![]() | キリンの子 鳥居歌集 |
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☆☆
歌人、鳥居さんの歌集。
鳥居さん、先月と今月のNHK短歌の本に、穂村弘さんと対談している。
凄惨な生き方をされて、そのなかで出会った短歌の世界で、自らの境遇を歌に託す。
それは単に同情をうむとかではなく、存在自身を暗い暗い世界へと誘う。
あまりにも、重過ぎる歌ばかりで、到底わたしはその世界に
足を踏み込みさえできぬまま、この歌集を読み終えた・・・・。
前回の第1回石川啄木賞受賞の歌崎功恵さんの「走れウサギ」と同じように、
鳥居さんのこの「キリンの子」も第3回路上文学賞受賞作品ということで購入、
読みはじめましたが・・・・・
私は居心地が悪く、賞を取られるような歌に感動する域には到底、達していないようで。
でも、これからは、文学賞の受賞というだけで購入するのはやめて、
ペラペラとページをめくりながら、気に入った歌が多く登場するのを
買い求めるようにいたしやす・・・・。
そのなかで、気になった歌は
病室は豆腐のような静けさで割れない窓が一つだけある
昼ごはん食べず群れから抜け出して孤独になれる呼吸ができる
コロッケがこんがり揚がる夕暮れの母に呼ばれるまでのうたた寝
墓参り供えるものがないからとあなたが好きな黄色を着ていく
まっすぐに始発列車が線引いてゆく朝と夜のさかいめ
ほんとうの名前を持つゆえこの猫はどんな名で呼ばれても振り向く
ポテトだけ頼んで分かち合う夜のトマトケチャップすぐになくなる