読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

透明水彩で朝の食卓を描く

2016年02月28日 | 水彩画

クロワッサンで朝食を

  
     Artenon  F6


  今週の教室では昨年も取り上げた「朝の食卓」。
  クロワッサンとミルクティー。なぜかそこにはコーヒーミルもある。
  お隣のコーナーにはフランスパンのバケットとレモンが2個。こちらも描き甲斐がある。
  わが家の朝食は和食系で、海苔と納豆それにワカメと豆腐の味噌汁といった朝食で、
  昼はともかく、滅多にパンと紅茶または珈琲にはならない。

  そんなわけで、あまりなじみはないが、磁器の紅茶セットとコーヒーミルという器物、
  そしてクロワッサンという食物、組み合わせが絵としてはいい感じである。ここにリンゴ
  やレモンがあればなお良いのかも知れないが、幾分うるさくなるかもしれない。

  紅茶はダージリンのミルクテイ―。コーヒーミルがやや大きすぎたかもしれないしクロ
  ワッサンのパリパリ感がうまく出せなかったきらいがある。

                                       (以上この項終わり)

  

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顔を出した「ふきのとう」

2016年02月24日 | その他

◇ 早めのご登場「ふきのとう

  庭のふきのとうが顔を出した。

  

  

  一昨年のブログを見ると、3月に入って御覧のような姿の「ふきのとう」が顔を出した
 とある(以下2枚の画像)。

  

  

  この年は御覧のようにちょうど程よい姿であるが、今年は下の写真にあるように
 すでに少々とうが立ったようなものもあり、やはり今年の暖冬を物語っている。

  


  さっそく「ふき味噌」、「てんぷら」で早春の香りを楽しもう。


  ほろ苦き 恋の味なり ふきのとう   杉田 久女

   ほろ苦き 思いは遠く 蕗の薹     尾塚 真平

                                       (以上この項終わり)

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高杉 良の『明日はわが身』

2016年02月21日 | 読書

◇ 『明日はわが身』 著者: 高杉 良  1995年4月 徳間書店(徳間文庫)

   

  経済小説、企業小説、あるいはサラリーマン小説といったジャンルがある。企業の経営者や社員、業界・
 経済事件をテーマにした作品を書く作家は結構多い。城山三郎、清水一行、梶山季之最近でいえば真山
 仁、池井戸潤か。高杉良も銀行・証券を初め官庁、自動車、建設、製薬、化学等々フィクション・ノンフィク
 ションと多岐に渡る。
  この作品は、製薬会社のプロパー(外交員)の営業活動が主軸となり、併せて自らの急性肝炎による入
 院体験をリアルに語り、サラリーマンの悲哀を描く。

  主人公は29歳の小田切健吾。トーヨー製薬という東証一部上場の大会社の開発部門で働いていたが、
 同族経営的色彩が濃く、社長の甥が開発部長に就いてから彼の不興を買い、東京営業所のプロパー(セ
 ールス)に左遷される。病院、開業医、大学病院など顧客のご機嫌取りで、まるで奴隷並みにこき使われ
 る。しかし小田切はプロパーも大事な仕事と観念し、ひたすら仕事に励む。
  ひいきにしてくれていた常務もこの開発部長とそりが合わず、アメリカ子会社に飛ばされてしまう。小田
 切は仕事上のストレスから重度の胃潰瘍で吐血し、輸血を受けた結果急性肝炎を発症し長期にわたり
 入院する破目になり、ある日退職勧告を受ける。おかげで婚約にまでこぎつけた女性は去っていく。
  しかし急性肝炎もようやく回復に向かい、親切な看護師(文中では看護婦)に巡り合い、破談からも立ち
 直る。また、左遷された常務はアメリカの企業にスカウトされ、日本法人を設立することになって、小田切に
 スタッフとしての参加を求める。トーヨー製薬に見切りを付けた小田切は、一陽来福と再出発の夢を膨らま
 せる。
  作中、小田切に思いを寄せる美和子という病気(慢性腎炎)の亭主・子持ちのホステスがいて、思わせぶ
 りなシーンが何度かあるのだが、何のために登場させたのかよくわからない。

  ストーリーとしては平凡であるが、製薬業界の「プロパー」という独特の世界の詳細がわかり、左遷、病気、
 退職勧告といった出来事は、サリーマンにとってまさに「明日は我が身」であることを思い知らされ、サラリ
 ーマン小説としては楽しめる。
  高杉良の著作は1976年の『虚構の城』が第1作であるが、本書は1977年に書かれ、第2作である。  

