。



さっさと昼食を済ませて二人はいざフィラデルフィアへ。

渋滞にも引っかからず、3時間で到着。

その前にコンサート会場から車で30分ほど離れたハニバニの兄家族の家へ向かう。

近い所にいてちょうどいいので、コンサート前に一緒にディナーをする予定にしていたから。



彼らは犬を2匹飼っている。


Minaちゃん



Brody君


大きさは違えど良く遊ぶ2匹。見よ、この臨場感溢れる写真を。




うちには静かな1匹しかおらんので、なんかとても賑やかだったわ。

私の生活にはやっぱり猫が合ってるわと、しみじみと思ったりもする。

でも慣れてくると、ごろんと私の体に横付けして眠るのよ。どんな動物でもそういう仕草にはキュンとするわね。

手を伸ばして、フリちゃんにいつもするように体を撫でてあげたけど、喜びの『ゴロゴロ』という音がしなくて(犬だからね)

なんか物足りなかった。




ディナーはサンドイッチのデリバリーで簡単に済ませて、いざ出陣。

30分ほどであっさり到着。

都会の良いところは、行きたい場所が近場に凝縮されているところ。





会場になったこのWells Fargo Centerってね、すぐとなりにFootball Stadiumがあって(Philadelphia Eaglesの本拠地)



そのまたすぐ隣にはBaseball Stadiumがあって(Philadelphia Philliesの本拠地。実際その夜、試合をしていました)



すぐ近所にまたフィラデルフィア国際空港もあるっていう、非常に便利な都市なんだ。



さて、肝心のBruno Marsコンサート。



オープニングアクトはもともとCardi B.(Brunoと同様、R&B歌手)の予定とされていたのに

ツアーが始まってすぐに彼女が撤退を発表して、それでは誰がBruno のオープニングアクトの代理を?って思っていたら

なんと90年代のR&Bを代表するグループ、Boyz II Menに抜擢(みんな覚えてる?)。



私は90年代のR&Bが大好きなので、このコンサートは私にとって、一度に二度美味しい感じ。





彼らの歌声は、現在も健在。

懐かしかったなー。私が20代のころに売れてたもんな。

歌姫マライアキャリーとデュエットした曲(One Sweet Day)を歌うときに、

「マライアがいないから、彼女のパートはみんなで頑張って歌ってね。彼女みたいにこうやって手をかざして大きく振って歌って。」



と、彼女の真似をして笑いをとるユーモアのセンスがなかなか良かったです。




45分ほどのオープニングアクトが終わったら今度はBrunoのためのステージ準備へ。



今回のコンサートも去年と同様*Bruno Marsのコンサートに行ってきた*、すごい人。







Brunoのコンサートはこれで2回目でも、登場は決して色あせない。

とり肌バシバシ立った!

右側で、観客の興奮の渦に飲まれそうになって唖然としているハニバニの肩をバシバシ叩いて私も叫んでぴょんぴょん飛び跳ねて踊りだした。

今回は去年のように写真は撮るまいと誓ったので、写真はこの一枚のみ。



トークの時にパチリ。

両手に何も持たず、ただひたすら歌声に集中して一緒に歌って踊るのは、本当に楽しい。

写真撮らないで正解。

Bruno自身も「今夜は、もし良ければカメラ、携帯を置いて一緒に時間を過ごせたら最高だよ」と言っていたし。



1時間半という短いコンサートでも、物凄く楽しめた。

ハニバニはほぼ付き添いで来てくれたので、私ほどは楽しんでいなかったと思うけど

「ケイエスの喜ぶ顔を見るのが楽しかった。歌いまくってたねー。」と言ってくれたので良かった。

ただ、「Bruno Marsの一体どこが良くて世のレディースたちは熱狂するんだろ。」と言って腑に落ちない様子だった。

ロックファンにはBrunoの良さなんぞ、わかるまい。



コンサートが終わったら、その会場を離れるのが至難の業で、カオスそのもの。

去年もDCを脱出するのが大変だったけど、今回もカオス、カオス、カオス。

家に到着したのは午前2時半で、それから急いでシャワーを浴び、倒れるように眠りに落ちた。


今日、会社を休みにしといて大正解!!!


