世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

若き日のノエル・ミカール

2012-11-09 07:04:37 | 画集・ウェヌスたちよ

「薔薇のオルゴール」に出て来た、木漏れ日の頬笑み王、ノエル・ミカールの若き頃です。

実はあの「誰も知らない王様」のお話を描いた後、こういう感じのタッチで、王様たち全員を描いたのですが、なんとなく、気にいらなくて、発表するのをやめていました。

フェイスブックのアルバムには、切り絵版ノエルやウジェーヌ、ソランジュなど入れてありますが。正直言うと、これもあまり自分のイメージじゃないかな。描いてみただけという感じです。ウジェーヌは、イメージの中では、もっと素朴で、やさしい感じだ。なかなかそれがうまく描けなくて。でも、このノエルは、まあまあ、うまく描けた感じです。

黒い服に黒い帽子、斜めに下げたカバン。何となく竪琴弾きに似てますけど、ノエルはかなりの美青年のイメージ。

ウジェーヌに比べると、ノエルは幸福でした。早くにウジェーヌ、次の王様に出会えて、ウジェーヌは決して死ななかったから。

オリヴィエが死ぬお話を書いていたときは、涙がぽろぽろ流れてました。頭の奥で、だれかが、オリヴィエを殺さないでくれと、叫んでいました。でもオリヴィエは死んでしまった。

誰も知らない王様は、今も笛を吹いています。どこかの、誰も知らない国の、片隅で。

誰も知らないから、だれも言わないけれど、秘密の鍵は知っている。

ノエル・ミカールは、偉大なる王でした。
ウジェーヌ・ポルは、希有な王でした。

長い時を、誰も知らない王様たちは、みなのために、笛を吹き続けています。






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