日照界の若者です。物語に出て来る「青年」たちを代表して出てきてもらいました。
描くたび顔が微妙に違いますけど、わたしの周りでは、この人が一番人気なんですよ。別章で一回出て来ただけなのにね。
この人に関しては、いろいろ、作品中には発表しなかったエピソードがありまして。それを少し、ここに書いてみたいと思います
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若者は師たる聖者に尋ねました。「聖者さま、恋とはいかなるものでしょうか」
それを聞いた聖者さまは、横目で頭を下げつつ真剣に耳をそばだてている青年を見つつ、少々困ったように小さくため息を吐いて、答えました。
「恋か。まあ、恋とはつまり、その男、その女以外のものでは、絶対にいやだというものだ」
「え? それはどういう意味ですか?」と言いながら青年が顔を上げると、もうそこに聖者さまの姿はありませんでした。
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「君、また何やら口をすべらしたんだって?」お役所の机で、何か書きものをしていた青年に、友人の青年が声をかけました。
「うむ。聖者さまにもおしかりを受けて来たところだ。女性に対することばには気をつけよと、釘をさされてきた」
「君は頭と口が直結してるんだ。思っていることをそのままに言う。正直なことはいいことだけど、僕も、物をいうときは少し考えた方がいと思うね。…ところで、何書いてるんだい?」
「罪の浄化願い」
「またかい! やめろよ。お役所でも、君のたびたびの浄化願いには困ってるんだ!」
「しかし、罪は償わなければ。相手の女性にも、不快な思いをさせてしまったし」
「だから、正直にも、節度というものがあるんだよ。まじめに考えすぎだ」
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まあこんな風に。いろいろ楽しいエピソードがあります。作品にはなりませんけどね。
一応書いておきますが、この人、男性には人気ないです。