◇ 果物の質感
昨日の水彩画教室は夏の果物。時期的にはもう終わりの桃とこれからのりんご。
見た目は似ているが、よく観察すれば桃は果皮にニコ毛があって、ハイライトも柔らかい。
そこへ行くとリンゴは肌がつるつるで、ハイライトもくっきりと際立つ。こうした質感を描き分ける
というのが本日のテーマだった。
リンゴは手前がおなじみの「むつ」、奥にあるのがなんとかという新種らしい。若干いびつな
のがなぜかもっともらしい。
桃はやや小ぶりであるが福島産とか。震災(原発被害)復旧支援とかで福島物はもてる(しか
し訳もなく怖がる人も結構多い)。
それはともかく、桃はニコ毛とはっきりとした桃割れを描きわければ桃に見てくれる。桃色(と
は言ってもいわゆる桃色ではないが)が日当たりの加減か、極端に不均一に色付いているの
が桃らしさでもある。
リンゴは柄本に若さのしるしとして青さが残っている。リンゴの赤い色が線状に残る。瑞々しさ
がどう苦労してもうまく表現できない。姿かたちばかりではなく対象の本質が訴えかけてくれな
ければ単なる写実(リアリズム)に終わってしまう。どれほど習作を続ければよいものか。
Clester F6
(以上この項終わり)
◇ 栃木からの贈り物
昨日妻の古くからの友人Kさんから新鮮な葡萄が届いた。栃木県野木町在住のKさんは昨年も
葡萄を送ってくださって、近くに住む我が家の孫Mちゃんは大好きな葡萄の恩恵にあずかった。今
年も、ちょうど近くに用がある妻が、届いたばかりのブドウと手に入れた梨を、Mのところに持参し
よろこばれた。
届いたブドウは昨年と同じ栃木市大平町下皆川農園のブドウ「種なし巨峰」と「ハニービーナス」。
大平町といえば太平山が桜やあじさいで有名であるが、どうやら大平町は2010年3月に栃木市と
合併していたらしい。大平町には太平山南麓にぶどう団地と呼ばれる百軒を超えるぶどう園がある。
早速添え物に桃を買い求め梨(幸水)と一緒に描いた。
巨峰はブドウ特有の白いコウを吹いている。これをうまく描ければブドウらしくなるのだが、なかなか
そうはいかない。
一粒一粒がそれなりの表情をしているのでそのつもりで描く。梨は皮の表面のつぶつぶを入れると
途端にナシになった。
桃はリンゴのようになって不満。
以前に小生が描いた桃の絵を、母親に「何に見える?」と聞かれたMちゃんが「えっ、りんご?」と
答えて大いにショックを受けた記憶がまだ生々しいので、当分Mにこの絵は見せないようにしよう。
桃は昨年描いた絵の方が桃らしく描けたと思う。
Clester F6
(以上この項終わり)
◇『束縛』(原題:SHRINK RAP) 著者: ロバート・B・パーカー(Robert・B・Parker)
訳者: 奥村章子
2003.4 早川書房 刊(ハヤカワ・ミステリー文庫)
ロバート・B・パーカーの作品は、スペンサー・シリーズ中心に多分80%は読んでいるが、本書のサニー
・ランドル・シリーズは初めて。
サニー・ランドルは30代半ばの女性探偵。美人で向こう気が強い。父親も元警官だった。バツ一だが、
いまだに元夫が忘れられずに、愛犬ロージーを介してしょっちゅう会っている。その元夫リッチ―に新しい
彼女が出来て、美人でおまけに人柄も悪くないことから嫉妬心が昂じて戸惑っている。
サニーは女流作家メラニーの新作販促ツアーに護衛役として付き添っている。メラニーの元夫で精神科
医のメルヴィンがストーカー行為を繰り返しており、身の危険を感じているからだ。
メラニーはかつてメルヴィンの患者だった。なぜか頑強に経緯の説明を拒むのだが、診療の過程で心理
