12.8テレビ東京「カンブリア宮殿」は劇的に素晴らしかった。
登場したのは「チームラボ」の猪子社長だ。徳島県の山奥出身で、東京大学を卒業後、就職せずに仲間と起業した。
細々と事業を続けていた時、村上隆氏が展覧会企画に参加させてくれたのが飛躍のきっかけとなった。
彼の発想の原点は、子どもの頃、森の中で写真を撮ったか、現像した写真を見て、そこには自分がいないことに違和感があった、という個性的な感覚だった。切り取った静的な写真は現実と受け取られる。そこには動きがなく、区切られたものだが、現実として固定される、いわば分断の世界なのだ。
世の中を見回してみると、国境も自然と人間の関係も同様である。彼は、それならば境界をなくすことを目指したのである。
具体的に述べれば「チームラボ」は、DMMのオフィスを設計している。
クライアントが入口から入ると、デジタル動物が歩きまわっている空間に驚き、受付を担当する動物が客を迎え、予約してある部屋まで案内してくれるのだ。
さらに、りそなグループのグループアプリも開発し、グッドデザイン賞を受賞した。
依頼したりそな銀行の担当者は、アプリ開発を「チームラボ」に依頼した理由を「銀行の知識だけでは新しいものができない。彼ら専門知識集団のチーム力に期待した」と述べている。
猪子社長は、社内の人事制度でも「肩書きで人の能力が変わるとは思わない」と考え、全く頓着していない。
「一緒に友達と会社作ってよかったな。自分は会社の売り上げも知らない。みんなに任せている。メンバーと一緒に仕事をやればやるほどうまく行く。他者と共に何かを創り出すことは楽しい」と言う。
それこそが、これからの日本に必要な観点だと、私は思った。今の教育を見ると、「テストは1人の作業」だから、そこに価値をおき過ぎると「共創」という発想が生まれない。
「なんと素晴らしい考え方ではないか!」と私は強い共感を覚えた。
自分が関わっているOB会や校友会の行く末を想うとき、たくさんの学びがあった。
つまり、「境界をなくし、仲間と一緒に、専門外のことは詳しい仲間に任せ、チームワークでやっていけば、前途洋々なのだ」という確信と勇気を得たのである。