時そばの客は理系だった
柳谷晃
幻冬社新書・740円
☆☆
落語を学ぶ、数学の本とあるが、
まさに数学だけでは、私なんぞ(あれなぜか江戸弁)決して手に取る事のない本。
内容は、江戸落語で、作者柳谷氏が、贔屓にしている
三遊亭金八さんの落語の語りを活かし、数学の話を展開。
でも、専門の数学の話より、マクラの落語の話の方が数段おもしろい。
まあ、私の興味の偏り、度合いですが。
ちなみに、26の話で、出会った事の無い噺は、すべて江戸らしい噺で
「一目上がり」、「しの字嫌い」、「七五三」、「松竹梅」、その他は上方落語と共通。
まえがきでも、述べているが、落語においては、昔の人の生活や情緒が
よく表われ、落語に出て来るちょっとした話題に、
今の教育や親の有り方、躾と勉強、色んなことが見えてくると。
落語は笑うためにあるが、
そこには「そういうことってあるね」という感覚があるから、
笑いが身近に感じ、笑ったあとに何かが残る。
決まり事の多い数学と、人間味溢れた落語とのコラボ。
数学の本というより、落語の本としても十分楽しめる本である。
時そばの客は理系だった―落語で学ぶ数学 (幻冬舎新書)柳谷 晃幻冬舎このアイテムの詳細を見る |