読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

今日は戌の日・水天宮

2008年01月23日 | その他

雪の日の水天宮詣り

 先日は朝雨戸を開けて、思わぬ雪に驚いた。
 たまたま夜にブラジル在住の知人から、「今は夏の気候、29~30度」という
 メールをもらっていたので、早速「今は冬。こちらは雪です。」と返事を書いた。
 世界は広いようで狭い。地球の反対側の人とやりとりしていると本当にそう思
 う。

  
 
 今日は次女が妊娠5ヶ月目に入って、まだつわりが治まらなくてひぃひぃ言って
 いるのだが、どうしても水天宮で「腹帯を・・・」というので、大安吉日ではなく
 戌の日を選んで出かけることに決めた日が今日。あいにく霙から雪という天気
 予報で、「参ったな、よりによって雪とは」といいながら明けてみれば予報は的
 中した。戌の日は動かない。霙の中を若夫婦と落ち合って四人で出かけた。
 
 この雨混じりの雪なのに、やはり「どうせなら戌の日に」と思う人が多いのか結
 構混雑している。御祓いを受ける人たちは、テントの椅子に座って、震えながら
 順番を待っている。我々は御祓い済みの腹帯を戴くだけなので時間はそうはか
 からない。受付で申込書に住所・名前を書いて、その申込書と3千円と引き換
 えに腹帯をもらう。多分申込書は後で一括で御祓いするのだろう。

         
 
 さて、大事な用を済ませたので食事をしよう。予め目星をつけていた「よし梅・
 人形町本店」(http://www.yoshiume.jp)に入った。魚河岸料理と銘打つ老舗で、
 本店のほかに「芳町亭」、「浜町亭」がある。芳町は花街では有名。その芳町
 に住んでいた「うめ」さんが昭和二年に始めたのが「よし梅」。「芳町亭」は女優
 花柳小菊の住居だったところで現在は登録有形文化財になっている。
 人形町本店は大観音寺脇の、風情のある路地を入った所にある。元は芸者
 置屋だったというだけに、店内はなかなか雰囲気がある。二階の、その昔芸者
 さんがお声がかかるのを待っていたのかもしれない部屋で、ビールを飲みなが
 ら天丼、鯵の南蛮漬け定食などを食べた。ビジネス街も近いので、それらしい
 グループが「雑炊定食」、「まぐろづけ定食」などを食べそそくさと帰っていく。

 蛎殻町・人形町・浜町などこの辺には、小体ながらいなせな風情が残る店がい
 くつも残っている。食べ歩いたらはまりそうである。

  

  

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花を描く

2008年01月16日 | 水彩画

可憐な花々

 今回(1月13日)の水彩画教室は、花瓶に活けた花を描きました。
 この時期に咲いている花といえばかなり限られますが、花屋さんの花ばかりは
 全国、世界各地から届けられ、店先にはさまざまな花が並んでいます。今回は
 カスミソウ、白菊、バラ、ガーベラ、女郎花に似た、名を知らない黄色い花、スイ
 ートピー。カサブランカはつぼみだけで残念でした。
 白い花を描くときは、水彩画では油絵と違って、普通白い絵の具は使わないで、
 背景で浮かび上がらせるしかないので苦労します。花も白ではなく、葉っぱや萼
 (がく)片の色、雌しべや雄しべの色などが反射し、緑や黄などが入っていて微妙
 な色合いです。
 結局カスミソウや黄色い細かい花は、色抜きも大変だし、塗り残すことも容易で
 はないので、マスキングで処理しました。

 花を描くときは、花それぞれが「私が一番!」と自己主張するのを、「わかった、
 わかった、そうだよね。」と精一杯きれいに、生き生きと描いてやるのが一番だと
 思います。
 先生には、「背景をペインズグレイにしたのは、お気に入りらしいし、花には無
 難ではあるが、安全を狙わずにいろんな色に挑戦してみたらよい。挑戦を恐れ
 てはいけない。」と痛いところを衝かれましたが、つい好きな色を多用してしまい
 ます。そんなときは平板にならないように所々に少し別の色を加えたり、濃淡や
 にじみを持たせたりして変化を演出するようにしています。

       

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「第四の母胎」

2008年01月15日 | 読書

連続猟奇殺人・妊娠中絶・臓器移植・・・
 (「The Fourth Procedure」第四の母胎 STANLEY POTTINGER著・高見浩訳)
                                 1999年新潮社刊2,700円

 四部構成の本書の驚くべきモティーフは、ミステリアスな物語の展開の挙句、第四部で
 明らかになる。
 ハードカバー本の帯には、「①妊娠中の方はどうか読まないでください。②読了され
 た方は「第四の母胎」の意味を未読の人に明かさないでください」という[お願い]
 がある。そのままこの本のご紹介にも援用させて頂く。
 単にミステリアスであるばかりでなく、ある意味奇想天外な内容であるから。内容に
 は深くは触れられない。