さあ、次はどのコンサートに行こうかな。






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Small Announcement

2018年09月18日 | お仕事
覚えていますか?

ケイエスが転職試験を受けたことを。

転職試験(前編)

転職試験(後編)




本来、結果は8月15日辺りに報告になりますということだったのでそのつもりでいたのに

その日が来ても、それから2,3日経っても全く何も報告がないので、これはサクラ チルを暗に示しているのだなと思い

どっちみち最初から掴みどころのない面接試験だったし、ああ、そういうことかと思って

その後にジョンとかメリルとかのエピソードもあったりでもう完全に頭から消えていた。




そしたら昨日の午後、面接官からミーティングの催促のメールが入っていて

びっくりしたけど即座に承諾する。

不採用の連絡なら電話でさっさと告げて終わればいいのに変なの...

これは。

まさか。

もしかして...。




そして今日の午後、会ってきた。

こないだの面接官のうち二人いて、「決定に大変時間がかかってしまって申し訳ありません。」と始まって、そして

「今日ここへ来てもらったのは、採用はうちのシステムをすでに知っている経験者になりました。

採用してすぐに実践させるためなのです。」

だったら最初から『経験者求む』にすれば良かったではないかと思ったが、

そう食いつくほどの意欲が私にあったかといえばそうでもないし、今の仕事の方が私にとってはやりがいがあるのかもと

面接で話を聞いていた時点で思っていたので、クールに「わかります。」と了解した。




不採用なのはまあ聞こえは悪いが、やっぱり自分には向いてない仕事内容だったんだろうと思う。

一応ここで転職試験を受けてみたと記事にしたので、報告ぐらいはしとかんと、結末のない話を聞かされるのもあれだし。

カッコ良い結果にはならなかったけど、今の仕事もやり甲斐あるので私は大丈夫だよ。

あの時は、応援してくれてありがとね:)



でー!

なんかここ最近いろんなことがあったけど、まちにまったあの人のコンサートに明日行ってくるよ。



キタ――(゚∀゚)――!!

今回はDCではなくて、フィラデルフィアまでちょと遠出なんだけど、それでもいいの。

いや、去年コンサート行ったときにね、写真撮りまくって、実際のコンサートに100%集中できなくてね、

これが最大の後悔だったの。

もしまた同じコンサートに行けるなら今度は彼に集中します!!!神様もう一度ブルーノに会わせて!!!

と思っていたら今年もまだツアーやってた❤

ハニバニがこそっと「お願いだから恥ずかしいことせんといてね」とか言うけど、恥ずかしいことって何よ?

精神をリフレッシュしてくるね。




今日、昼間はずっと曇っていたけど



夕方には綺麗な空に変わっていました。





なんか、私も頑張っていこう。
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Bite the Bullet(銃弾を噛む)

