世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

流れ星

2012-06-04 06:39:34 | 薔薇のオルゴール

遠い空から野原一面に降りしきる
光る流れ星を追って
ぼくは大慌てで落ちてきた星を拾う
片手に大きな籠を持って

一つ拾って 二つ拾って
あ 三つ目も拾って 急いで籠に入れよう
どんどん どんどん 落ちてくるよ
白いのや 少し青いのや 黄色いのや 緑のや
おや? これなんてすごいや
まるで芯に火をともした林檎のようだ
丸くて赤くて澄んだ甘い香りがする
耳を近付けると 中で何かが動いているよ

籠が星でいっぱいになったから
少し休んで ぼくは野原の隅っこに座って
広い野原に降りしきる流星雨を静かに見ていた
星は 琴をかきならすような音をたてて
つぎつぎと落ちてくるよ 
透き通った音楽はひそひそと風に何かを教えると
銀河の滝の向こうに登って消えて行く

流れ星は早く拾って籠に入れないと
みんな土に溶けて消えてしまうんだ
きっとそんなことも
不思議な星の秘密なんだと思う
いっぱい拾えてよかったなあ
帰ったら オレンジのジャムに少し入れておいて
明日の朝は透き通った星の香りのパンを食べよう

ともだちに分けてあげるものには
紙につつんでリボンをつけないといけないね
ああ なんて幸せなんだろう
きっと喜んでもらえるだろうな

楽しいことを考えるのはうれしいね
ぼくの胸に棲んでいるやわらかい小鳥が
ぼくの小さな心臓を 卵のように温めてくれる
籠の中の星は きのこみたいに
小さくふくらんだりしぼんだりして
かすかな声で こおろぎのような歌を歌う
ああ 秘密を教えてあげたくて たまらない
星はそんなことを 歌ってるみたいだ
秘密ってなんだろうって聞いてみると
星はただ ふふって笑うだけなんだよ

ああ まだ星が降っている
雨のように空から降り続いている
銀色の尾をひいて
どんどん どんどん降ってくる
野原はまるで 光る金平糖のような
不思議な魚が跳ねる 白い湖のようだ


(オリヴィエ・ダンジェリク詩集『空の独り言』より)



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