読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

花(桜)だより

2022年03月31日 | その他

 花は季節を知り

 古来花と言えば桜花を指すほど日本人の心に深く根差す花です。
 気象庁などの予報通り、関東の一角の当地でも3月25日あたりから桜が咲き始め、
月曜日は急な寒気一休みしたものの火曜日の29日にはほぼ満開となりました。
 昨年はコロナに圧倒されて落ち着いて花詣でもしませんでしたが、今年は新規感染
者もやや下火となったことも安心感を誘い、近場の桜並木などを楽しみました。

   
   柏市新柏の桜並木
 
  柏市光が丘の広池学園の広場
   
   広池学園 中・高等学校の桜並木
 
  広池学園 麗澤大学の構内連絡歩道橋から(1)
 
  広池学園麗澤大学の構内連絡歩道橋から(2)
    
 桜が大好きでその想いを綴った本居宣長は山桜が好きだったようです。
   しき嶋の やまとごころを 人とはば 朝日ににおふ 山桜花

 花はさくら、桜は山桜の、葉は赤くしていて ほそきが、まばらにま
じりて、花しげく咲きたるは、又たぐふべき物もなく、浮世のものとも
思はれず    <玉かつま>本居宣長

 願わくは はなの下にて春死なむ そのきさらぎの 望月のころ
                        西行法師
   花の色は 移りにけりな徒らに 我が身世にふる ながめせし間に
                        小野小町

                      (以上この項終わり)

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春を迎えた菜園の大根と小松菜

2022年03月26日 | 畑の作物

◇ 大根も小松菜もこれがピーク

 桜のつぼみが膨らんできました。明日には5分咲き状態でしょう。
 庭の大根、小松菜はこれ以上もう成長しません。大根はあと花が咲くだけ、放って
おくと
スがいる入るだけです。小松菜も花芽を持った茎が伸びてきました。これが柔
らかでおひたしやみそ汁の実などにもってこいの食材になります。

 この後この畑では連作になりますがトマトが植わります。4月に入ったら耕して連休
前に苗を植える予定です。

  
  小松菜                      大根

  
  伸びきった大根の中心部             直径10センチくらいの大根

                                   (以上この項終わり) 
 

  

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西伊豆・堂ヶ島スケッチ

2022年03月24日 | 水彩画

◇ 堂ヶ島の水域と亀岩・蛇島の風景

      伊豆半島の東側と西側では何となく雰囲気が違う。景色と海の表情が違うのである。
 交通の便があまりよくなく、バスが主体になるので観光客も割と少ない。
 これまで伊豆長岡、畑毛、土肥辺りまでは行ったが堂ヶ島まで足を伸ばすことがなかった。
 今回バスの長旅であったが、海岸の景色が東海岸と違って、手があまり入っておらず、なかなか良かった。
 
 泊まった宿所は海岸(崖っぷち)に近く、露天風呂は豪快に波しぶきが襲い掛かるのでこれまでになく
 楽しかった。
  堂ヶ島の海岸近くには島がいくつもあって、その中の三四郎島(伝兵衛島、中の島、沖の瀬島、高島)では
 宿の露天風呂から近い伝兵衛島(象島)までの2百米ほどの砂州が干潮時に陸続きになって島に渡れるという
 トンボロ現象というものがある。とはいうものの、観光客の望む良い時間帯に姿を現すチャンスはなかなか巡
 ってこない。3月で渡れる潮位30㎝以下の日中のトンボロは20日から4日間しかなかった


  
   堂ヶ島三四郎島とトンボロの砂州の道  右の建物は「堂ヶ島温泉ホテル」と「堂ヶ島
   天遊」である(展望台から)
        vif Art F0

    
   堂ヶ島の亀岩(右)と蛇島(中央)、観光船乗り場(堂ヶ島公園から)  vifArt  F0

                              (以上この項終わり)

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高峰秀子編『おいしいはなし』を読む

2022年03月22日 | 読書

◇『おいしいはなし

 編者:高峰 秀子  1998.11 光文社 刊

 

 編者の高峰秀子自身が名うての文筆家と世に知られてるが、氏が編者として「は
じめに」と題して編者の弁を述べている。これは台所のエッセイとの捉え方で 編ま
れているようである。 

 出典と執筆者の略歴が最終ページに掲載されているが、ちょっと古い方が多いが、
日本の各界で名の知られた22人の人たちが、食にまつわる体験、持論などを披露さ
れていて持っていたイメージから「へーあの方がねえ」といった意外性を含んでい
たりしてけっこう面白い。

 高峰秀子は松山善三の妻であるが、結婚当時1歳年上であるが、お米のとぎ方も
知らないダメ女だったが、「大切な亭主のために」調理場での板前やコックの手元
を覗き込んで真似したそうであるが、肝心の亭主が極度の偏食者で、沢庵やさつま
揚げ、アライや鯉こくもダメ、野菜サラダとカレーライスしか食べなかったと白状
している。
 当の松山善三も執筆者の一人として登場しているが、僕は蟹が好きだ」と蟹とク
エに関わるエピソードと蘊蓄を語り、クエの生ちりを食いたいばかりに足摺岬の突
端にまで来た食い意地の汚い男と言うが自身の偏食はおくびにも出していない。

