読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

ナスタチウムを描く

2019年03月29日 | 水彩画

ナスタチゥム(赤)を描く

  
                                                                                    clester F4



 あまり描いたたことがなかったナスタチウム。またの名はキンレンカといってハーブの一種
とか。
 花も葉も食べられるということだが、この色ではちょっと引ける感じである。今日は赤と黄
色の2鉢あったが赤を選択した。
 ほかに紫色のラナンキュラスの鉢もあったがナスタチウムに専念した。

 花びらの繊細な感じを出しきれなかったのが残念。
                                                              (以上この項終わり)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ローレンス・ブロックの『殺し屋ケラーの帰郷』

2019年03月26日 | 読書

◇ 『殺し屋ケラーの帰郷』(原題:HIT ME)
           著者:ローレンス・ブロック(LAWRENCE BLOCK)
           訳者:田口 俊樹   2014.9 二見書房 刊(二見文庫)

  

     殺しの請負業ケラーは殺し屋を引退し、今はルイジアナ州ニューオリンズで結婚、ジェニーと
いう女の子を設け、今やすっかり普通の市民生活に馴染んでいる。住宅リフォームを手掛け、一時は
順調にいっていたが、リーマンショック以降ばったりと注文は減ってしまった。そんなところに殺し
仲介担当だったドットから電話があった。また仕事が入ったが「やる?」と聞かれた。

<ケラーイン・ダラス>
 依頼人の住まいはテキサス州ダラス。おりしもケラーの趣味である切手のオークションがたまたま
そこで開かれるということもあってこれも何かの縁と、殺しを引き受ける。
 不倫の妻を殺し、相手も殺してくれればボーナスを払う。相手が女を殺したという形が作れたらボ
ーナスを二倍にするというおいしい話。仕事はうまくいった。運よくベッドで同衾中の二人を殺しボ
ーナスも手に入れられると意気揚々と引き上げたケラーにドットから電話が入る。「あなたは依頼人
を殺した。ボーナスも入らない」実は依頼人と妻は仲直りをしたので、依頼は取り消しと連絡があっ
た。それをあなたに電話する前にあなたは殺してしまった。同衾中の男は依頼人である夫だったのだ。
えらいチョンボである。

<ケラーの帰郷>
 ずいぶん前に住んでいたニューヨークがらみの殺しの仕事が入った。昔住んでいた住まいの様子を
見に行くと行きつけの料理店の主人が覚えていて驚く。油断がならない。今度のターゲットは大修道
院長だが家に侵入する手立てがなかなか見いだせない。結局高級ウィスキーに薬物を注入し贈り物と
して送り付けた。ジェニーにウサギのぬいぐるみを買って家に帰ると、ドットから請負仕事が成功し
たという電話があった。

<海辺のケラー 
 リフォームの仕事もほとんどなくなって、妻とカリブ海クルーズに出ることにしたとドットに告げ
と、仕事付きでどうだという。
 客船のターミナルに行くとドット派遣の男がいて、「俺は一旦は引き受けたが船が嫌いなので」タ
ーゲットがクルーズ無料招待券につられて現れるから「あんたがやってくれ」という。ただ護衛が二
人付いているという。やれやれ。どうやら富豪ではあるがある事件の証人で証人保護措置によって、
どこかに移住するらしい。ところがターゲットの老人は見事なバストの若いブロンド美人を伴って
乗船し、その女性はあろうことかケリーに流し目を…。殺しのあと相手のイメージを脳裏から消して
いくエクササイズのやり方も紹介されていたりして、私はこの掌編が一番気に入った。


<ケラーの副業>
  ケラーは趣味が高じ、殺しの本業に加えて切手売買の周旋を手掛けることに。3年ほど前に夫を亡
くした未亡人から切手蒐集家だった夫の切手アルバムを売りたいと申し出があった。見るとかなりの
逸品揃いである。25万ドルで買い取っても良いが、もっと高額で買う人がいるかもしれない。知り合
いのディラーに声をかけるので3者の入札で決めてはどうかと提案する。相次いで訪れたディーラー
はそれぞれかなりの目利きで、結局5倍近くの高値で売れた。未亡人は正直者のケラーに感謝し、手
数料のほかにケラーの娘のジェニーのために10万ドルの信託基金を贈るという。
 そんなことがあっても本業の殺しの仕事は待ってくれない。殺しのターゲットはある男。妻は
夫が
愛人を作って
いたことを知り愛想をつかし殺してほしいと依頼してきた。ところがケラーが仕事をす
る前にその愛人の愛人が嫉妬して男の家に放火し、男は焼死した。黙っていればケラーの仕事が完成
したことになるというドットの勧めで報酬をいただいたのであるが、念のために放火現場を確認に行
き、連絡に使った携帯電話機は破棄する。ケラーは几帳面なのである。

