すきとおった 悲しみを
小さなガラスの りんごにして
ろうそくのように 火をともしてみた
すると炎は りんごの中で
星のように 火花を散らしながら
くるくると回って 歌を歌うよ
ふしぎな色の 歌を
すきとおった 悲しみを
小さなガラスの 魚にして
火をともして 池に放ってみた
すると魚は 水の中で
ぴちぴちはねて 泳ぎながら
歌を歌うよ ふしぎな光の歌を
透明な水が 水晶の板のように
つやめいて そこから虹が立ち上る
夢のようにきれいな七色を織りあげながら
ふしぎな香りを放つ虹が
空に向かってのぼってゆく
ああ 空は深い 菫色だ
すきとおった 悲しみを
ほんの小さな 微笑みにして
君にあげるよ
するとぼくの瞳から
ちいさなすきとおった星が生まれて
君の心臓の中に溶けてゆく
ああ
まだ君はきづかないけど
きっといつか きづいてくれるね
だれだかわからないけれど
自分を愛してくれた人が
いたってことに