2018年09月13日 | お仕事


フリちゃんにも、いろいろと考えるところがあるらしい。









前回の記事の続きです。




「ダニー。おはよう。今日も頑張ってる?」と、すぐ隣のキューブにいるダニーにジョンが話しかけながら近づいてくる。

ああ、もう同じ空気も吸いたくない。顔も当分見たくない。声も聞きたくない。

どうかそのままどっかへ行ってくれますように。

そしてダニーと一言二言、世間話をしたジョンはそのまま私のキューブで立ち止まる。

「で?ケイエスはどうなの?How are you doing?」

私はゆっくりと顔を声の方向に向けると、そこにはちょっと困ったような、

それでいて悪意のカケラもなさそうなジョンの顔があった。

はっきり覚えている。

あの瞬間、確実に5秒ほどの気まずい空間があり、私はただ彼の顔を見上げていたと思う。

「あのメールは何ですか?ジョンはあれで気分は晴れたんですか?私は相当傷つきましたよ。」

頭の中ではそういう発言が用意されていたのに、咄嗟に口から出た言葉はまさかの

「ジョン、先ほどは失礼しました。」

するとジョンが言う。「ケイエス、ちょっと私のオフィスに来なさい。」

とうとうその時が来たかと思って立ち上がると、ブラッドも不安そうに彼のキューブから立ち上がって『何事???』って口パクで聞いてくる。




ジョンのオフィスに入ると、「ドアを閉めなさい」と言われたので、また重い話になるのは目に見えていた。

解雇または降格のWarning(うちの会社では何かのペナルティをした場合、2回3回目までは警告で、次は本当に解雇になる)かもと思って

処分は受けないとな、と覚悟はしていた。

かなり理不尽だけど。

不服申し立てしようかな。

「さっきは私の質問があんまり良くなかったね。謝るよ。」え?

彼が謝るなんて珍しい。そういえば、彼が謝るのを聞いたことがない。

そんな彼に詫びられて、ジョンはクソだと思っていても、その時はこう言うしかなかった。

「私がもっと言葉を選ぶべきでしたし、どんなことを聞かれてもいいように準備しておくべきでした。すみませんでした。」

ジョンによってせっかく再建された目の前の橋を、私から崩すわけにいかなかった。

「銃弾を噛む」Bite the Bulletとはまさにこういうことなんだろうなと思う。

ここはちょっと私が我慢しておこう。




少しの間ジョンは静かになって、それから

「その...準備ったって。メリルに突然同行を頼まれたんでしょう?そんなのいきなり、困るよねえ。

私はねえ、知っているんだよ。ケイエスがいつも全力でサポートしてくれてること。

まあ、このプロジェクトは、あれだ。もうどん底だよね。手におえん。」そう言って、大きくため息をついて窓の外を眺めてた。



その時、何か思ったんだよねー。

彼にもやっぱり上司がいて、ジョンの立場上、彼もまたものすごくプレッシャーを感じていてストレスなんだろうなと。

私はジョンに比べたらずっと下の方にいるから、まだ手に負えないことから逃げまくることができるけど

ジョンはきっとそういう無責任なことは許されないわけだし。

どんなにエライ人でも思わずブチ切れちゃって、わーわー言うとか、やっぱりあるんよね。

人間だもの(by みつを)

