読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

山梨県西沢渓谷を歩く

2016年11月21日 | 山歩き

◇「西沢渓谷」の秋
 渓谷歩きというと、いかにも優雅なハイキングのように思えるが、ここ西沢渓谷は
なかなかそうではない。標高差300m、渓谷入口は海抜1,100m、渓谷最高地点海抜
1,390m。笛吹川の源流に沿って巨石や岩場を鎖を伝いながら渡る道が延々と続く。
吊り橋もある。小さいながら渡渉もある。公称全長10km4時間のハイキングコース
とあるが、侮って臨むとえらい目に遭う。特に最後の100mは胸突き八丁と思って差
し支えない。上で見ているとほとんど顎アゴを出して登ってくる。

 ここ西沢渓谷には甲武信岳に登った時に信州側から入り、西沢渓谷入口まで下りた
ことがある。また後年(と言っても8年前)新緑の渓谷を訪ねて歩いたことがある。
その時は七ツ釜五段の滝から上は積雪で登れず引き返したことがある(2008.4.13)。
 その頃はまだ若かったせいかそれほどきついという記憶はない。今回は違った。
最後の胸突き八丁ではさすがに途中立ち止まって、息を整えたりした。歳を取ったの
だ。

 前回歩けなかった旧森林軌道を下った。およそ4km。ほぼ平坦な道をひたすらネト
リ大橋まで歩いた。
 このあたりの紅葉は10月下旬から11月上旬が見ごろという。確かに今回は紅葉
は見たところすでに爛熟の感がした。

<山縣館>
 今回の山歩きの拠点は川浦温泉の一軒宿・歴史と名湯の宿「山縣館」である。
武田信玄公が開発を下知したのが山縣三郎卯右衛尉是影。山縣館の由来である。確か
に笛吹川の渓流に面した岩風呂(「笛吹渓流雅之湯」(混浴))はすばらしい。この
旅館は源泉の湯量毎分1300L(43℃)全湯掛け流しが売り物である。 

 
      山縣館の朝

 
  居室からの笛吹川の渓流

 
  居室から見る山並み

 
  登山口までの渓流・ヌク沢

 
  なれいの滝

 
  二股の吊り橋

 
  魚留の滝

 
    三重の滝

 
    

  
       人面洞

  
     鎖場が続きます

 

  
  龍神の滝

 

 

  
    方丈橋

 
  七ツ釜五段の滝

 



 
   甲武信岳(手前は鶏冠山)

 
    旧森林軌道から見た五段の滝

 
     昭和8年から43年まで活躍したトロッコ
  当時は36kmあった。

 
     廃軌道は現在登山道てなっている

 
     材木を運ぶ軌道の事故絶滅を願う神社の祠

                    (以上この項終わり)


 

  

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋の果物を描く

2016年11月18日 | 水彩画

◇ 恒例の「秋の果物
  静物を描く果物バージョンのパートⅢ。あまり変わり映えはしないものの、リンゴと
 ペアー(洋梨)、アボカド、枝付きのミカン。枝付きがミソで我が家の青島ミカンを持
 ち込んだ。漢字のS 氏はキンカンを持ってきた。青島みかんはまだ十分に熟してい
 なくて青い部分が残っているところがまたいい感じである。
  リンゴはいつ描いてもなかなか満足できない。それはミカンについてもいえるが、
 下地を塗って、まだ十分に乾いていないところに次の色を置くわけであるが、その乾
 き加減をうまく捉えるところがむつかしい。

  
        clester F4

                                                                (以上この項終わり)


  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フェデリコ・アンシャットの『ラスト ウェイ アウト』

2016年11月16日 | 読書

◇ 『ラスト ウェイ アウト』(原題:La Altima salida)
      著者:フェデリコ・アンシャット(Federico Axat)
      訳者:村岡 直子  2016.8 早川書房 刊 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

    アルゼンチン作家の翻訳作品はめずらしい。
 作者は現在も本業が土木技師のようであるが、本書が大4作目とかで、そろそろ作家とし 
 て独立したいとのこと。人間の心の裡外を綿密に綴り抜群の構成力で小説に仕立てる力量
 を存分に発揮してほしい。

