世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

月の王

2007-06-04 07:22:11 | 画集・ウェヌスたちよ

個人的事情で、個展が無期限延期になりそうなので、それ用に描いていたものを、少しずつ紹介していこうと思います。

これは「月の王」
わたしの自画像に近い絵です。正確には、何年か前の、どん底状態でいたときのわたしの顔。かな。今見ると悲しすぎる絵。

絶望的なことをやろうとしていた。やってもやっても、ぜったいにできないだろう。結局はすべて無駄になるだろう。それでもやるしかない。やるしかないということだけのためにやっていたようなもの。

予想通り、何もかもは崩れ去りました。ほんとにね。疲れ果てて、何もできなくなって、何もなくなって。そこにいた私がこれ、月の王です。

愛しても愛しても伝わらなかった。だれにも、わからなかった。それがわかったとき、最後まで残っていたものは、愛だけだった。

月の王は絶望している。凍り付いている。それでも、いいんだよと言っている。愛しているから、いいんだよ。

たったひとつぶだけ、残った愛から、わたしはもういちど、わたしをはじめた。何もなくなった絶望の闇から、もう一度はじめた。

月の王はもういない。わたしはもう月の王ではない。凍りついた絶望の岸で、愛だけで沈黙の笑顔を保っていた、あの馬鹿はもういない。

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