「薔薇のオルゴール」に出て来た、木漏れ日の頬笑み王、ノエル・ミカールの若き頃です。
実はあの「誰も知らない王様」のお話を描いた後、こういう感じのタッチで、王様たち全員を描いたのですが、なんとなく、気にいらなくて、発表するのをやめていました。
フェイスブックのアルバムには、切り絵版ノエルやウジェーヌ、ソランジュなど入れてありますが。正直言うと、これもあまり自分のイメージじゃないかな。描いてみただけという感じです。ウジェーヌは、イメージの中では、もっと素朴で、やさしい感じだ。なかなかそれがうまく描けなくて。でも、このノエルは、まあまあ、うまく描けた感じです。
黒い服に黒い帽子、斜めに下げたカバン。何となく竪琴弾きに似てますけど、ノエルはかなりの美青年のイメージ。
ウジェーヌに比べると、ノエルは幸福でした。早くにウジェーヌ、次の王様に出会えて、ウジェーヌは決して死ななかったから。
オリヴィエが死ぬお話を書いていたときは、涙がぽろぽろ流れてました。頭の奥で、だれかが、オリヴィエを殺さないでくれと、叫んでいました。でもオリヴィエは死んでしまった。
誰も知らない王様は、今も笛を吹いています。どこかの、誰も知らない国の、片隅で。
誰も知らないから、だれも言わないけれど、秘密の鍵は知っている。
ノエル・ミカールは、偉大なる王でした。
ウジェーヌ・ポルは、希有な王でした。
長い時を、誰も知らない王様たちは、みなのために、笛を吹き続けています。