<ケラーの義務>
 ケラーの殺しのルールの一つ「子供はやらない」という一線に引っかかる依頼がきた。子供はやら
ないが、子供を殺したいなどという大人は殺してもいいだろう。どんな子供か、会ってみたら切手蒐
集が趣味で結構詳しい。すっかり気に入った。さて彼が相続する遺産を狙っている依頼人は叔父一人
と叔母二人のうちの
一人か二人か三人ともどもなのか。どう消すか手立てはじっくり考えよう。

ケラーはなかなか引退できそうもない。  

 ケラーの趣味の切手蒐集話が少々くどいきらいはあるが、ローレンス・ブロック独特の小気味良い
風刺を効かせた語り口が心地よい。殺しのシーンも極めて淡白で事実を淡々と述べるだけ。
(殺し屋ケリー最後の仕事)を書いたのにまた(ケラーの副業)まで書いたブロック、さて次作はあ
るのだろうか。
                                 (以上この項終わり)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

志駕 晃の『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』を読む

2019年03月20日 | 読書

◇ 『スマホを落としただけなのに  囚われの殺人鬼

                 著者: 志駕 晃 2018.11 宝島社 刊

  

 『スマホを落としただけなのに』の第二部。前作で6人の女性を殺し丹沢山中に
埋めたシリアルキラー浦井光治。神奈川県警に逮捕され割と素直に自供したのに、
その後あらたに発見された死体、長谷川祥子については頑として関連を否定して
いる。
 そこで捜査本部に投入されたのが神奈川県警生活安全部サイバー犯罪対策課の
桐野良一。セキュリティ会社から転職したサイバーセキュリティのプロである。
高度な技術を持つ、悪意あるハッカー(クラッカー)浦井は桐野を好敵手として
みなし、長谷川祥子殺人の犯人として伝説のMを挙げ語り始める。
 
 しばらく鳴りを潜めていたというカリスマクラッカーMの登場で俄然動きが激し
くなる。折しも発生した仮想通貨560億円流出事件を抱えた警視庁は犯人はこのM
の可能性ありとし神奈川県警の協力を求めてきた。
 一方、作中またも「男」という人物が現れて桐野の恋人美乃里に目をつけてなり
すましのチャンスを狙う。果たしてこの男がMなのだろうか。
 長谷川祥子に次いで彼女の友人吉見と身元不明の男性白骨遺体が丹沢近辺で発
見された。浦井の殺人よりも前に起こった殺人事件だ。途方に暮れた神奈川県警
はあろうことか浦井を捜査本部に加え、桐野と共同でダークウェブに侵入し囮捜
査に踏み込む。

 県警ホームページに県警幹部とサイバー担当者家族への殺害予告が載った。
た県警のホームページを見たパソコンはランサムウェアに汚染されてロックされ
た。さらに県内の信号機を皮切りの首都圏の交差点の信号機がすべてロックされ
交通網が大混乱に陥る事態に。
 こうした混乱に乗じて浦井が収容中の県警本部から脱走してしまう。
 さらに美乃里が桐野に成り代わった通話に呼び出され車で大量殺人現場丹沢に
向けて連行されるなどしサスペンスフルな展開が続く。

 このあとMと目された男、仮想通貨盗難事件首謀者、逃亡した浦井の告白など
錯綜したクラッカーと殺人者との関係が一挙に明かされていく急展開。
 いささか乱暴なプロットに顰蹙する面もあるが、ダークウエブ、サイバー犯罪、
アンチウィルス、仮想通貨流出など時流のテーマをまんべんなく取り込んで仕立
てたエンターテイメントとしては評価できる。
                           (以上この項終わり)
 

  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ピエール・ルメートルの『傷だらけのカミーユ』

2019年03月17日 | 読書

◇ 『傷だらけのカミーユ』(原題:SACRIFICES)
            著者:ピエール・ルメートル(Pierre Lemaitre)
            訳者:橘 明美     2016.10 文芸春秋社 刊(文春文庫)

  
  カミーユ・ヴェルーヴェンシリーズ第三作目。(第1作『悲しみのイレーヌ』、第2作『その女アレックス』
     最愛の妻イレーヌを失って5年。運命的な出会いで得た恋人アンヌが宝石店襲撃の強盗犯に襲われ瀕死の重傷を
 負った。カミーユはこの事件で身を切られるような心の痛手を負う。
  実はこの小説は「第一日目」「第二日目」「第三日目」と三部構成となっていることで明らかなように、事件
 発生から犯人逮捕までのわずか3日間の出来事である。その間手に汗を握る緊張感あふれる展開が続き気が抜け
 ない。ノンストップサスペンスといってもよい。