そしてジョンは顔を両手でゴシゴシこすって、何もなかったかのように

「イタリアのボブ(イタリア支部のマネージャー)がケイエスによろしくって言ってたよ。」とか笑顔で言う。

反射的に「ははは。そうですか。でもジョン、こうやって私とお話してくれてありがとうございました。」と言って、

私も頑張ってニッと笑ったら、大粒の涙がぼろぼろ出てきた。

安堵したと同時に、改めてこの人は怖いと思い、この先まじでこの人にあやふやなことは言うまいと思った。

ジョンは私だけでなく、メリルの気苦労とか涙さえ知っているのだろうか。

びっくりしたジョンが「もう、いいから。話ならいつでもしに来なさい。」と言ってくれ、

私は彼のオフィスを後にした。

それから私は無言で作成しかけたレポートを完成させ提出し、ジョンがそうだったように

私も何もなかったように残りの一日を過ごした。

金曜日に徴収された会議も、ジョンは潔くキャンセルした。





これが話の結末。

「私」の話の結末。

でもメリルの話の結末は、私のとは全然違う。





私がジョンのオフィスを離れた時点で彼女のオフィスのドアは閉ざされており、

その後聞かされた話では、彼女はそのまま家に帰ったということだった。

次の日(金曜日)も彼女は会社に来なかった。

そしてレイバーデイ明けの9月4日の火曜日に出社してきて、私がこの一連の話を記事にし始めた4日ほど前にオフィスに部署の全員を集めて

「明日から無期限で個人的な理由で休職することにしたので、今日が一応最後です。

バタバタしていきなりこんな形になって、みんなごめんね。」と発表した。

私を含めて、みんなにとってこれは物凄いショック。

何があったんだろう。

その後メリルは自分のオフィスを片付けて、「みんな、ありがとう」と言って、それ以上何もいわず去っていった。



噂では、ジョンの圧力、仕事のプレッシャーとストレスが重なり合っていて、このまま仕事を続けるのが困難になっており、

少し前に辞表を提出していたが、ジョンや人事課や他の幹部から

思い留まるよう説得されていたらしい。

結構な役職を持っていると、辞めることすらそう簡単にはできないのね。

でも、あの朝のジョンの一撃があったことで、迷わず職を離れることを決心したそうだ。




それ以来、メリルの部下である私の上司のブラッドとファイナンスチームのマネージャーのシャノンが

突然いなくなったメリルの仕事を埋めなくてはならなくなり、あの二人は自分たちのキューブから出てこれないほど多忙になった。

私というと、精神的にも全く打撃を受けておらず、今まで通り好きな音楽を聴きながら黙々と仕事をしている。




つい先日同僚で友人のデミ嬢に全てのことを話したら、

前回のコメントで、私よりも熱くジョンに対して怒りまくってくれたSoloPinさん、Chieさん、まこさんと同様

すごく怒って、ラテンの血が流れる彼女はそのままジョンのオフィスに行って、台風一過みたいに

彼のオフィスを破壊しかねない感じだった。(ちなみにジョンは今出張中)

そのおかげで、私は本当に気持ちがすっきりしたし(Thank you for your support!!!)

これからも自分がやるべき仕事を、淡々とこなすことだけに集中しようと思う。




お礼にというか、私の気が折れそうな時によく観るYouTubeの動画を紹介します。

私のブログに来る人が女性ばかりなので(多分だけど)、皆さんにも気に入ってもらえると思います。






長い、長い記事を最後まで読んでくれてありがとう:)















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もう頑張りたくない

2018年09月11日 | お仕事
とりあず、出だしでちょっと笑っとこう。



だいぶ前に撮った写真で、このブログでも使ったことがある。

なんかフリちゃんと小人が可愛かったのでパソコンのデスクトップにずっととってあったの。



さて、前回の続き。



メリルのオフィスで彼女とジャスティンと私の3人で話し合っていた時は

明らかにメリルの方が動揺していた。

あんなに動揺した彼女を見たことがなかったので、さすがに私も気持ちが重くなったわけだけど

そんなことがあってもまだ私は割と平気だったと思う。



30分ぐらい話し合った後、私はさっさと中断していた朝のレポートを仕上げようとOutlookのメールを開き、

ある一つのメールを読んだ時、私はそのまま心肺停止するかと思った。

ジョンからミーディングの案内が入っており、それは私個人宛ではなく、私を含めて複数のディレクター、ファイナンスチームのマメージャー、

幹部数名へ送られたもので、件名が「金曜日の9時」になっていた。数日後、また徴収がかけられる。

それだけでも気がぐんと重くなったが、問題はそれに続く文章だった。



「ちょっと一言言っておきたい。私は今とても憤慨している。

今起こっている一連の海外事業部の決算の問題、全てのデータを記号化しなければいけない法律の問題、

全てのプロジェクトの進み具合が気に入らない。誰一人、プロジェクトの進行状態を理解していない。

『ケイエスがそのプロジェクトを進めている』というので彼女に様子を聞いてみたんだが、彼女の口から出た言葉は

”I don't know"



頭の中でザーザーと雨が降るような音が聞こえた。

落ち着け。

落ち着け。

これは一体何が言いたいメールなんだ?

