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私が本好きになったのに、一番影響を受けた本といえば、
「深夜特急」・沢木耕太郎と「どくとるマンボウ昆虫記」・北杜夫の二冊。
その「深夜特急」のガイドブックというか、参考書の様な本。
なぜ、「深夜特急」が生まれたのか、沢木耕太郎さんの履歴を追いながら、
その「一世一代の旅」といわれる本の中に、沁み込んでいる調味料を解き明かす。
その後のルポタージュの一人者としてなるべく、頭の冴えやキラキラした才能
だけではなく、相手の心をひらかせる何かをもちそなえているのと、もう一つは
行動力と、どちらもこの「深夜特急の旅」で培われる。
そして、ガイドブックも持たず外国を旅行するのは、できるだけ素のままの自分を
異国に放ちたいからだと・・自由に自分を動かしたいためと・・・。
(余談ですが、あまりTVを見ない私が見る数少ない番組に
ヒロシの“明迷宮グルメ・異郷の駅前食堂”がありますが、何処か相通じるものが)
そして紀行文として大事なのは、アクションではなくリアクションだと、
紀行文に「移動」は必須条件だが、大事なのはその「移動」によって
巻き起こる「風」なのだ、と。もっと正確に言えば、その風を受けて、
自分の頬が感じる冷たさや温かさを描くことだと・・・・。
そして人生において大事なことは、「予期しないことが起きるということを
予期しているかどうかどうか」ということ、変化の中でとっさに判断できる
能力を身につけているかどうか、その時に柔らかく対応できる力、そのような
ものを旅は、常に試してくれると・・・・。
もう一度、旅に限れば、旅の目的が単に「行く」ことだけになってしまっては
イケない、大事なのは「行く」過程で、何を「感じ」られえたか、
そこにある「風」を「水」を「光」、そして「人々」をどう感受できるか、
素のままの自分で解き放したい・・・・海外への旅の適齢期は26才と。
26才に一年間ぐらいの旅に出ていたら、人生観は変わっていたのか、
今のとは違った人生になっていたのか・・・少し、怖ろしい気がしますな。
時期を見て、「深夜特急」再読しようと、思っております。