
哲学的落語家
平岡正明
筑摩書房・2200円
☆☆☆☆
落語の本としては、一番おもしろい本である。
そして、枝雀ファンであれば、尚更である。
第24章まであるが、一つ一つがうんちくに満ちている。
第8章の「天神山」枝雀のバサラ
第11章の「寝床」の上方への再移植
第14章の志ん朝「宿屋の富」vs枝雀「高津の富」
第18章「代書屋」松本留五郎の鼓腹撃壤」
など、題目だけで興味がわきますやろ。
例えば、第2章・枝雀初アルバム「日和ちがい/鷺とり」のなかには、
小米時代12年、枝雀時代26年、彼は二つのピークを持ったと。
「小米の頃は、押し出す芸ではなくひく芸、ひいた中で追ってくるものがあった。
枝雀になって一変したが、枝雀は、小米風と枝雀風と全く違った二つの形で
頂点を極めた。・・・こんな噺家さんは例が無い。」と
ほんと言うと、小米時代を知っている私は、当初の枝雀の芸風は肌にあわず、
いたって否定的であった。
しかし、CDなどで聴く枝雀落語は飽きることなく、何度聴いてもおもしろい。
今では、CDにて聴く一番の噺家さんである。
[日和ちがい]のマクラに、アメーバーが人生誕生までの万有進化論が語られる。
・・・・・この部分、枝雀ファン、必聴でおます。・・・・・・
この本、結構高いので、時間のあ方、図書館でも利用して、一度ご覧あれ。
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