ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

いちまいの羊歯~國森晴野

2019-04-25 05:05:05 | 本の少し
 ☆☆☆

新人短歌シリーズ36、実はブックオフのラインで買ったんですよ。
歌集を買うときは、店頭でペラペラとめくって、気に入った歌がちょこちょこと
現れると、その出会いが嬉しくて、買ってしまうんですが・・・。

この本は、半額になっていたので、國森さんごめんなさい、価格につられて買ってしまったんですよ。

読みだすと、自分の好みと違うなぁと3感じて、やはり店頭で観なければと少し後悔も交えながら読み進めてたんですよ。

でも、歌集って不思議なもんですね、読み進めるうちにじんわりと國森さんの世界が私の周りを包んでいるんですよ・・・。

たまには、違う作風の方の短歌を味わうのもよろしんではと・・・。

気になった短歌

降る花には糸の眼をひらき忘れた歌をうたいはじめる
恨みに触れればひとつまたひとつひらかれてゆくあかるいつつじ
水を切る小石のゆくえを知るようにあなたは笑う果てだとわらう
錆びついた味をわけあうひとなんてどこにもいないアイスクリーム
約束の環には甘くて朝焼けのポンデリングをふたつにわける
さよならのようにつぶやくおはようを溶かして渡す朝の珈琲
寄り添って眠りに落ちてゆく午後の映画のようにあなたと暮らす
左手のレモン牛乳なまぬるく渡り廊下の先は知らない
好きなのを選んでごらん告白を包んだ一粒だけ苦いから
かいぶつに恋した少女の瞳のままで夜のりんごをひとくち齧る
からっぽの手を繋ぎますそれぞれに失くした傘の話をする日
あれは蝶いいえ破れた恋ですよ十枚集めれば当りです
白線の外側で待つおしまいの列車は定員一名でした
待つことの嘘とさみしい幸福を誰かのために抱く蔦の町
境界を溶かしてしまう水彩のように僕らに降る雨の町
正解をみつけたことを知らせずにぐいと飲みほす檸檬サイダー
ことごとく濡らしたままで重ねれば朝をしらずに眼をとじている
風のない午後に置かれたすずしさを揺らして君と食むわらびもち
(歪んでる僕らはきれい)陽に透けるペットボトルをぐしゃりと潰す

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