 面白いと思ったのは、食事は好きでないという方が北野武と中山千夏の二人もい
たこと。どうやら幼ない時期に母親から食事についてきつい指導を受けたことに遠
因があるようである。食事とは人間にあるそこはかとなく恥ずかしい所業である。
余程親しくないと一緒に食事はできない(中山)。食事は残すな、食事時はしゃべ
るなと言われ、箸の使い方で怒られ…(北野)。これだはつらいだけである。

 パリのオムレツの印象が強い石井好子さんはご自慢のスープの作り方を披露して
いる。
 料理のプロである土井勝は意外とシンプルな料理が好きなようで、イワシの梅干
煮、里芋の煮転がし、大根の炒め煮、イワシの窯簿と、鮭の照り焼きなどを挙げて
いる。「料理は腹を立てながら作るとつらくなる。味付けも味が分からなくなる。
楽しく、やさしい気持ちで通ると美味しいようになる」という。

 川本三郎は居酒屋での至福のひと時と酒の肴を、宇野千代は東郷青児のために作
った特性のカレーライスと自家製の薬味のレシピを紹介している。
 その他安野光雅、秋山ちぇ子、沢村貞子、林正明、茂出木心護、水野正夫、宮尾
登美子、山田風太郎、佐藤愛子など諸氏。
                         (以上この項終わり)

 

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中山七里の『能面検事』

2022年03月21日 | 読書

◇ 『能面検事

   著者:中山 七里 2018.7 光文社 刊 

   
 主要な登場人物は大阪地検一級検事不破俊太郎と不破検事付き書記官惣領美
晴。
 不破検事は14年前の東京地検検事時代に、ある立件事案の不始末がきっか
けで敏腕検事ながら「能面検事」の異名をもって呼ばれることになった。

 惣領事務官は新任で名うての辣腕検事に割り当てられて対応に苦悶する毎日。
将来は副検事を経て検事になるという野心をもって書記官の道に進んだだけに、
何とか検事の役に立ちたいと思って口を開くのだが、木で鼻をくくったような
答えしか返ってこない。
 スキのない表情で感情表現に使われる器官はまるで動かない。用事を言い遣
って、何に使うのかと聞いても「自分で考えろ」という。「何度も同じことを
言わせるな」と言われる。他人に厳しいし、部下に厳しい、同僚にも厳しい。
上司にも自分流を通す。直球派である。
 検事は独自の判断で行動する権限を持つ司法機関であるが、やはり検察庁とい
う組織の一員としての指揮を避けられない。しかし上司に対しても頑固にも独自
の流儀を通すのが不破検事なのである。

 不破検事に幼児殺人事件が回ってきた。被疑者は殺人容疑を否認している。不
破と惣領は改めて証拠調べをした結果、前科のある被疑者を見込み捜査で証拠能
力が薄弱なまま警察が送検したことが明らかになる。
 第二の事件。男女二人の殺人死体が発見された。女性はかつてストーカー被害
を警察に訴えていた経緯があり、傷害の前科があるストーカー男が逮捕され、被
疑者否認のまま送検された。
 不破検事が犯罪行為を構成する3要素、動機、チャンス、方法を捜査資料から
確認しようとしたが、物証が見当たらない。不破、惣領の二人が所轄の大阪西成
署を調べつくしても証拠資料は見当たらず、証拠保管箱紛失の疑いが濃厚となる。 

  結局大阪府警傘下の42の警察署はおろか府警本部でも証拠を紛失ししていた
事実が明らかになった。
 大阪府警本部長をはじめ関係者の多くが処分を受け、不破検事は怨嗟の的とな
った。しかし見事な推理と新たな証拠追及、被疑者のアリバイも明らかにして事
件を解決、冤罪となりかかった被疑者を救った。
 
  不破検事は東京地検時代に担当した事件で厳しい試練の事件を味わった。老獪
なDV 事件の加害者の誘導に引っ掛かって被害者の妻の居場所のヒントを漏らし、
手下による拉致殺害を許してしまった。この事件以来不破は相手に内心を探られ
る表情を抑えることに努め、能面検事と呼ばれ始めた。
「相手は質問者の顔色を窺い、洞察力と度量を推し量る。そんな職務に就く者が
徒に感情を表出して務まると思うかね」そうした不破の過去を知った惣領美晴は
粛然とした。

 被疑者に対しても上司に対しても一貫して無表情で対する不破検事は、一服の
清涼剤のような存在であるが、納得できないことには敢然と説明を求めて不破に
立ち向かっていく美晴事務官も一本気で好感が持てる。およそ面白味がないよう
に思える検察庁を舞台にした面白い小説である。
                         (以上この項終わり)

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