~空からの贈りもの~

「森のこもれび」の山崎直のブログです。

この一冊

2013-03-03 13:15:38 | 日記
昨日から読みだした本を、先ほど読み終えました。

「歌に私は泣くだらう」という、歌人河野裕子さんのご主人で

生物学者でもあり歌人でもある、永田和宏さんが書かれた

河野さんの闘病記です。

河野さんが癌になり、亡くなるまでの10年間をお二人の歌と共に

綴られたものです。

私は息子の亡くした後、息子の死を受け入れることが出来ず、

死についての書物や色々の方の手記を読んできましたが、

この本には、今までにないものが貫いていました。

読んでいて、悲しみではない涙が溢れてきました。

それは、感動と言う言葉ではくくれない、もっと静かな深い

ものです。

癌の宣告を受け、術後河野さんがその人格自体が壊れていく

ような状態が続き、夫である永田さんは苦しみ、変貌する母に、

苦悩する父に苦しみながら、寄り添おうとする娘と息子

しかし再発し、いのちの期限がつきつけられた時に、実に澄んだ

心となり、最後まで歌を詠んだ河野さん

   手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りない

                  この世の息が

河野さんが死の前日に詠んだ、最後の歌です。

この本を貫く「愛」の深さに、読んでいる私も心が洗われた

よう思いがしました。

  のちの日々ながく生きてほし 

      さびしさがさびしさを消しくるるまで

                 河野 裕子










コメント (2)
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