春秋社で出している、冊子「春秋」が届きました。
この冊子に毎月、田口ランディさんが短編を書いて
いるのです。
佐藤初女さんのことを書いた文章に、私が衝撃を受け
そのことが、初女さんとランディさんの対談へと
繋がったのですが、今月は「不器用な手」という
短編でした。
お年玉で手相の本を買った主人公の「私」が友達の
手相をみるということから始まる短編小説です。
読んでいて、突然記憶のかなたに消えていたことが
鮮やかに立ち上がってきたのです。
子供が2~3歳の時だったでしょうか、私は何気なく
子供の手相をみたのです。
自分が手相が分かるわけでもないのに…
唯一知っていた生命線があまりに短く、びっくり
したのです。
そして、その後にきた不安な気持ちを、
小さいからまだ生命線が出ていないんだという事で
自分に言い聞かせていましたが、私は
息子の小さな手に爪で線を書くようにして
「この線が長くないといけないの」と言いました。
それから息子は度々「つっ君の短いの」と言って
自分の爪で手のひらに線を書いていました。
手相がどんなものかわかりませんが、
13歳で亡くなった息子を想うと、手相が
当たったのか、私があんなことをしたからかと、
不意に立ち上がった思い出に、悲しみが
押し寄せてきました。
親の愚かさでしょうか…