重度の自閉症者である、作家の東田直樹さんの講演会
の時に配られた資料を読み返して、再び衝撃を
受けています。
東田さんの本を読んだ時、話すことができない
重い障害がある彼が、これほど深いことを表現
出来るはずがないと思い、これはかなりお母さんの
手が入っているのではないかと、そんな思いで
読んでいたのです。
ところが、講演会に行ってみると壇上の東田さんは
不思議な音を発しながら、アルファベットの文字盤を
タッチして、思いを言葉に変換しているのです。
時々、訳もなく駆け出したり飛び跳ねたりしながら
又落ち着くと席に戻り文字盤に向かって
言葉を紡いでいくのです。
彼のその姿に、私は初めてあの本は東田さん自身の
言葉だったのだと知り、改めて驚きました。
東田さんの言葉
『多分多くの人は、自分が人であるとことに疑問を
持たず、成長するのではないだろうか。
僕の場合、人であるという事実を知った時の
事は、今でも心の傷として残っている。
幼い頃は、物に名前があることを知らず、
ただそこにいるだけの存在だった。
僕は、自然の一部だった。
僕が飛び跳ねている際、僕の目に映っているのは
人の顔ではない。
どこまで高く、いつまでも長く飛び続けたいと願う時、
僕は人であることを放棄しているのかもしれない。
周りから見れば、哀しい行動に見えるだろう。
しかし、本当の悲しみは、僕らしさを拒絶され
普通の人に近づくことだけを要求される社会の
価値観にさらされること。
自閉症者が飛び跳ねる理由は何か、皆さん
一人ひとりに考えてもらいたい。
その答えが見えてきた時、飛び跳ねることでしか
自分を表現できない人の気持ちをわかってもらえる
のではないか、』
東田さんの言葉に、
これほど深い思いが障害を持った人の心の底に
沈んでいることに、健常者である私は、今まで
気づこうともしなかったのです。
毎日、障害を持つ人たちと接している私が…