![]() | 砂の降る教室―石川美南歌集 |
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風媒社 |
☆☆☆
短歌とは不思議なものです。
その歌自体が主張するときと、歌集の中で連歌として味のでてくるものと、
この、石川美南さんの場合は、後者。
高校時代から始められ、大学時代に短歌会に入会されて活躍。
歌集には、一章と三章では比較的最近の歌を、第二章では古い歌をとありますが、
発刊が2003年(当時作者、23才)、若いですな。
その初々しさと、それを覆い隠す技法の堅実さには驚く。
今をときめく将棋界の藤井聡太五段みたい、基礎に立った若手、新人。
と良いながら、柔らか目が好きな私には、チョイ視点が違うのか。
選んだ歌も、少な目でおます。
六着のコートを連れてクリーニング店へ繰り出す 春となるべし
よく磨けばちょっと奇麗になるやうなならないやうな朝の洗顔
スプライトで冷やす首筋 好きな子はゐないゐないと言ひ張りながら
おまへんちの電話いつでもばあちゃんが出るな蛙の声みたいだな
グリーンピースの缶づめ好きで何が悪い 小石のやうな意地を張りをり
虫捕りの少年のごとき瞳して日々訪ね来る祖父の碁仲間
「二、三年寝てゐた方が良いでせう」春のゆるみゆく内科医の声
曇ったら違ふあそびをしませうよ しづしづと顔寄せてくる犬
教科書を売りて別れを告ぐるとき古書店店主しづかに笑ふ
傘のほねが広がるときのうつくしさ 詩の事ばかり話して帰る
書棚より賢治の詩集抜き取れば古書店店主しづかに笑ふ
よく磨けばちょっと奇麗になるやうなならないやうな朝の洗顔
スプライトで冷やす首筋 好きな子はゐないゐないと言ひ張りながら
おまへんちの電話いつでもばあちゃんが出るな蛙の声みたいだな
グリーンピースの缶づめ好きで何が悪い 小石のやうな意地を張りをり
虫捕りの少年のごとき瞳して日々訪ね来る祖父の碁仲間
「二、三年寝てゐた方が良いでせう」春のゆるみゆく内科医の声
曇ったら違ふあそびをしませうよ しづしづと顔寄せてくる犬
教科書を売りて別れを告ぐるとき古書店店主しづかに笑ふ
傘のほねが広がるときのうつくしさ 詩の事ばかり話して帰る
書棚より賢治の詩集抜き取れば古書店店主しづかに笑ふ