何度もそのメールに目を通して、改めて鉛を飲み込んだ気分になった。

これはもう他人事じゃない。しかも何これ。まさかの名指し

気が付いたら私はそのメールをプリントアウトし、それをぐしゃっと握ってメリルのオフィスに向かっていた。

ドアが閉まっていたけど、かまわずノックする。この胸の内を言える相手は今はメリルしかいない。

ドアが開いて、入っていくとそこには私の上司のブラッドが、これまた厳しい顔して座っていた。

「さっきのことをブラッドに伝えていたの。彼も知っておかないといけないから。」確かにね。

私はメリルにそのプリントアウトしたメールを突き出して、「これ、ちょっと酷すぎます。言葉をいきなり遮断したのはジョンなのに。」

今度はメリルよりも私が動揺する番だった。どうしよう。

しかし、理不尽な叱責だったとは言え、相手がジョンでは一大事だ。

怒らせた相手が非常にまずい。



メリルはブラッドに、ジョンが話の最後まで聞かずにいきなりブチ切れしたことや、

誰が聞いてもあれじゃ弁解の余地もなかったこと、

それから何も準備してない私にいきなり会議の同行を頼んであんなことになって申し訳ないと思ってるということを話したらしい。

ブラッドも、あのときジョンはもうすでに怒りの域に入っており、

誰が何を言おうと同じ結果だったのではないかと、しっかりフォローしてくれた。

メールのことは気にしてはダメよとなだめられて(それぐらい私はキーキー騒いでいたと思われる)

私は静かに自分のキューブに戻り、パソコンのロック画面のままの青いスクリーンを、ただ見ていた。



流石にもう、呑気にレポートを仕上げる気力なんかない。

突然、頭をよぎった言葉は『クビになるかも』ということだった。

だいたい誰も今まで、ジョンの質問に対して頭ごなしに「I don’t know」って言った人いないのではないか。

だからジョンも切れた?

でも質問の内容を理解せずにあやふやに話を進めても、すごく頭の切れるジョンなので、絶対に後で追及される。

そうなったら困るのは私なので誤魔化せんかっただけなのに。正直にわからんて言っただけだったのに。

このプロジェクトだって、本当ならもっと上の、主任とかマネージャーが取り仕切るべきなのに。

誰もいないから仕方なくシステムサポートの私が引き受けてるだけなのに。

ランチタイムもずっと仕事して残業して週末も仕事することだってあるのに。

こんなに頑張ってるのに。

ジョンのクソ。もう嫌だ。もう頑張りたくない。



そんな思いに、しばしの間、暗い情熱を燃やしていたら、ふとジョンの声が近づいてくるのが聞こえた。





ごめんなさい。またもや長くなったので続きはまた次回で。
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理不尽な叱責

2018年09月08日 | お仕事

この話、とてもややこしくて厳しくて、思い出すだけで気分が落ちそうになるけど

できるだけ完結に、かつ分かりやすく、私の文才でどれだけ表現できるかわからないが、

とりあえず自分自身の今後のためにも残しておこうと思う。



前回はハニバニの災難で、今回は私に降りかかった災いの話。







2週間前のある朝。

私は前日のセールスの解析に取り掛かっていた最中、ディレクターのメリルに「今からジョンとの会議に一緒に参加して欲しい。」と言われる。

ちょっと説明。この先の登場人物のポジション。

ケイエス(統計ジュニアアナリスト)<ジャスティン(ファイナンスチームのシニアアナリスト)
                      <ブラッド(ケイエスの上司)<メリル(ディレクターでブラッドの上司)<ジョン(組織幹部でメリルの上司)


右に行くほどポジションは上になる感じ。

会議の内容は私が前いた職場の海外事業部のこと。もう部署はなくなっているが、今回本格的にマーケティングから撤退する際の、決済の問題。

何がややこしいって、この決済には2つ大きな問題が残されており、凄い肩書があるわけでもないこのケイエスが

ただシステムのサポートをしていたシステムアナリストだったということだけで、

その2つの問題にどっぷりと拘わらなけばならなくなったということ。

その会議は、ジョンとメリルの二人だけで行われる予定だったのに、急遽メリルに同行を頼まれて

準備もしてないし、なんか嫌な予感だけがしていた。

何を聞かれて、何を話せばいいのか。



ジョンの大きなオフィスに入って、静かにドアを閉める。

ジョンはもうすっかり苛立ちながらパソコンに向かい合っていて

メリルは何も言わず下を向いて厳しい顔してるし、これから何が起こるのかわからない私は

ジョンとメリルの顔を順番にキョロキョロ見ては、ため息が出るばかりだった。



いきなりジョンが、「で?ケイエス、プロジェクトはどうなってるの?」

私は、「2つの別々のプロジェクトで仕事を進めてますが、わかりません、どちらのプロジェクトですか?」と言おうとしていた。

みなさん、倒置方ってご存知かな?

