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コリント人への手紙Ⅱ コリント教会の皆さんへ

2019年06月11日 | Weblog
  書簡集3  コリント人への手紙Ⅱ コリント教会の皆さんへ
 はじめに
 コリント人への手紙Ⅱはパウロがコリント人の教会の信徒に送った2通の手紙のうち第2番目の手紙である。パウロはこの時点ですでにコリントの信徒に3通の手紙を書いていたが、そのうち2通は残っていない。
 第一の手紙はコリントの教会の内部に生じた諸問題に対して、パウロはそれを厳しく叱責し、その実際的解決と、指導を与えたものであった。パウロはコリントにいる信徒のことをキリストにあって愛し主に立ち返ることを願っていたのである。
 第二の手紙(本リポート)は第一の手紙に対する反響に応えたものである。その反響は必ずしもパウロの意に沿うものではなく、主に立ち返ろうと努力をした者がいた半面、パウロの権限を否定しその動機に疑問を唱え、その手紙に反発し反パウロ、反キリストの集団も現れたのである(使徒の働き19:21~41)。また偽使徒も現
れ信徒たちを惑わしていた。そこでパウロはマケドニヤに逃れ、その地で第二の手紙を書いたといわれている。第二の手紙にはパウロが第一の手紙を現したわけと、コリント人だけでなくアカヤ全土(ギリシャ)に住むすべてのクリスチャンに対する愛と慰めの言葉に満ちている。
 第一の手紙によってコリントの教会には悲しみが満ちていた(2:1,7:8)。それゆえに、パウロはこの第二の手紙によって彼らの間に喜びを取り戻したかったのである(7:9~13)。だからこそ、その調子は第一の手紙と違って穏やかでコリントの信徒に対する愛と気遣いにあふれている。そして最後にパウロは言う「終わりに兄弟たち喜びなさい。完全な者になりなさい。慰めを受けなさい。一つの心になりなさい。平和を保ちなさい。そうすれば愛と平和の神はあなた方とともにいてくださいます。聖なる口づけをもって互いにあいさつを交わしなさい。すべての聖徒たちがあなたによろしくと言っています。主イエスキリストの恵み、神の愛、聖霊の交わりがあなた方すべてとともにありますように(13:11~13)」と。
 作者:神のみ心によるキリストイエスの使徒パウロおよび兄弟テモト
 宛先コリントにある神の教会、ならびに、アカヤ全土にいるすべての聖徒たちへ
 書かれた年代:西暦55~57年ごろ
 書かれた場所:マケドニヤ
 主要な登場人物:パウロ、テモテ、テトス、偽使徒
 主要な地名:コリント、エルサレム、マケドニヤ      

 内容の構成
1.1章~7章:パウロの内面的苦悩
    コリントの信徒に対する熱き想い
2.8章~9章:慈善活動の勧め
    エルサレムの教会支援の願い
3.10章~13章:パウロ批判に対する反論
    コリント信徒に対する配慮
    弱さを誇る
    結びのあいさつ      