                                                    (以上この項終わり)  

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大沢在昌『語りつづけろ、届くまで』を読む

2016年02月19日 | 読書

◇『語りつづけろ、届くまで』 著者:大沢 在昌 東京下町城東地区の2012.4 講談社 刊

  

  ハードボイルドのエース大沢在昌の「坂田勇吉シリーズ」第3作。多作な作家で、シリーズ
 ものが多い。
 デビュー作で第1回推理小説新人賞受賞の『感傷の街角』が佐久間公シリーズの第1作で
 あるが、有名な『新宿鮫』シリーズなどシリーズ物は11を数える。

  坂田勇吉は著名な製菓会社の営業部勤務のサラリーマン。老人ホームや老人会を回って、
 交流を図りながら新製品の浸透を図るという草の根作戦の一員として東京下町城東地区を
 回っている。おじいさんに教わった将棋などを手掛かりに、そこに入っているNPO法人のメン
 バーらと親しくなった坂田は男勝りの小川咲子に秘かに思いを寄せている。
  
  ボランティアの一人玉井というオカマっぽい男が坂田を販促員の講習会の講師に誘う。こ
 の玉井、実は常習の詐欺師。脱税で稼いだ3億円という金をだまし取って、暴力団に追われ
 ていることを知る。かつて大阪や北海道でも暴力団やロシアマフィアと悶着があった坂田は
 「どうして僕はこんな羽目にばかり会うのか・・・」と思う。
 ところが講習会の打ち合わせに出掛けた会場には死体が・・・。

  坂田の行く先々で暴力団員、偽刑事、ハンパやくざ、本物の刑事などが立ち現れる。脅迫
 や懐柔などに遭いながらも、「一人ですべてができるとは思えない。でも僕が何もしなかった
 らきっと何もかわらない」とまさにハードボイルドの神髄ともいうべきやさしさを発揮しながら、
 追われている玉井を助けるために奔走する。
  そんな坂田を咲子は「ほんとの男だ」と支えようとする。
  
  肩の凝らない本で2日で読み終わった。

                                                     (以上この項終わり)

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天野節子の『氷の華』

2016年02月13日 | 読書

◇『氷の華』 著者:天野節子 2008.6 幻冬舎 刊 (幻冬文庫)

  

  中国経済の減速、原油安の波及、アメリカ経済の不透明感台頭など世の中が動揺している
 さなか、清原の薬物事件、タレントのベッキーさんの不倫騒動、いくめん議員の不倫辞職など、
 下世話な話題で新聞、TVが賑わった。この作品も紆余曲折はあるものの、主軸は夫の不倫
 に怒った妻の復讐譚である。

  先日の日経夕刊で天野節子の作品『午後2時の証言者たち』がある評者にべた褒めされて
 いて読んでみようとリクエストしたがまだ図書館では購入されていなかった。そこで過去の作品
 を読んでみようとこの本と『彷徨人』を借りてみた。
  この作品は著者のデビュー作である。多分渾身の作なのだろう。 筋も登場人物のキャラク
 ターもしっかりしていて無駄も緩みもない。推理小説として好印象を持った。 
  
  資産家で何不自由ない生活を送る瀬野恭子は、ある日の午後夫瀬野隆之の愛人を名乗る
 女から電話を受ける。出張中の隆之は帰ったらあなたと離婚することになっている。お腹には
 赤ちゃんがいる。不妊症のあなたには妻でいる価値がない。郵便受けを見ろという。確かに
 郵便受けには夫を父とする母子手帳が入っていた。
  並はずれて勝ち気で自尊心の高い恭子は不妊症をあげつらい妻として価値がないなどとな
 じられたことが許せない。ただちに相手の住所も付きとめて復讐の殺しに取りかかる。決断力
 といい綿密なカムフラージュの段取りといい、頭に良い女性である。農薬をしかけたジュース
 を呑んだ不倫相手は死んだ。そこに登場するのが粘っこい職人気質の捜査1課の刑事戸田。
  足で稼いだ情報から小さな綻びを見つけ、恭子の犯行を暴きだす。ところが真犯人は別に
 いた。恭子も自分が罠にはめられたことを知っていた。相手は誰だ。・・・

  頭のいい恭子は、夫と共謀した不倫相手の行動を読み切り、二人の心中を装う仕掛けをす
 る。しかしそれも戸田の執念深い追及によって暴かれた。誇り高い恭子は自らの手で死を選
 ぶ。

  この本はドラマ化されたそうですが私は見ていません。
                                             (以上この項終わり)

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