「空が、青いね。」の倒置法を使った文章が「青いね、空が。」になる。

こうすることで空の青さがぐんと強調されるので、文章では良く使われるテクニックの一つ。

別に私が不意に倒置法を用いてジョンとの会話に使おうとしていたわけではないが、後の方の文章が先に口から飛び出した。

つまり、「わかりません、」の「I don't know...」が、ジョンの質問に対する最初の回答だったわけだ。

次の「どちらのプロジェクトですか?」を言おうとした瞬間に、ジョンの言葉に遮られる。

「やっぱりそうじゃないか!そういう回答されるとは分かっていたんだ。
なんでお前らは俺の時間をこうやって無駄にするんだ。もう一回みんなで話をまとめて出なおせ!」


凄い剣幕だった。

そして彼はいきなり椅子から立ち上がり、ドアを開ける。これってまさに暗黙の

Get the fuck out! (出てけ)

ジョンはニューヨーク出身のやり手のビジネスマンで、気性が荒い。

彼に怒鳴られて、辞めていった幹部たちを私はたくさん見てきた。

まさか私も怒鳴られるとは。

幹部じゃないのに。



まあここでしょげてもしょうがない。分からないことを分かったように話すことがバカげたことなのに

素直にわからないと言って怒鳴られるのは気分が良いことではなかったが、考えてもしょうがない。

そして気を取り直して、さっきまでしていたレポートを完成させようと自分のキューブに戻ろうとしたら

メリルが「私のオフィスに寄ってくれる?」と言ってきた。

彼女のあんなにふるえる声を聞いたことなかったので、そこで改めて事の重大さに気が付いたのだった。



今度は彼女のオフィスに入り、静かにドアを閉める。

彼女はすでに涙目で、顔が高揚して赤くなっていた。

「ケイエス、ごめんね。急に会議に同行を頼んだ私がいけなかったの。ジョンはケイエスに怒りをぶつけたんじゃないのよ。」

ありがたいフォローだったが、胸の内の悶々とした気持ちは拭えない。

ここでファイナンスチームのシニアアナリのジャスティンをオフィスに呼ぶ。

そして改めて、2つのプロジェクトのシステムサポートとファイナンスサポートの今後の進め方について話合っていたその時。

メリルが顔をよそに向けたままじっとして動かなくなった。

不審に思ったのは私だけでなく、ジャスティンもそうで、お互いに顔を見合わせてメリルに視線を戻すと

彼女が静かに泣いていた。

彼女は私よりも若いのに、彼女のポジションのせいなのかとても落ち着いている。

彼女が声を上げ笑ったのも聞いたことがない。

あんまり感情を表さない感じの人なんだなとずっと思っていた。

そのメリルが泣いていた。

再び私とジャスティンが顔を合わせて、視線を落とす。何か気まずい。

それでもメリルは涙をさっと拭いて、何もなかったみたいに話を進める。



ジャスティンが入って来たときに閉め忘れたのか、ドアが少し開いたままになっていて

ちょうどジョンがドアの前を通りかかるのが見えた。その彼とちょうど目が合い、ギョッとする。

その目が私を睨みつけていたから。慌てて私は目を逸らした。

「機嫌悪いのはわかるけど、なんでそんなに私を睨むんだろ?」

その時は単にそうとしか思っていなかった。

でも私が自分のデスクに戻り、メールをチェックした時、自分がどんな悪い状況に晒されたかを知ることになる。




長くなるので続きは次回で。
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神様、僕が何かしましたか

2018年09月01日 | アメリカ生活
今回はハニバニの災難のお話。



先週の半ば、ハニバニの車のディーラーのメンテナンスミスで車をディーラーに預けていたのだけど

点検後OKが出たので土曜日にその車を取りに行ったの。

その帰り道の運転中、ハニバニが「何か感じが変なんだよねー。」とか言うのよ。

で、それからまた少しして「なんじゃこれ。ハンドルが水平じゃないじゃん。」とか言ってよく見たら

まっすぐ運転してるのに、ハンドルが左方面に曲がるかのように斜めになってた。

