ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

神様の住所~久螺ささら

2019-01-03 05:05:05 | 本の少し
神様の住所
クリエーター情報なし
朝日出版社

☆☆☆☆

去年の6月、新刊と共に購入した本。

なぜか、後回しになってしまって読み終えたのは昨年の末ですが、
感想は書きためているので、デビューは今年に・・・・。

ほぼ、一年間の間に、私の短歌に対する許容範囲が広がったのか、
12月になって年内に読み終えるのだと、決意してからは案外すんなりと・・・。

でも、“九螺ささら”さん、独特の感性と手法で、短歌にアプローチ。
一見難解にうつるが、足湯のごとくゆっくりとからだに馴染んでくる。

不思議な短歌の、オンパレード。

例のごとく、気に入った短歌は

〈体積がこの世と等しいものが神〉夢の中の本のあとがき

かんがえるかんがえませんかかんじてる水より水っぽい九月のクラゲ

「ふと思う」の「ふと」は両生類であるこの世とあの世を「ふと」は行き来す

文鎮は重力を表現している墓石は重力を肯定している

クローンとかAIとかを言う前にふえるワカメの森に行こうよ

竜宮で浦島太郎がお土産にもらった箱にはふえすぎたワカメ

はんぺんの二つの面を区別して裏でないほうを表とする

夢の中に影がなかった発見を夢の外でしか会えぬ人に言う

マフラーを編んでいる人は黙黙とこの世の端をみつづけてる

オブラートをまたオブラートで包んだらそこだけ角が取れてぼやける

この世とは神様が見てる夢だからところどころに同じ鳥がいる

石鹸の匂いをさせてあの人はこれから好きな人に会いにゆく

ト音記号の形のストローの途中に残された夏、白いカルピス

そうめんとひやむぎは似て非なるもの二月と三月のあいだ辺りの

略歴に〈生まれて今も生きていて死ぬ瞬間まで生きている〉と書く


 幸福は抵抗をやめた降伏の甘い敗北抜かれたる牙


こうしてみたら・・・やはり、難解ですな。




コメント
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