ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

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2022年・ごまめの落語・BEST20

2022-12-31 08:08:08 | 年間BEST・・・・
2022年・ごまめの落語・BEST20

今年は、コロナの少し緩和されて大阪へも足を伸ばして落語会へ。
それでも、どうしても「和泉ワンコイン寄席」や「北野田フェスティバル」に「SAYAKAホール」などの近場も多く、都合30公演、140の落語を聴きました。その中で印象に残った落語20を選びました。
今年の収穫は、若手の米輝さん、秀都さん、九ノ一さんなど若手の溌剌とした創意に満ちた落語に感激。古典も新しく生まれ変わろうという波を感じます。

まずは、BEST20の発表です。(例年通り一人の咄家さん、ベスト一演目にしております。)


①、笑福亭鶴二、「質屋芝居」・(9.17)~笑福亭鶴二独演会

桂米団治さんにお稽古していただいた「質屋芝居」。米団治さんは六代目の松鶴さんにつけていたので、ぐるっと回って笑福亭へお里帰りの「質屋芝居」。
途中の芝居は思わず、見とれてしまっていると「もぉし、裃どないなったぁんねん」で目覚める。
九割五分がキッチリした芝居仕立て、残りの五分で笑いと、決め球「もぉし、裃どないなったぁんねん」、肝心の勝負球だけに緊張しますな。
芝居も踊りも、仕草のキレイ鶴二さん、見ごたえのある一席でおました



②、露の新治、「福蓑(木村智子作)」・(11.17)~第一回新新作派

良かったですな。落語台本コンクールの受賞作らしいですが、擬古典というか時代背景が落語史のもので、すんなり入っていけるし、ちょい人情さもあって良い噺ですな。何度も繰り返し聞きたくなる「福蓑」でおます。
作者の木村智子さんってお幾つぐらいの方か、興味わきますな・・・




③、桂坊枝、「堪忍袋」・(10.30)~北野田エンタメフェスティバル落語会

本日一番、秀逸の坊枝さんの「堪忍袋」。ハリと勢いのある声で客席を圧倒。
よろしいな、最高でおます。

落語には声の大きさがいかに大事かようわかりますな。いま「一文笛」を稽古し始めていますが、あまりシットリとするのではなく、できる限りのメリハリのある声で秀を諭したいもんですな。


④、桂米輝、「あくびの稽古」・(6.2)~NHK上方落語の会

米輝さん、いいですね。あくびの稽古に続いて、いびきの稽古まで引っ張り込む。古典を創作とのコラボで大成功。落語の底力があるので、少々のいじくりも気にならない。上手いという噂は聞こえていたのですが、これからは米輝さん目当てに落語会、行かんとあきまへんな。


⑤、笑福亭伯枝、「高津の富」・(11.20)~笑福亭伯枝独演会

つくづく聴きながら、「高津の富」は笑福亭の噺、やはりお家芸でおます。他の一門とどこが違うのか、セリフも同じなのに、なぜか骨太。間?。声の質?。押しの強さ?。松之助、鶴二、遊喬、そして伯枝さんと、笑福亭の「高津の富」が好きでおますな。

⑥、桂米紫、「三年目」・(1.13)~NHK上方落語の会

今日一番の秀逸の米紫さんの「三年目」。陰気な噺を陽気な米紫さんが程よく料理して、気品ある一品に。米紫さんの人情噺などじっくり聴いてみたいですな。


⑦、内海英華、「女道楽」・(12.23)~アホの喜ィ公とカミナリのお松の会

英華さん、粋で華やかでおますな。「さわぎ」「さのさ」「のんき節」「淡海節」「やぐら太鼓」と唄も三味線も語りもどれも逸品。そして、「さのさ」では下座の呂翔さんらに細かく指示とボケを教え込む、こんなのも舞台での実践での講座でおますな。そして、「のんき節」での吾妻ひな子さんと鳳啓介さんの話や、「淡海節」での藤山寛美さんの話など昔の楽屋の風景を思い出しながら紹介してくださる、英華さん、まさに上方落語の生き地獄、いや粋字引でおますな。


⑧、桂文華、「悋気の独楽」・(7.24)~ぶんか寄席

師匠の文枝さんの十八番の「悋気の独楽」、よろしいな。
女中のお竹どんの骨太さでこの噺は決まり。それで御寮さんの上品さ、定吉の無邪気さも際立ちますな。

千鳥橋のほうに拠点を替えられた文華さん、そちらの方へもおっかけていかんとあきまへんな。


⑨、桂文都、「天災」・(6.2)~NHK上方落語の会

文都さんの天災も、普段聞きなれたざこばさんや銀瓶さんとはまた違う演出。
落語って、いろんな演出があるのがまた楽しい。今、上方落語のマグマ、うねってますな・・・どこから、どんな風にふきだすか、楽しみでおますな。