 この本のモティーフは「妊娠中絶」である。男女を問わず、ほとんどの人にとって深
 刻な決断を求められる問題であるが、ここ日本では欧米ほどの論争にはならな
 い。何故なら欧米では宗教的背景があるから、神を信じるのかダーウィンを信じる
 のかを問われる国との違いである。
 米国では中絶の可否について1973年米国最高裁は「ロウ対ウェイド裁判」で、女性
 は受胎後3ヶ月以内に限って無条件に中絶を選択できるとする判決を下した。
 これによって、女性が主体的に自らの身体をコントロールできる権利が確立し、長
 年の論争に法的な決着がついたかに見えた。ところがカソリックを中心とする宗教
 界、共和党保守派などの中絶反対派が猛反発。中絶を行うクリニック爆破、医師
 殺害事件などが続発し、かえって火に油を注ぐ結果となった。自然中絶医が減
 り、中絶手術を受けることが困難となって、もぐり堕胎による悲劇が多発すると
 いう皮肉な状況となった。今も国政選挙や最高裁判事の指名、果ては大統領
 選挙においても、中絶を容認するのか反対するのか、候補者に踏み絵を迫る
 という厳しい状況が続いている。

 このように、米国では中絶問題という極めてデリケートな領域を対象にミステリーを書
 く作家は殆どいなかった。書けばどちらかの側にコミットせざるを得ないという、い
 わばタブーになっていたテーマに真正面から取り組んだミステリーというところが最大
 の評価される点かもしれない。
 多少無理な部分もないわけではないが、速いテンポでストーリーが展開し、それを補
 って余りある。何よりもこの作者は弁護士であり、連邦政府の副局長の経験も
 ある。これが初めての小説とのことであるが、医学的(解剖学的)な部分も中々
 堂にいっている。描写も迫真的で、妊娠中でなくとも、あまりのリアルさに辟易す
 るかもしれない。

 しかし一読の価値あり。

 
 

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久しぶりの写生

2008年01月15日 | 水彩画

◇ 観音寺の梅

 暮れから新年に掛けては、水彩画のお絵かきも自然とお休み。明日は
 水彩画教室の再開とあって、怠けていてはいけないと近所の観音寺に
 出かけた。安楽山観音寺は牡丹で有名だが、梅の古木もあったりして
 中々趣があり、何度か絵を描きに訪れている。この時期は咲いている
 花も少なく、寒いということもあって、参詣客がちらほらという程度で閑
 散としていた。
 本堂とは離れてはいるが小ぢんまりした山門があって、絵の対象として
 は格好な素材で、何度か描いている。今回は主役は山門ではなく、沢
 山の花をつけている山茶花と、今や遅しと出番を待っている梅の古木。
 山茶花の木は大きく花ももう終わりに近く、木の下には散った花びらが
 白く積もっていた。葉は濃い緑で日に当たった部分は白くキラキラ輝い
 ているこれを表現することはかなり難しい。梅はさすがに花はまだ咲く
 のは先だと思うが、枝の先端は赤紫のつぼみが一杯付いていて、ほん
 のりと樹全体が染まっている。
 山茶花はマスキングで白く抜いたが葉っぱのハイライト部分はうまく出来なか
 った。課題である。

  

  

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ビット・トレーダー

2008年01月08日 | 読書

◇第一級のビジネスクライム・ノベル
 [ビット・トレーダー]樹林 伸(きばやし・しん)著 幻冬社1.700円2007.10初版

 「待っている人が多いので、早く返してくださいね」図書館の係員に言われた。
 それにしてもこの本の人気沸騰振りは、この間読んだ田中森一著「反転」に勝
  るとも劣らない。
 多少なりとも株をやった者にとって、身に覚えのあるシーンと感情が気味が悪
  いほど伝わってきてつい読み耽ってしまう。夜更かしをして2日で読み切った。
 米国のサブライムローンの焦げ付きに端を発した世界同時株安とこれに連動した
  金融不安で、このところ株式市場も個人投資家は青菜に塩状態であるが、一
  頃は「デイトレ」とかいってハウトゥ本が出回り、儲かった話ばかりが飛び交っていた。

 この小説の主人公は外車のディーラーの販売員。時間が自由なのでマンションの一
  室を借りて株取引に没頭している。そのきっかけはここでは触れないが、必ず
  しも時間単位の売買ではないのでいわゆるデイトレーナーではない。それなりに業
  界・銘柄研究の上で時間を置いて戦略的に売買に臨んでいるようだ。不明にし
  てはじめて知ったが、「ビット・トレーダー」とはまさに現代の個人投資家を的確に言
  い表している。

 著者紹介を読むと驚く。「金田一少年の事件簿」、「クニミツの政」、「神の雫」など
  人気作品を手がけている漫画作者である。しかし自身で相当株取引を手がけ
  ていなければここまで迫真的な状況を綴ることはできまい。物語活況場面に登
  場する「信用取引、とりわけ「空売り」の怖さは、息詰まる緊張感をもって読者
  に迫る。「見せ板」という業界用語は初めて知ったが、確かに寄り付き前の気
 配値を見ていると、突如現れてトレーダーを惑わせては、立会いが始まる寸前に
  さっと消えてしまう異様な動きはまま見られる。こういったプロないしセミプロの手
  口とあしらい方も出てきて勉強になる。
 ストーリーは読んでのお楽しみであるが、ホストクラブや援交、「ほんまかいな」と思う
 ほどアングラな、人身売買もどきの売春システムが出てきたりして、飽きさせない。
 しかし結末はというと、ハッピーエンドとまでは言わないまでも、思わず苦笑いする
 ほど呆気ないソフトランディングで、惜しい。もう少しシビアな締め方があったのでは
 ないか。

 ビジネス小説が多い作家江上剛氏は「ラストできっちりと「人間ていいな」と思わせ
 るところが、また憎い」と、また松井証券松井社長は「人間という生き物の業が、
 「株式市場」を通じて見事に描き出されている。」と評している。

   
 

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