![]() | かたすみさがし (新鋭短歌シリーズ8) |
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書肆侃侃房 |
☆☆☆
いいな、才能のある人って、いいな。
何気なく詠われているのに、何か、違う。 いいな。
そんな、歌が、ならぶ、田中ましろ、さんの、歌集です。
気になった歌を・・・・
山あいの町に異物としてふたり歩めば蝉の罵声を浴びる
待ち人は来ましたかって街じゅうの人に問いたい初春の駅
ちぎったらもう戻らないエイヒレを分け合うことも答のひとつ
かつおぶし揺れるリビング 隙のないあなたと冷奴をくずしあう
ポケットに入れた切符は折れ曲がり使えなくなる一歩手前へ
夜に散る桜 誰にも見られずに生きてくほうが難しかった
ストライク投げても受け止めないくせにミットかまえて「恋」なんて言う
いちばんの自分の敵は自分だしあなたは敵というか、 素敵だ
明るめの曲を選んで歩く道 はじめから間違っていた道
嘘ばかりだった口から (つかれたよ) こぼれて落ちたものをあつめる
病室でお帰りと言う 帰るべき場所ではないと知りつつも言う
たくさんの嘘をあなたについたけど大丈夫って嘘は初めて
生きるとは何を残すかではないと父は言う 何も残さないと言う
遠かったでしょう答のない問いをふたりの真ん中あたりに置いて
自由すぎる呼吸ふたつは夕間暮れふたりの距離を測れずにいる
大阪はとてもきれいな夕陽ってメールしかけてやめる指先
コーヒーに溶けるミルクを眺めつつ思いだせない記念日ひとつ
3階の窓から空に向け飛ばす輪ゴム 神さま僕はここだよ
待ち人は来ましたかって街じゅうの人に問いたい初春の駅
ちぎったらもう戻らないエイヒレを分け合うことも答のひとつ
かつおぶし揺れるリビング 隙のないあなたと冷奴をくずしあう
ポケットに入れた切符は折れ曲がり使えなくなる一歩手前へ
夜に散る桜 誰にも見られずに生きてくほうが難しかった
ストライク投げても受け止めないくせにミットかまえて「恋」なんて言う
いちばんの自分の敵は自分だしあなたは敵というか、 素敵だ
明るめの曲を選んで歩く道 はじめから間違っていた道
嘘ばかりだった口から (つかれたよ) こぼれて落ちたものをあつめる
病室でお帰りと言う 帰るべき場所ではないと知りつつも言う
たくさんの嘘をあなたについたけど大丈夫って嘘は初めて
生きるとは何を残すかではないと父は言う 何も残さないと言う
遠かったでしょう答のない問いをふたりの真ん中あたりに置いて
自由すぎる呼吸ふたつは夕間暮れふたりの距離を測れずにいる
大阪はとてもきれいな夕陽ってメールしかけてやめる指先
コーヒーに溶けるミルクを眺めつつ思いだせない記念日ひとつ
3階の窓から空に向け飛ばす輪ゴム 神さま僕はここだよ