3月11日が巡って来ました。
震災の後、初女先生に「私、どうしたらいいの」
と思わず電話をしてしまったら
「じたばたしない」と、きっぱりと言われたのを
今でも覚えています。
初女さんは著書の中で震災のことを語って
います。少し長くなりますが、今日という日に
初女さんの思いを噛み締めてみたいと思います。
「震災前から私は、まず人でも物事でも
受け入れること、と言い続けてきました。
受け入れないことには何も進まないので
どんな場合でも受け入れ、いまこの時ほど確実な
ことはないので、将来に思い描いた理想に
真っ直ぐ向かうのではなく、いまを生きる事で
いきましょう、と言ってきました。
そう言っていた”いま”が3月11日だったわけです。
これは誰もわからなかったこと。
でも事実としてはっきり出てきたので、
それを受け入れて、いまよりも少しでもいいから、
よい状況にもっていきましょう、というふうに
思っています。
まずこの生活から。
いまは煩雑な世の中で、何もかもスピードが
速いですね。
先のことは誰もわかるわけではないのに、
先へ先へと進んでいるから間違いが多くなるし
人間関係も複雑になっています。
「わかち合い」で皆さんのお話を聞いていると、
静かな時間をもつことを望んでいるのに、
それでもなかなか難しいことなのだと感じます。
いまから67年前は小さなことであった環境問題が
いまは地球を破壊するほど大きなものになって
います。
小さいものがやがて大きなものになる。
90年生きて来て、その過程をすべて見て
きましたから、私はやっぱりこの足元の小さなこと
から始めていきたいと、いつもそう思っています。
平成二十六年一月
佐藤 初女『心を結ぶ「わかち合い」』から