読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

籐のかごにアイビー

2019年04月29日 | 水彩画

◇ 籐の花かごにアイビーを入れて

     
    clester F4

     先週の水彩画教室のテーマは「籐のかご」。
   籐製品には花かごや、花差し、果物入れ、パン入れ、などいろいろありますが、
 今回の選択は「花かご」。
  花の代わりに斑入りのアイビーが投げ入れられています。幾分雑な編み方をした
 花かごですが、それにもまして雑な描き方になって今更ながら直しようもなく、反
 省しています。多少暖色系の花でもあれば華やいだでしょうが、緑の葉っぱだけと
 いうのもすっきりとしてよいかもしれないと思いました。

                             (以上この項終わり)
  

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伊集院 静の『日傘をさす女』

2019年04月24日 | 読書

◇『日傘をさす女
     著者:伊集院 静 2018.8 文芸春秋社 刊

 

 伊集院静の久々の推理小説。連続して起きた4件の殺人事件に取り組む警視庁捜査一課
の二人の刑事が主役で、いかにも刑事らしいやや権威主義的な立石先輩と、まだ若輩なが
ら人情の機微を踏まえて捜査に当たる後輩刑事草刈のやり取りがほほえましい。

 東京・赤坂の山王日枝神社周辺のごく狭い地域が事件の現場となっている。
 赤坂三業地にある芸者置屋、仕出し料亭。奇しくもそこに青森県旧三廚村の女性らと和
歌山県の鯨漁で栄えた太地町の元砲手らとが接点を持つ。そして政治家や何やらが絡み、
長い時間をかけて複雑な関係が醸成され、奇妙な殺人事件が引き起こされた。
 漁業しか生きる道のなかった青森半島最果ての村と、鯨捕獲の道を断たれた太地町とい
ういずれも歴史のかなたにかすんだ地の男女が、ある日結ばれ、引き裂かれ、事件の種が
蒔かれ育っていった。そんな人生の不思議さを巧みにしっとりとした推理小説に仕上げて
いく手際は、伊集院静らしい。

 ただ山王日枝神社にほど近い高校の生徒が凧(カイト)に興じてビルの屋上に上がると
いう設定や、何度か話に上がる「匂い袋」の匂いが、情事のあとの部屋に感じ取られるな
どといった、不自然な設定にはやや無理している感が否めない。また特定の政治家にべっ
たりの所轄刑事手嶋が思わせぶりな胡散臭い動きをするのであるが、途中でふっつりと姿
を消してしまうのも食い足りない思いがする。
                              (以上この項終わり) 

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スティーヴン・キング 『任務の終わり(上)』

2019年04月21日 | 読書


◇『任務の終わり(上)』(原題:END OF WATCH)

               著者:スティーヴン・キング(STEPHEN KING)
             訳者:白石 朗      2018.9 文芸春秋社 刊

 
 おなじみのスティーヴン・キングの「メルセデス・シリーズ」第3弾。

   2009年のある日、ブレイディ・ハーツフィールドという異常者がダウンタウンの市民
センターに集まった求職者の群れに盗んだメルセデスベンツを暴走させ、突っ込むとい
う事件があった。死者8人、重傷者15人という惨事だった。その後ブレイディはコンサー
ト会場で大規模な爆破事件を起こそうとしたが直前にホーリーに阻止され、脳に重傷を負い
脳神経外科クリニックに入院している。
 これがシリーズ第1弾『ミスター・メルセデス』。

 それから6年。重傷者のひとり、胸から下が麻痺した女性マーティン・スト-ヴァーの母
親が彼女を薬物で死なせ、自ら自殺した。見かけ上は介護に疲れ道連れに心中したように見
えるが、警察を退職しホーリーと共同で探偵事務所を構えたホッジスは、かつての相棒ポー
リーの配慮でこの事件の現場に赴く。そしてホーリーは些細な点から自殺に違和感を覚える。

  マーティン・スト-ヴァーの母親が自殺したという浴槽近くのコンセントには、充電中の
旧型のゲーム・マシン「ザ・ピット」があった。刑事のポーリーとその相棒イザベル(ホー
リーはこの女性刑事ととことん性が合わない)が見逃した証拠物件で、事件の重要なカギで
ある。
 定年間近のポーリーは早く自殺事件で片づけたい。ホッジスはブレイディ・ハーツフィー
ルドは脳の損傷が回復していて仮病を使っているの踏んでいる。最近は検察側も真剣に経過
観察もしていない。そんなクリニックで最近奇妙な出来事(看護師らの連続自殺など)が起
きており、周りはバビノー医師の不審な行動を懸念している。
 実は回復過程でブレイディはテレキネシス(Tellekinesis=観念動力)を身に着けていた。
念力でものを動かしたり、人を自殺に追い込んだりする。
 いよいよスティーブン・キングらしくなってきた。


