個人的事情で、個展が無期限延期になりそうなので、それ用に描いていたものを、少しずつ紹介していこうと思います。
これは「月の王」
わたしの自画像に近い絵です。正確には、何年か前の、どん底状態でいたときのわたしの顔。かな。今見ると悲しすぎる絵。
絶望的なことをやろうとしていた。やってもやっても、ぜったいにできないだろう。結局はすべて無駄になるだろう。それでもやるしかない。やるしかないということだけのためにやっていたようなもの。
予想通り、何もかもは崩れ去りました。ほんとにね。疲れ果てて、何もできなくなって、何もなくなって。そこにいた私がこれ、月の王です。
愛しても愛しても伝わらなかった。だれにも、わからなかった。それがわかったとき、最後まで残っていたものは、愛だけだった。
月の王は絶望している。凍り付いている。それでも、いいんだよと言っている。愛しているから、いいんだよ。
たったひとつぶだけ、残った愛から、わたしはもういちど、わたしをはじめた。何もなくなった絶望の闇から、もう一度はじめた。
月の王はもういない。わたしはもう月の王ではない。凍りついた絶望の岸で、愛だけで沈黙の笑顔を保っていた、あの馬鹿はもういない。