 各章ごとの解説
1、第1章~7章 パウロの内面的苦悩とコリントの信徒に対する熱き想い
 1章:パウロは、神がすべての試練において神の子たちを慰めると証しする。 「神はどのような苦しみの時にも私たちを慰めてくださいます(1-4)」
 2章:パウロは聖徒たちがお互いに愛し合い赦しあうようにと奮起させる。 「そこで私(パウロ)はその人(罪びと)に対する愛を確認することを、あなたがたに勧めます。もしもあなたがたが人を赦すなら、私もその人をキリストのみ前で赦します(2:10)」。
 3章:福音と主の御霊の働きは、モーセの律法の文字よりもすばらしい。 「神は私たちに新しい契約に仕える者となる資格をくださいました。文字に仕える者ではなく、御霊に仕える者です。文字は殺し、御霊は生かすからです(3:6)」。
 4章:パウロは逆境にあるコリントの聖徒を励まし、彼らに神の愛と栄光のもつ永遠の本質を思い起こさせる。 「たとえ私たちの外なる人は衰えても、内なる人は日々新たにされます(4~16)」、「私たちは見えないものにこそ目をとめます。見えるものは一時的であり、見えないものは永遠に続くからです(4:18)」。
 5章:パウロはイエス・キリストの贖罪を通じて神と和解する必要性を理解するようコリントの信徒に勧める。 「だれでもキリストのうちにあるならその人は新しく作られた者です。古いものは過ぎ去って、見よ。すべてが新しくなりました(5~17)」、「神は罪を知らない方を、私たちの代わりに罪とされました。それで私たちはこの方にあって、神の前に義とされたのです(5:20)」。
 6章:コリントの信徒よ、どうか私の言うことに対し心を広く開いてください。正義と不法とはつながりがありません私たちは生ける神の宮として、偶像を避け、あの不信者(偽使徒)に惑わされないようにしなさい。 「確かに今は恵みの時、今は救いの日です(6:2)」。
 7章:あなた方が私を慕っていること、また過ちを嘆き悲しんで悔い改めたと聞いて喜んでいます。 「神のみ心に沿った悲しみは、悔いのない救いに至る悔い改めを生じさせますが、世の悲しみは死をもたらします(7:10)」。
 2、第8章~9章:慈善活動の勧め、特にエルサレム教会支援の願い
 8章:施す恵み。あなたがたは私たちの主イエス・キリストの恵みを知っています。パウロはエルサレムの人々に対する献金についてコリントの聖徒に感謝し引き続き惜しみなく与えるよう彼らを励ます。「兄弟たち、あなたがたは諸教会の使者、キリストの栄光です。あなた方の愛と、私たちがあなたがたを誇りとしている証拠を諸教会の前で彼らに対して示して欲しいのです(8:23~24)」。
 9章:「惜しみなく与える」。「神は喜んで与える人を愛してくださいます(9:7)」「ひとりひとり、いやいやながらではなく、強いられたからでもなく、心に決めた通りにしなさい(9:7)」。そうすれば神からの賜物が、あなたがたにも与えられるのです。
 3、第10章~13章:パウロ批判に対する反論、コリント信徒に対する配慮、弱さを誇る、結びのあいさつ
 10章:「主から授けられた働き」「自分で自分を推薦する人でなく、主に推薦される人こそ受け入れられる人です(10:18)」。パウロはコリントに行くにあたって、そこにキリストの純粋な教義を損なう偽使徒がいることを知る。彼らは自分で自分を推薦し、パウロの働きを阻害しようとしていた。パウロはコリントの信徒に言う「あなた方の信仰が成長し、あなたがたによって、私たちの領域内で私たちの働きが広がることを望んでいます(10:15)」と。お互いの相互作用によって信仰は強化される。
 11章:「パウロの誇り」「もしどうしても誇る必要があるなら、私は自分の弱さを誇ります(11:30)」10章で述べたように、コリントには偽使徒がいてコリントの信徒を騙していた。彼らは結果としては反キリストにはなったが、意図するところは善意で決してパリサイ人や、律法学者のように真っ向から反キリストを掲げているわけではなかった。自分こそキリストの使者だと僭称していたのである。サタンさえも神のみ使いに変装して表れていることを考えると、パウロがコリントの信徒たちが偽使徒に騙されるのではないかと心配するのは当然であった。「騙されるな」と強調する。彼らは自分の強さを誇ったが、パウロは言う「私は自分の弱さを誇ります」と。コリントの信徒の信仰心は決して強くはなかったといえよう。
 12章:「弱さのうちの強さ」「わたしの恵みはあなたに十分である。わたしの力は、弱さのうちに完全に現れるからである(12:9)」パウロは11章において自分の弱さを列挙した(11:23~27)またこの章においても、その弱さを列挙している(12:10)。もちろんパウロには誇るべき強さは多々ある。第三の天(パラダイス)にまで引き上げられている。しかしパウロはこれを「キリストにある一人の人(12:2)」と言って自分であること隠している。誇ることを控えている。人がパウロを過大に評価することを。わたしたちは恐れたのである。神は人が高ぶることを最も嫌われる。神はパウロが高ぶることのないようにとパウロの肉体に「一つのとげ」を与えた。もし、高ぶってその限度を超えた時、その「とげ」はパウロの肉体を刺すであろう。神の前にへりくだり謙虚になるとき、パウロは弱さを誇ることができた。この時、神はパウロと共にあった。「私が弱い時こそ、私は強いのです(12:10後半)」とパウロは言う。
コリントに住む偽使徒たちはパウロたちのコリント訪問に危機感を感じ、その訪問を阻止しようとしていた。パウロはこれを知って「私たちは(偽使徒たちとは異なって)神のみ前でキリストにあって語っているのです。彼らに、騙されてはいけません」とコリントの信徒を諭す。
 13章:「完全な者になりなさい」「あなた方は選ばれた民です『あなた方のうちにイエス・キリストがおられることを信じなさい』」「キリストはあなた方に対して弱くなく、あなたがたの間にあって強い方です。確かに弱さゆえに十字架につけられましたが、神の力ゆえに生きておられます。私たちもキリストにあって弱いものですが、あなたがたに対する神の力ゆえに、キリストと共に生きているのです。私たちは真理に逆らって何もすることができず、真理のためなら何でもできるのです。私たちはあなた方が完全な者になることを祈っています。私は神からあなた方をさばく権威を与えられています。この権威が与えられたのは築き上げるためであって倒すためではありません。主イエスの恵み、神の愛、聖霊の交わりが、あなたがたすべてと共にありますように」。コリント人への手紙Ⅱはこのような祝福の言葉で終わっている。

 言 葉
第三の天:パラダイス。主なる、み座のある天国である。パウロが引き上げられた天。ちなみに第一の天は、私たちが見上げることのできる天。空とも、大気圏ともいえる。鳥の飛ぶ天。第二の天は「天体」のこと星があり宇宙がある。
 偽使徒:キリストの使徒を僭称して現れる。その霊は悪霊であり、その福音は人を欺くものであるが、いかにもそれらしく見える。騙されやすい。パウロの教えに反してユダヤ人の教えを取り入れる必要性を説いた。
令和元年5月14日(火)報告者 守武 戢 楽庵会


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