⑩、柳亭小痴楽、「粗忽長屋」・(1.21)~東西吟選落語競演会

これも十八番「粗忽長屋」。小痴楽さんの口調よろしいな。江戸落語って感じ、ぜひ「大工調べ」なんぞ聴いてみたいですな。


⑪、桂宮治、「棒鱈」・(1.21)~東西吟選落語競演会

これは、江戸らしい噺「棒鱈」。それでも、東京の寄席で小里んさんと市弥さんで聞いたことのある話。この田舎侍の訛りとヘタな歌いっぷりがキモですな。明るいご陽気な高座。これからの宮治さん注目ですな。


⑫、くにお・とおる、「漫才」・(10.21)~鰻谷寄席・10月度

この舞台が、くにおさんの最後の舞台になりました。
ご冥福をお祈り申し上げます。

よいですな。安心して楽しめるくにおとおるさん。解かっていてもでてくる「とおるちゃん」、その一声だけでほっこりしますな。笑いとは緊張と緩和と言いますが、緩和の連続に浸るのも良いものでおます。




⑬、笑福亭遊喬、「禁酒関所」・(6.2)~NHK上方落語の会

よろしいな、今も昔も七ふく。これぞ、落語。これぞ、笑福亭。これぞ、遊喬さんの落語でおます。骨太のどっしりとした落語。この安定感、安心感、遊喬さんの落語、追いかけて聞きまっせ。


⑭、ラッキー舞、「太神楽」・(11.20)~笑福亭伯枝独演会

大好きな、ラッキー舞さんの高座。いつまで経っても初々しくてかわいい舞さん茶碗の積み上げから、傘回し、ボール遊びから最後は得意の皿回し。後ろの女性のお客様が「どうすんの」「こわー」「まだ載すの」とその声聞いているだけで、こちらまで嬉しくなる。最後の皿回しで包丁が出てきたときは「ほんまにするの」「こわー」「えェ―、もうやめて」と叫び声に・・・。

ほんま凄い芸でおますな。ラッキー舞さん、大好き。


⑮、笑福亭鶴笑、「人形 西遊記」・(9.17)~笑福亭鶴二独演会

このパワー。鶴笑さんの十八番「パペット落語・立体西遊記」。今回で五回目、でも何度聞いても楽しい。子供に戻ったようで、動かぬ人形や動物、乗り物のおもちゃを手に持ってガチャガチャと遊んだ子供の時を思い出す。一緒に遊んだという満足感でいっぱいになる、鶴笑さんのパペット落語でおました


⑯、笑福亭生寿、「幽霊の辻」・(6.2)~NHK上方落語の会

小佐田定雄さんのデビュー作で、枝雀さんとの仲を取り持った演目とか。まさに古典の匂いがありながらの怪談ばなし。こんな噺が生寿さんから聴けるとは合わせてうれしくなる。生寿さんと小佐田さんとの相性はとても良さそうなので、次々小佐田さんの名作、手掛けて欲しいですな。


⑰、桂文鹿、「おみくじ製作所」・(6.18)~第211回和泉ワンコイン寄席

人と違う落語を目指し、人とは違う道を選んで日夜邁進されている文鹿さんの高座。何かとげとげしさも薄れて、まろやかなふわりとした高座に
噺は新作では好きな「おみくじ製作所」、そうか電話の注文を減らせば尺も自由自在、米紫、福矢、三若、春蝶、かい枝、菊丸、吉弥、と同期の落語家さんの名前があがるだけで楽しい噺。文鹿さんの古典も好きでおますので、文鹿さんの会に足を運ばんとあきまへんな。



⑱、旭堂南北、「柳田格之進」・(3.19)~第208回和泉ワンコイン寄席

落語では、東京の柳家さん喬さんで初めて聞いた時、嗚咽するほど涙した思い出の噺。今日は元々の講談を南北さんで聴く。さらに笑いはなく、武士の意地と主従の思いが淡々と述べられる、さん喬さんでは娘の絹さんは廓で狂い死ぬんですが、新治さんのは番頭と夫婦になったようですが、南北さんは太夫になって見受けをされて格之進さんの元へ帰って来るという、少しはホッとする終わり方。

でも、「井戸の茶椀」や「木津の勘助」の娘さんと言い落語にでてくる娘さんは、みな良い子でおますな。


⑲、桂秀都、「桃太郎」・(9.17)~~笑福亭鶴二独演会

秀都さんすごい。「桃太郎」がこんな斬新な噺に変身するとは、いまの若い方の感性は凄い。昔々で年号になって「大化」から始まって「令和」までをいっきにそらんじたり、旧の国名もそらんじたり、賢い子供をいっきに膨らます。
SNSが普及されてる現代、子供の生意気さも形を変えてきますな。
落語も、どんどん、形を変えていくんでしょうな。
秀都さん、注目でおます。


⑳、桂九ノ一、「軽石屁」・(1.15)~第206回和泉ワンコイン寄席

初めて聴かせてもらいました「軽石屁」、そして九ノ一さんも初めて。上手いですが、つかみどころがない噺を淡々とそして軽妙に、まさに師匠九雀さんの芸そのもの。この二、三、年のうちに化けるのはまちがいありません。これから注目の九ノ一の感激の一席。

一年間お世話になりました。
「ごまめ~の~いちょかみ」
来年もよろしくお願いいたします。



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