what's?? のなんちゃってアスリート日記

陸上競技と筋トレを中心に、日々の生活について書いています。100mで11秒5が当面の目標です。

善き人たれ!

2008-02-11 20:04:04 | 歴史・文学・思想
今日は久々に読書感想文です。少々長いです。
少し前から愛読しているのが、ローマ五賢帝最後の一人マルクス・アウレリウス・アントニヌスの「自省録」という本です。
歴史検定の勉強をしている時に興味をもったんですが、
先日50年振り(!) の改訂版が店頭に並んでいたので即買いしたのでした。
まず驚いたのはその構成です。
十二巻が各々数十章から成るんですが、
一つの章は長くても文庫本の2ページ程度で、一言で終わることも多々あります。
哲学書というよりは日記のような感じで、きちんとした体裁も構成もありません。
「君は」と言って自分に問い掛ける場面も多く、あまり人に読まれることを意識してはいないようです。
ただし主張は首尾一貫していて、くどいくらい同じことが繰り返されます。
まるで自分に言い聞かせるかのように何度も何度も。
彼が苦悩する様子が目に浮かぶくらいです。
長くなりそうなので細かい内容は別の機会に書くことにして…
解説にもありますが、彼の主張はとにかく「善き人たれ」ということです。
人の一生は短いものであるから、取るに足らないこと、富や地位や名声などに惑わされることなく、
また人を憎んだりすることもなくひたすら自己を見つめ直し、善く生きればよいのだと。
皮肉なもので、皇帝という地位は彼に全く正反対のことを課したのでしょう。
彼は戦争が嫌いだったそうですが、国を守るために生涯のほとんどを戦場で過ごしたといいます。
自分がありたいと思う姿と現実とのギャップに苦しむ様子は本文からひしひしと伝わってきます。
こういう文章を読んだのは初めてでしたが、むしろきっちりした構成のものより生々しくて、
今までで一番印象に残る一冊になりました。
自分自身、ものの考え方というものを見つめ直すよいきっかけになりそうです。
50年振りの改訂がなければわざわざ買って読んでいたかどうかもわかりません。
偶然というのは面白いものですが、良いものに出会えて本当によかったです。
長くなりましたが、具体的な内容についてはまたの機会に。
それでは。