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寺山修司さんと言えば、私には「天井桟敷」しか浮かばないのですが、彼が思う名言を集めた本。そこには外国の古き人や太宰治など少し古めかしい人が並ぶのですが、反面映画の中での名セリフであったり、歌謡曲であったり、言葉のおもしろさの付き合いは広範囲にわたる。
この,ごった煮的言葉の羅列が、どこか最終的には寺山修司節になってくる。
例えば、やくざのスラングなんぞも紹介。
・時計・ケイチャン、短銃・ハジキ、大言・ラッパ、主・ロク、馬鹿者・ラり、ペテポウ、アッタモン、泥酔・キスグレ、喧嘩・ゴロ、うどん・そば・ナガジャリ、恋す・ラル、悪事・ワリゴト、巡査・クリ叉はヒネ、質屋・グニヤ、捨つ・チャりフル、貧乏・ヒンクヤ、禿・カリス、酒・キス、巻煙草・モヤ、富豪・ヒンマガリ、・・・・そやけど、こんなん覚えてどうすんの。
最後に私自身の言葉として選んでる、寺山修司さん自身の短歌を
マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや
ふるさとの訛りなくせし友といてモカ珈琲はかくまでにがし
煙草くさき国語教師が言うときに明日という話は最もかなし
草の笛吹くを切なく聞きており告白以前の愛とは何ぞ
北へはしる鉄路に立てば胸いずるトロイカもすぐわれを捨てゆく
一粒の向日葵の種子まきしのみに荒野をわれの処女地と呼びき(荒野について)
胸痛めばわが谷緑ふかからむスケッチブック閉じて眠れど
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