向こうのメンテナンスミスでハンドルのステアリングに油を差さなくてはいけなくなったから

それで預けていたのに、車が返ってきたらこんどはハンドルが水平に戻されてないとかあってはならないこと。

ハニバニがここの車を買うときに「この会社のはやめとけ」って言ったのに、その私の助言を無視して買うから。

いい車なんだけど、ディーラーが悪いと全てがもう悪く見えるよね。

しかもこのディーラーのメンテナンスミスは1回2回の話じゃなくて。



それからはもうハニバニが運転中怒りまくって(そりゃそうだ)「もうこの会社の車は絶対に買わん!」だの

「この車もさっさとトレードに出してやる!」だの、罵ってる最中にちょっとした渋滞に遭う。

渋滞は左折する車で連なっていて、ハニバニはただまっすぐに進みたいだけだったので

小さな段差のある道路を越して行けばその渋滞から逃れるような感じだったけど、その段差を無理に乗り越えて行く選択は私ならしない行為だった。

確かにハニバニも私もSUVを乗っているから「道なき道を行く」ことは可能のはず、なんだが、

だからと言って実際にやっちゃう人ってそんなにいないと思うんだ。

ましてや車に傷もつく可能性もあるわけだし。

なのに、ハニバニはそのディーラーに対する怒りでそういう理性を欠いていたからなのか、

渋滞を待ちきれずに段差を超えて運転を始めた。

私も最初は「おい。大丈夫か?」と思ったけど、そこはやっぱりSUV。ラフな路上もぐんぐん行きますよ!

といい感じに走り出し、最後にその段差のあるところから道路に戻った瞬間、

パン!と鳴ったかと思ったらシュゥゥゥー...と。

で、ハニバニがインディケーター画面を見て「あーーーーー。やっちまったよ。」

そこにはパンクがどの車輪で起きたかが掲示されていたわ。

ハイテクだねーと感心したけどハニバニはアンハッピー。

幸い、近くにあった住宅街に車を止めて、自らパンク応急処置。

男の人は本当にメカや車に強くていいよね。私なら躊躇せずにロードサイドアシスタント(JASみたいなやつ)に電話して来てもらうわ。



ハニバニ曰く、そんなに段差があると思わなかったけど、タイヤにかかった衝撃は結構あったんだなと。

それからしばらくして応急処置が終わって、予備のタイヤではスピードを出せないからそろそろと家に帰る。



「なんて日だろう。」と嘆くハニバニ。「神様、僕が何かしましたか?」



家に帰ったらドアに枯れ葉が引っ付いていて剥がそうと思ったら、それは枯れ葉ではなく蛾だったの。



自然は良くできてるねー、みんなこうやって生き延びるんだねと思って車をみたら



カマキリが引っ付いてた。

タイヤの応急処置の時、どさに紛れて車にくっついてそのままうちに連れてこられたらしい。

そっと離してうちの庭に放してやった。



そしてその夜。

悲しいかな、ハニバニの災難はまだ終わらない。



DVDを見ながらハニバニはクッキーにポップコーンをペプシで流し込んだあと何を思ったか

水(しかも大量)をがぶ飲み。

その直後、「う...ぷ。ちょっと気持ち悪いかも。吐いてくるわ。」と言い、私が「は?」と言うや否や

げぇぇぇぇ~~~

胃に入っていたもの、全部吐き出した模様。

心優しいケイエスはハニバニの背中を摩りながら「どうか私が貰いゲロしませんように」と祈らずにいられなかったわ。

どうやらクッキー、ポップコーン、ペプシで胃を満たした直後に大量の水でさらに胃が満たされ

それで胃がびっくりして逆流を起こしたらしい。

本人も吐いた後、「ああ、すっきりした~❤」と笑顔を送ってくる余裕まである。


お前はアホか。


と思いながら、急いで食べて胃がびっくりして吐いて瞬時にケロリとするフリちゃんを思い出した。

ホンマにアホだな、あの二人は。

そのフリちゃんもご飯を食べたら眠くなってぐっすり。





呑気なものだ。



さて、次回は私自身の災難の話です。



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