的拘束をうけるようになった暗い過去があるらしい(題名の「束縛」の由来)。
メルヴィンのストーカー行為を止めさせるには何やら怪しげな診療をしているらしい彼の実像を暴くしか
ないと張り込みを続けているうちに、女性患者の死亡、サニーへの脅迫などが立て続けに起きて…。
パーカーの作品は語り口が独特で洒落た会話も好ましい。サニー・ランドル・シリーズも軽快なテンポで、
サニーの小気味よい軽口もアメリカ女性らしくて好感が持てる。虎穴に入らずんばと、患者としてメルヴィン
の診療を受けているうちに、エディプスコンプレックスを指摘されてあわてるなど可愛いところもある。
「素敵だと思う男はみんなゲイなのよね、で、ゲイじゃない男はろくなのがいないわ」には笑ってしまうが、
アメリカでは案外的を得ているのかも。
サニー・ランドル・シリーズの前作は「二度目の破滅」(2000)、「家族の名誉」(1999)。
(以上この項終わり)
◇ 到来物の岩牡蠣(産地不詳)
昨日知人から岩ガキを戴いた。岩ガキの旬は夏。「夏牡蠣」ともいうらしい。
前にも一度どこかから岩ガキを戴いて食した記憶があるが、殻の開け方はすっかり記憶
の外に置き忘れられていて、インターネットのお世話になった。
ところで産地は何処だろうと聞いたら「聞いてない」。早速携帯のメールで知人の奥様に
問いただしたところ「夫の友人の奥さんが小料理屋をやっていて、そのお店で夫が貰って
来たものなので産地は分からない」とのこと。
勝手に浄土ヶ浜産と信じ込んで戴くことにした。
岩ガキは岩に張り付いて大きくなる。また外見が岩のようなので岩ガキと称される。
大地震・津波前の年の7月に訪れた浄土ヶ浜。青の洞窟を含む湾内巡りでたくさんの岩
ガキを見た。そう言われないと周辺の岩と見分けが付けられない。大きいものは2・30セン
チにも及ぶとか。この度頂いた牡蠣は10センチくらいだった。
岩牡蠣の殻開けのコツは二枚貝の縁を探し当てること。見つかったら強引にそこにオイス
ターナイフを差し込んで貝柱を切るとある。数年に一回食べるかどうかという家にオイスター
ナイフなどあるわけがない。ステーキ用ナイフでも十分。
貝類は敬遠しがち(とくに生牡蠣)の小生がパスしたので、開いた牡蠣はたちどころに
家人の口に消えた(牡蠣に目がない。牡蠣のためなら夫を質に置くことも厭わない口)。
まさに岩 開けるときは軍手使用
ミルフィーユのような殻に裂け目を探す マイナスドライバーでこじ開ける
ナイフを差し込んで貝柱を切る 見事開殻成功
(以上この項終わり)
◇ バラとトルコキキョウと
ロンドンオリンピックのいろんな試合が深夜に及び、サッカーのごときは早暁にまで続くとあって、
いろんな競技に関心のある各々方は寝不足が続いておりいささかばて気味。
そんな中、今回は夏の花を描くということで「バラとトルコギキョウ」がお目見えした。
バラは珍しい緑に近い黄色のバラ。そして紫の色を、花弁の先に遠慮がちに散らしたトルコギキョウ。
花瓶の下にはほおずきが置かれていたが省略。
およそ3時間で描き上げたが、バラもまともに向き合わなければそんなに怖くない。トルコギキョウも
几帳面に描かなくとも特徴をきちんと捉えれば一応それらしく見える。
問題は背景。
花の色と補色関係にある色を混ぜて、花が浮き上がるように、しかし余り強調するとどぎつくなるの
でほどほどに。
花瓶は凹凸の激しいガラス器であるが、まともには描けないので、印象を色だけで表した。
clester F6
(以上この項終わり)