 一方事件を追うホッジスはこのところ内臓の痛み、食欲不振に苦しめられており、検査の
結果すい臓がんと診断された。余命数か月という宣告。ホーリーにはひたすら隠していたが
ばれてしまった。治療に入る前にこの事件を解明しようと二人は誓い合う。
 そんな二人の動静を監視する男が現れた。ブレイディの連絡員。これをZボーイいう。

 

(以上上巻終わり)
 

                              (以上この項終わり)
 

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庭に咲く春の花々

2019年04月19日 | その他

新緑と咲き誇る花々

 
  滴るような新緑・柿の葉
 
  満開の芝桜
 
  さつき
 
  咲きかかったモッコウバラ
 
  花ニラ
 
  ラナンキュラス
 
  パンジー
 
  白のフリージア
 
  フリージアとクリスマスローズ
 
  クリスマスローズ
 
  白のジャーマンアイリス
                   (以上この項終わり)
 

 

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ジェン・ハーパーの『渇きと偽り』

2019年04月14日 | 読書



◇『渇きと偽り』(原題:The Dry)

   著者:ジェイン・ハーパー(Jane Harper)
   訳者:青木 創   2018.7 早川書房 刊

    

 処女作品ながら英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞をとっただけになかなかサスペンスあ
ふれる作品である。ゆったりとした語り口でありながら、状況としては結構緊迫感を伴っていて
引き込まれながら読み進むことになる。

 舞台はオーストラリア。メルボルンから遠く離れた田舎町キエワラである。二年にわたる旱魃
で農業地帯の住民は誰もが狂いそうになっていた。そんな中主人公のフォークは幼馴染の旧友ル
ークが妻と息子を道連れに心中したとの報を受け、葬儀に出席するために帰郷する。
 生後13ケ月の幼子を残して。彼はほんとに狂ったのか。それとも犯人は別にいるのか。ルーク
の両親に真相究明を懇願されたフォークは、2週間だけ真相を調べてみようと休暇をとる。

 実はこの作品では二つの死を伴う事件の犯人探しが同時進行的に進む。昔フオークがまだ十代
のころ、いつもつるんでいる親しい友人4人組がいた。ルークと、フォーク、グレッチェンとエ
リー。そんな4人組の一人隣家の娘エリーが水死状態で発見された。日記にフォークの名があっ
たことから自殺にしろ何にしろエリーの死に関わりがあるという疑いでフォークとその父親は住
民に白い目で見られ、二人は500キロ離れたメルボルンに逃れたのである。  

 そして20年たったいまなお人々は葬儀に現れたフォークに疑惑の目を向ける。フォークは旧友
のグレッチェンと死因に疑念を抱く警察のレイコーとの助けを借りてルーク家族の死の疑問点を
つぶしていくのだが…。
 思いはいつか20年前の、固い絆で結ばれていたはずの4人組が次第に亀裂を生じていった不穏
なエピソードの思い出に帰っていく。過去の生々しい記憶の再現から事件の真相に迫るところが
痛ましい。
この回想場面の活かし方が実に巧みで、構成の妙に感心する。

 ルークの一家心中事件では意外な犯人が明らかになる。そして川べりの秘密の穴倉から20年前
のエリーの死の真相を明かす日記が現れる。フォークは、凶暴な父に虐げられついに自由を得ら
れなかったエリーのために涙する。

 当初この作品の主題は、青春時代の苦々しい蹉跌のもたらした恐ろしい悲劇と思っていたが、
数年にわたる大旱魃というオーストラリアにとって不思議でもない過酷な大自然の脅威の中で
なすすべもなくもだえる住民。縮じこまる生活とやりようのない苛立ちからコミュニティの些
細なできごとを怒り、嘲笑し、罵倒し、ことを収拾しきれないものにしていくという悲劇を描
こうとした風土性の高い作品でもあると思った。まさに原題の『The Dry』これである。

 次作は2017年にアーロン・フォークが再登場する『Force of Nature』、第3作は2018.10
『Last Man』とのこと。楽しみである。
                               (以上この項終わり)

 

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