  カミーユはアンヌの大怪我(死体だといわれても仕方ない状態)を気遣いながらも犯人像解明に邁進する。
 カミーユは被害者が自分の恋人だと明かすわけにはいかない。事件の担当を外されるから。右腕と頼む部下の
 ルイは薄々気が付いているが、上司のミシャール部長、友人のル・グエンなどからの不信のまなざしや追及をか
 わしながら、ひたすら犯人捜しに奔走する。
  
傷を負ったアンヌに目撃された犯人は病院まで追いつめ執拗に殺そうと迫る。いまやかけがえのない存在と
 なっているアンヌとの関係を失わないために(この事件が自分の人生を脅かすもののように思えた)(p48)
 巧みにかつ強引に裏の情報網を使いながら真相に迫る。まさに傷だらけ状態となったカミーユの姿が痛々しい。
  事件の犯人らは今年1月に起きた4件の宝石店襲撃事件との関連を疑い、3人組の一人宝石専門の大物ヴァンサ
 ン・アフネルが首犯と断定、行方を捜す。  

  そして終盤。ようやくアフネルを探し当てた。しかしここに至り思わぬどんでん返し。あっという事件の真相
 が明かされる。ルメートル独特のプロットの仕掛けが憎い。 
  第一日目の午前十時。本書の冒頭で強盗傷害事件の一部始終が詳細に描写される。実は思い返せば事の真相は
 ここに隠されていた。そして時折一人称で語る「おれ」の存在。

  原題の『Sacrifices(犠牲)]』の意味は。
カミーユは「あの女性には嘘や裏切りがあったではないか」という
 ルイの問い掛けに答える。「どん底に落ちることになっても、誰かのために何かを犠牲にできるっていうのは、
 そういう誰かがいるっていうのは、悪くないと思う」(p375)
  すでに現代では通用しないもっと古い時代の考え方、家族のために自分を犠牲にするということを重視した
 い作者の意図がうかがえる部分である。
  

  さて、侃々諤々(かんかんがくがく)と喧々囂々(けんけんごうごう)とを取り違えて使うのは昨今珍しくは
 ないが、本作でも「喧々諤々」にお目にかかって「おお」と思った(p57)。編集者も良しとしたのであれば、
 喧々諤々も市民権を得たというわけか。しかし四文字熟語でも意味が全然違うので、上下を勝手に組み合わせて
 は意味が通じなくなる。
  文脈からすると盛んに議論するさまを言っているが、であるとすれば「侃々諤々」であろう。喧々囂々では
 
「沢山の人がやかましく騒ぎ立てるさま」になってしまう。

  ちなみにパソコンでも「けんけんがくがく」と入力すると「喧々諤々」と変換する。嗚呼。     
                                       (以上この項終わり)         

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

早春の伊香保と榛名湖へ

2019年03月15日 | 国内旅行

春は名のみの…風の寒さ
 3年ぶりに伊香保温泉へ。首都圏から割と簡単に行けて良質の源泉かけ流しの湯を楽し
 める温泉です。
 今回は早春の榛名湖の様子を見ようと張り切って出かけたのはいいが…。上野駅で「人
身事故があって高崎線は運転取り止め」との放送が流れて大慌て。グリーン車でのんびり
食事や読書を楽しんでいこうと思っていたのに。急遽1本だけ40分遅れで運転するという
特急「草津1号」に飛び乗って何とか渋川にたどり着きました。(特急だけ運転できると
いう仕掛けはどうなっているのか。不思議である)

 宿泊した宿「森秋旅館」は野口雨情が定宿にしていたという由緒ある旅館で、今や9軒
だけという、源泉から引いた「黄金の湯」をかけ流しできるという老舗。
 草津のような白濁の湯ともまた違った泉質を堪能しました。

   
  昔は「森田館」と言った「森秋旅館」
  
  
  谷川岳など信越の雪山々や遠く南アルプスの山並みなどがくっきりと見えました。

  

  
  
  石段のわきにはこんな横丁も
     
  前回は行けなかった源泉、河鹿橋まで足を伸ばしました。
  
榛名山・榛名湖>   
  翌日は榛名湖へ。流石に標高1091mの地、春は名のみの冷たい風が吹いていました。
  冬は氷結した湖面に穴を掘ってワカサギ釣りをするのが売り物の榛名湖。最近は地球
 温暖化のせいかワカサギ釣りができるほど氷が厚くならないとか。

      お店は数軒空いていましたが、お客さんはおらず、女性の3人連れがバスを待ってい
  ただけ。
   わずか25分の距離を920円というバス代がやけに高く感じました。(群馬バス)

  

  
  標高1381mの榛名山(別名榛名富士)。奥にある白い部分は氷った湖面です。

  

  
  なかなかしゃれた街路灯です。
  榛名湖は典型的な火口湖です。昔は日光戦場ヶ原のように湿原だったと
 思われますが、今はすっかり干上がってこのように蘆の平原です。

  
  

  
  道端にはフクジュソウが。

                 (以上この項終わり)
  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする