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2010.05.11 手編みのセーター



今年は、春になっても寒い日がいつまでも続きました。
ふと思いついて、ずっと昔に編んでいたけれど、少し高価な毛糸だったので、大切に
しすぎて、殆ど着ないでいたセーターを着てみるチャンスかも知れないと思いました。
昔、かぎ針編みで、何枚かのセーターを編んでいましたが、他は引越の時に処分して、
この1枚だけ大切に持って来ました。

それを着て、駅の待合室に座っていると、横の女性に声をかけられました。
「私は、長年洋裁を教えていて、編み物も教えていますが、こんなに、見事に
編み目が揃っているのは見たことがありません。手がとても良い方ですね。相当
編んだ方だと思います。」と言われたので、「私が編みました。」と言うと、
「そうですか。かぎ針編みは豪華ですね。」と言われました。

私は、嬉しくなりました。
そういえば、私は、中学生ぐらいから、編み物をやっていましたので、相当編んだ
人だと言われたら、そうかも知れません。
母が、近所の人に自慢したのか、編んでくれと頼まれて、断りきれずに
おしゃれな袋物等を、山ほど編んであげたことが、何度もあります。

これを編んだ動機は、職場の休憩室で、棒針編みの編み物が流行っていました。
当時の仲良しメンバーの中の二人が棒編みで編んでいた毛糸の質感といい色といい、
何とも素晴らしかったかったので、肩こり症の為、編み物は長らく止めていた私でしたが、
真似をして、同じ毛糸を買って来て、私は得意のかぎ針編みで編みました。
(といっても、私は、かぎ針編みしか出来ません。棒針編みは慣れていないので、
肩こりが、倍になりますから。)




その時編んだのが、このセーターです。
少し大きめに編んでいたので、その時はダブダブでしたので、がっかりして、でも
いつか着ようと思って置いていました。
しかし、今回着てみてびっくり、ピチピチになっていました。
おかしいな?そうか、自分が太ったからだと思っていると、クリーニング屋さんに
勤めている友人が、教えてくれました。
「毛糸は、洗わなくても、ただ置いているだけで、年々縮んで行くのよ。」とのこと。
へ~? そうか、30年も置いていたので、相当縮んだ訳ですよね。

その時の2人(棒針で編んでいた)に電話してみますと(当時の仲良し5人組は今も
付き合っています。)、一人は、あのセーター確か編んだよね。でももうどこに
行ったか分からないと言い、もう一人は、気に入っていたので、最近まで着ていた
けど、さあ、どうしたかな、もう無いかもしれないと言っていました。
二人共懐かしそうでしたが、私が遅れて編んでいたことは、全く知りませんでした。
私が、かぎ針編みが出来ることさえ、知らなかった模様です。
かぎ針の場合は、型紙を取って、それに合わせて編んで行くので、私は自宅で夜に
編んでいたのです。

先月のお墓参りの時,これを着て行きましたら、兄も兄嫁も、驚いていました。
私が、まさか編み物が出来るとは知らなかったと…。

それで思い出しましたが、私が高校生の時、母に毛糸を買って欲しいと頼みましたが
買って貰えず、母は、白い毛糸が古くなって灰色になっていて、沢山繋ぎ目のある
(昔は何度も、編み替えていたので、それが当たり前でした)、汚い色のちりちりの
毛糸の玉をくれました。

私は、それでも喜んで、松編みの見事な袋物を編み上げました。
母がそれを見て衝撃を受けたらしく、「すまんと思う。」と、胸を突かれた様に低い声
でひとことだけ言ったのを、思い出します。
出来上がったものを見て、母はあわてて洗ったらしく、窓辺に干されていました。
そう言えば、その袋物は、素晴らしい編み目だったのを、はっきり思い出します。
でも、さすがにみすぼらしかったので、私は持つことはなかった様に思います。
ずっと後で、母の持ち物の中に、大切に保管されていたのを見た様な気がします。

でも、今回専門家に言われる迄は、自分が編み物上手だとは思っていませんでした。
専門家に言われて、そう言えば、私も、なかなかの腕だったのだと納得しました。
引越の時に、大切にこの1枚を持って来て良かったなと、しみじみ思いました。

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