ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

落語の時代考証~落語の国からのぞいてみれば

2008-12-28 18:49:57 | 本の少し
落語の国からのぞいてみれば
~堀井憲一郎~
講談社現代新書・740円
☆☆


夏に読んだ本ですが、さかのぼって感想を。
江戸落語が九割で上方落語は少ないが、
落語の世界の、江戸時代の生活振りを紹介。

第七章、みんな走るように歩いているでは、
旅の噺はドル箱シリーズで、特に上方には旅の噺が多い。

「ここにおりました喜六、清八という二人連れ、
だいぶ時候がようなったさかい、ひとつ、伊勢詣りでも
しょやないかと、不精なやつで、でもつきの伊勢参詣り・・・・」
とお決まりの「東の旅」の始り。

この「東の旅」、「発端」、「煮売屋」、「七度狐」、「矢橋船」、「宿屋町」、
「矢橋船」、「宿屋町」、「三十石」とかがあると、作者は述べいるが、
「奈良名所」、「もぎ取り」、「軽業」、「桑名船」、「「こぶ弁慶」、
「京名所」などが更にあり、・・・・・・聞いた事の無い噺では
「運つく酒」とか「走り餅」とか、東の旅は、ほんま長旅でおますな。

上方落語には、東の旅シリーズのほかに、西の旅、南の旅、北の旅、
月の旅、海の旅、異国の旅、地獄の旅シリーズがある。
旅噺は、ドル箱シリーズなのだ。・・釣りバカシリーズみたいと。

上方では、前座が最初に覚えさせられるのが、「東の旅の発端」。
江戸では、「道灌」か、「寿限無」、「子ほめ」を覚えさせられる。

「ようよう上がりました私が初席一番叟、おあと二番叟に三番叟、
四番叟には五番叟、御伴僧にはお住持に旅に天蓋、銅鑼にニュウ鉢
影灯篭に白張と、こない申しますこちらは・・・・・・・・・」
と意味はよくわからない。・・・意味ある内容ではない。
でもリズムがあって、テンポがいい。

上方では、まず音楽としての落語を叩き込まれる。
そのあとに人を笑わせる噺を覚える。・・江戸では全く逆です。

江戸らしい旅噺は、たとえば「鰍沢」、「御神酒徳利、「富士詣り」
「小間物政談」あたりになる。「二人旅」、「三人旅」、「大山詣り」
「宿屋の仇討ち」、「祇園会」あたりが少し底抜けかなと。

上方の旅の噺は、実際に移動しているさまを見せてくれる。
江戸の旅噺は、旅の途上に出てくる人間の業を見せてくれると。
落語の両面と言う。、筆者は京都出身で、上方落語が随所に顔を見せ
そのあたりは、興味深く読める。

あとがきのそのまた後ろ、
参考文献的おもしろかった本解説と、登場落語の解説も面白い。

落語の国、いや江戸の国からのぞいてみればですな。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする