10年ほど前に白菜やキャベツを作ったことがある。葉物は消毒用の農薬を使
えないので虫との戦いであった。葉っぱが玉を巻く頃には見事に虫にやられて、
げんなりしたものである。
嫌気がさしてしばらく遠ざかっていたが、ブロッコリーの脇に空いた畝ができた
ので、キャベツを4本植えた。
今度は虫の発生を予防するために、最近使っていなかった寒冷紗を被せた。
ついでにブロッコリーにも。さて効果の程は?
今日は雨。水遣りがいらないので助かる。



(この項終わり)
◇大根一本立ち
今年はシルバーウィークとか言って、サラリーマン諸君は19日(土)から23日
(水)までの5日間が休みになった。高速道路料金が1000円になった所もある
から、車で遠出した人は、渋滞でかえって疲れた人もいたようだ。 「シルバー
ウィークってお年寄りを大切にする週ってことじゃないの」と言ってるお年寄りが
いた。「敬老の日」が入っていたから誤解しても無理はない。周りが年寄りだら
けだから、年寄りなんだからと言って、自分だけ大切にしてもらおうったって無理
だ。せいぜい身内に要求するしかないご時世である。
さて、9月5日に種を播いて、程よく育ったので間引きをした。最初は2本残し
て、その後育ちの良い方を残して一本立ちにした。土寄せをして風で倒れない
ようにする。もちろん間引いた大根菜はゆでて「おひたし」。
なおこの頃の大根菜は柔らかく、油で炒めてご飯に混ぜる「菜っ葉飯」は絶品
でお勧めである。
◇ブロッコリーの青虫
ブロッコリーを育てて毎回苦労するのは青虫対策。どこからともなく蝶が飛んで
きて卵を産みつけるのか、毎朝点検すると1センチくらいの青虫が葉っぱに張り
付いており、これを取るのが日課になる(4本で20匹位はいる!)。
保護色で、葉脈や芯に近いところは見つけ難い。取り忘れるとまるまると肥って、
葉っぱはご覧のように穴だらけになる。
なるべく消毒はしたくないのだが、花芽が着くまではしょうがなくマラソン乳剤を
葉の裏まで満遍なく消毒する。展着剤を混ぜてあるが、雨のあとはまた散布しな
ければならない。
(以上この項終わり)
◇秋大根「秋の彩」
トウモロコシも終わり、インゲンと枝豆を植えた後を耕し、秋大根の種を蒔いた。
大根の畝は十分に深く、土は細かく砕いて耕さないと抜いてみたら二股になっ
ていたりしてがっかりすることがある。別に商品にするわけではないので構わな
いが、耕し方が悪かった証拠になるので見場が悪い。
品種は「秋の彩(いろどり)」。とても大根の品種名とは思えない。なんにでも使
える万能ネームだ。
株間40センチくらいで種を4粒蒔く。ちょっと可哀そうだが、その後の育ち方を見
て、健康優良児を1本だけ残して後は間引く。途中で土寄せをしないと風で倒れた
り曲がって育ったりする。
9月5日に蒔いた種は10日後の今日現在、順調に育ち双葉が出かかっている。
(畝の周囲の白い線は、鳥と猫除けのビニール紐)
◇秋蒔きブロッコリー
やはり枝豆を抜いた後を耕して植えた秋蒔きブロッコリー。自分で種から育て
てもよい、が近くの花屋で 1本63円で苗を売っているので横着だが4本だけ
買って8月30日に植えた。
順調に育って既に株長20センチ。さっそく「オンブバッタ」が葉っぱを食べ始
めた。(小さい方はおんぶした子供ではない。大きいのが雌で、小さいのは雄。)
(以上この項終わり)
◇「最後の陪審員」(原題:The Last Juror)(上・下)
John Grisham著
白石 朗 訳
新潮文庫 2008年1月刊
法廷もの(リーガル・サスペンス)を書かせたら右に出るものがいないのではないかと
思われるほど人気のジョン・グリシャム本を久々に読んだ。
現在53歳という脂の乗り切った作家であるが、年1冊くらいしか書いていないの
で決して多作の方ではないだろう。第1作が「評決のとき」(1988)。初版は5000
部しか売れなかったとか。その後「ペリカン文書」、「依頼人」、「原告側弁護人」、
「陪審評決」、「路上の弁護士」、「召喚状」、「大統領特赦」など話題作をものし殆
どがベストセラーになった。私はほとんど読んだ。娘も大ファンである。
またかなりの作品が映画化されている。
今回の作品はこれまでのリーガル・サスペンスとは若干趣を異にしている。確か
に法廷場面も出てくるが、法廷での緊張する判事・検察・弁護人のやり取りなどは
メインではない。むしろアメリカ南部における白人と黒人の確執、根強い黒人差別
意識、ヴェトナム戦争の傷跡、悪との戦いにおける新聞人(ジャーナリズム)の役割、
裁判における陪審制度の限界といった、裁判制度を取り巻く諸条件に目を向け
て、司法制度の誠実な運用だけではとうてい乗り越え難い困難な問題を浮き彫り
にしているところに特徴があると言ってよいだろう。
主人公はテネシー州メンフィス生まれだがニューヨーク州のシラキュース大学を
出たての24歳の若造。金持ちのおばさんが出してくれた5万ドルで、ミシシッピー
州のフォード郡クラントンという小さな町の、つぶれかかった小さな地方新聞を買
い取って、新聞編集人になる。
「北部」からやってきた若造は、深南部「ミシシッピー」の田舎町では一挙手一投
足が興味本位で見られ、四苦八苦するが、やがておりしも起こった強姦殺人事件
を機に、これまでと全く違った編集方針で臨んだことから一目おかれたりし、次第
に地域に溶け込んでいく。とりわけ黒人家族や、ヴェトナム戦争帰還兵グループ
との交流などを通じて、地域の諸問題に深くかかわっていくことになる。
かなりショッキングなのは、この町の一角に相当大きな島があり、ある一族だけ
が住み、警察も手が及ばない治外法権的地域となっている。その一族のバカ息子
が起こしたのが件の強姦殺人事件。バカ息子の親は金でアリバイ証人を仕立て
て証言させるが、何せ急ごしらえなのでぼろが出て結局本人も証言台に立つとい
う意外な局面となってアウトになるのだが、犯人は分かっていて、証拠もバッチリ
なのだが、陪審員は有罪とはしながらも殺人の審決ができない。なぜなら法廷で
犯人に「俺を有罪にして見やがれ。いいか、お前たち一人残らず仕留めてやるか
らな。」と脅されたから。
陪審の審決は全員一致でなければいけない。3人の陪審員が死刑に賛成せず
に結局は「終身刑」。
アメリカでは強姦と殺人、死体遺棄、公務執行妨害、麻薬所持、販売等々複数
の訴因で起訴されて有罪となれば、それぞれの罪状毎の刑期が加算され、例え
ば懲役105年といった量刑が可能である。しかし、法定手続きの中で、日本のよ
うにいくつ罪状が重なろうと、重い量刑の法定刑を取るという選択もあるらしい。
これは本書で初めて知った。
恐ろしいのは終身刑があっても刑務所内のルールでたいてい20年くらいで出
所する。模範囚なら10年くらいで出所することもある。本件では金で買収した関
係者が仮釈放審査会を秘密裏に開き仮釈放される。だから「死刑審決など出し
たら殺すぞ」という脅しは十分通用するわけである。
さらなる驚きは、本書では陪審員が続けて2人殺される。ついで郵便爆弾が3
人目の陪審員に送くり付けられ…。仮釈放されたバカ息子が再逮捕されるが…。
驚くべき真相と結末については、読んでのお楽しみ。
ジョン・グリシャムは自身弁護士なので、アメリカ司法制度のいいところも、悪い
ところも十分知りつくしておるからこそ、この問題点を浮き彫りにする作品が書け
る。
(最近作は、初めてのノンフィクション「無実」2008年ゴマ文庫)
(以上この項終わり)