落語の国からのぞいてみれば
~堀井憲一郎~
講談社現代新書・740円
☆☆
夏に読んだ本ですが、さかのぼって感想を。
江戸落語が九割で上方落語は少ないが、
落語の世界の、江戸時代の生活振りを紹介。
第七章、みんな走るように歩いているでは、
旅の噺はドル箱シリーズで、特に上方には旅の噺が多い。
「ここにおりました喜六、清八という二人連れ、
だいぶ時候がようなったさかい、ひとつ、伊勢詣りでも
しょやないかと、不精なやつで、でもつきの伊勢参詣り・・・・」
とお決まりの「東の旅」の始り。
この「東の旅」、「発端」、「煮売屋」、「七度狐」、「矢橋船」、「宿屋町」、
「矢橋船」、「宿屋町」、「三十石」とかがあると、作者は述べいるが、
「奈良名所」、「もぎ取り」、「軽業」、「桑名船」、「「こぶ弁慶」、
「京名所」などが更にあり、・・・・・・聞いた事の無い噺では
「運つく酒」とか「走り餅」とか、東の旅は、ほんま長旅でおますな。
上方落語には、東の旅シリーズのほかに、西の旅、南の旅、北の旅、
月の旅、海の旅、異国の旅、地獄の旅シリーズがある。
旅噺は、ドル箱シリーズなのだ。・・釣りバカシリーズみたいと。
上方では、前座が最初に覚えさせられるのが、「東の旅の発端」。
江戸では、「道灌」か、「寿限無」、「子ほめ」を覚えさせられる。
「ようよう上がりました私が初席一番叟、おあと二番叟に三番叟、
四番叟には五番叟、御伴僧にはお住持に旅に天蓋、銅鑼にニュウ鉢
影灯篭に白張と、こない申しますこちらは・・・・・・・・・」
と意味はよくわからない。・・・意味ある内容ではない。
でもリズムがあって、テンポがいい。
上方では、まず音楽としての落語を叩き込まれる。
そのあとに人を笑わせる噺を覚える。・・江戸では全く逆です。
江戸らしい旅噺は、たとえば「鰍沢」、「御神酒徳利、「富士詣り」
「小間物政談」あたりになる。「二人旅」、「三人旅」、「大山詣り」
「宿屋の仇討ち」、「祇園会」あたりが少し底抜けかなと。
上方の旅の噺は、実際に移動しているさまを見せてくれる。
江戸の旅噺は、旅の途上に出てくる人間の業を見せてくれると。
落語の両面と言う。、筆者は京都出身で、上方落語が随所に顔を見せ
そのあたりは、興味深く読める。
あとがきのそのまた後ろ、
参考文献的おもしろかった本解説と、登場落語の解説も面白い。
落語の国、いや江戸の国からのぞいてみればですな。
~堀井憲一郎~
講談社現代新書・740円
☆☆
夏に読んだ本ですが、さかのぼって感想を。
江戸落語が九割で上方落語は少ないが、
落語の世界の、江戸時代の生活振りを紹介。
第七章、みんな走るように歩いているでは、
旅の噺はドル箱シリーズで、特に上方には旅の噺が多い。
「ここにおりました喜六、清八という二人連れ、
だいぶ時候がようなったさかい、ひとつ、伊勢詣りでも
しょやないかと、不精なやつで、でもつきの伊勢参詣り・・・・」
とお決まりの「東の旅」の始り。
この「東の旅」、「発端」、「煮売屋」、「七度狐」、「矢橋船」、「宿屋町」、
「矢橋船」、「宿屋町」、「三十石」とかがあると、作者は述べいるが、
「奈良名所」、「もぎ取り」、「軽業」、「桑名船」、「「こぶ弁慶」、
「京名所」などが更にあり、・・・・・・聞いた事の無い噺では
「運つく酒」とか「走り餅」とか、東の旅は、ほんま長旅でおますな。
上方落語には、東の旅シリーズのほかに、西の旅、南の旅、北の旅、
月の旅、海の旅、異国の旅、地獄の旅シリーズがある。
旅噺は、ドル箱シリーズなのだ。・・釣りバカシリーズみたいと。
上方では、前座が最初に覚えさせられるのが、「東の旅の発端」。
江戸では、「道灌」か、「寿限無」、「子ほめ」を覚えさせられる。
「ようよう上がりました私が初席一番叟、おあと二番叟に三番叟、
四番叟には五番叟、御伴僧にはお住持に旅に天蓋、銅鑼にニュウ鉢
影灯篭に白張と、こない申しますこちらは・・・・・・・・・」
と意味はよくわからない。・・・意味ある内容ではない。
でもリズムがあって、テンポがいい。
上方では、まず音楽としての落語を叩き込まれる。
そのあとに人を笑わせる噺を覚える。・・江戸では全く逆です。
江戸らしい旅噺は、たとえば「鰍沢」、「御神酒徳利、「富士詣り」
「小間物政談」あたりになる。「二人旅」、「三人旅」、「大山詣り」
「宿屋の仇討ち」、「祇園会」あたりが少し底抜けかなと。
上方の旅の噺は、実際に移動しているさまを見せてくれる。
江戸の旅噺は、旅の途上に出てくる人間の業を見せてくれると。
落語の両面と言う。、筆者は京都出身で、上方落語が随所に顔を見せ
そのあたりは、興味深く読める。
あとがきのそのまた後ろ、
参考文献的おもしろかった本解説と、登場落語の解説も面白い。
落語の国、いや江戸の国からのぞいてみればですな。