  妻と娘たちが旅行に出かけた隙にテッド・マッケイは自分の頭に拳銃を構えた。その時、
 ドアの呼び鈴が。しつこいノックの音に業を煮やしたテッドがドアを開けるとブラピのよ
 うな金髪の好青年がいた。そして「あなたが何をするところだったかわかっています。止
 めるつもりはありません」

  家の中に入った青年はいう「恋人殺しで告発されたが、アリバイが成立した犯人ブレイ
 ンを殺してほしい。そして被害者の家族に、安らぎと公平感をもたらしてほしい。」そし
 て「そのあとウェンデルというあなたと同じ自殺願望の男性を殺してほしい。人に殺され
 た方が家族の心は自殺されるよりは救われるから、本人も知っています」。そうしたら次
 の誰かがテッドを殺してくれるというわけである。つまり自殺共助クラブだというのだ。
 
  この提案を受け入れたことでテッドはとんでもない悪夢へと引きずり込まれる。実は
 テッドは手術不可能な脳腫瘍を患っていて、主治医の勧めでローラという年若いセラピス
 トにかかっている。
  ブレインを殺した後ローラには「悪夢を見た」と報告した。実際テッドは夢か現かわか
 らない幻想にたびたび襲われる。その境界上には決まってオポッサム(フクロネズミ)
 が現れる。ローラはテッドの過去に人に知られたくない過去があると信じて丁寧に解きほ
 ぐしにかかる。

  幻想と現実が入れ代わり立ち代わり述べられて読者は混乱する。迷宮の入り込んで混乱
 するのだが、しかしなんとなく引き込まれる。
  そのうち次第にベールがはがされきて、テッドの学生時代、幼いころの家族関係、父親
 との確執といったトラウマなどが浮かんできて次第に真相が明らかになっていく。

  いたるところに伏線が張り巡らされ、登場人物も登場の度に別の顔を見せたりする。
 小説の舞台がアルゼンチンではなく大好きなアメリカだというのがまた面白い。
 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

畑の作物は今

2016年11月13日 | 畑の作物

◇ 大根
  このところ店頭の青物の価格高騰はひどかった。常連のレタスはもとより、ほうれん草
 ・小松菜・にんじん・キャベツ・春菊など軒並み普段の2倍から3倍の値段になった。
  大根も高かったが少し落ち着いて来た。わが畑の大根の成長も順調である。

  

◇ そらまめ

  10月下旬に蒔いたそら豆の種は、なかなか芽を出さずやきもちしたが、ようやく芽が出た。
 カラスやハトが芽をついばむので、鳥よけ対策が欠かせない。

        

  ◇ ブロッコリー

    5本だけ植えたブロッコリーの苗はどんどん成長し体調40㎝ほどになった。
    ただ収穫は来春になる。

   

    ところで今借りている5坪ほどの畑は、奥の空き地が住宅開発され、我々の菜園用地も道路用地
   に切り売りされることになった。多少はしょうがないかと思っていたら、先月末にこの菜園は来年
   1月末をもって閉園したいとの通知があった。
    長年(20年以上)整えてきた畑と別れるのは残念だが、どうやら宅地のにされるようで、仕方ない。
   今育っている作物も収穫を待たずに廃棄されるかもしれない。可哀そうだが人生とはそんなもんだ。

   (以上この項終わり)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第一級謀殺容疑(J・F・フリードマン)

2016年11月11日 | 読書

◇『第一級謀殺容疑』(上・下)原題:Against the Wind  
  
    著者: J・F・Freedman 1997.11新潮社 刊 (新潮文庫)

  

  リーガル・サスペンスというジャンルがある。スコット・トゥローやジョン・
   グリシャムの作品は好んで読んだが、この作家、J・F・フリードマンは初めてで
 ある。
  リーガル・サスペンスは事件そのものよりも法廷での検事と弁護士の丁々発止が
 面白い。日本の裁判物より陪審員制度のアメリカの作品がやはり面白い。裁判地を
 どこにするか、陪審員をどう選ぶかあたりからサスペンスが始まる。白人・黒人・
 男・女・雇用者・被雇用者・老人・若者、学歴等々。陪審員をどう納得させるかで
 裁判の結果が左右されるから陪審員選びが重要になる。

  これまでは若い弁護士が、あるいは落ちぶれた弁護士が最後に勝利し、めでたし
 めでたしの結末の作品が多かったが、この作品は違う。冤罪の色が濃厚なのに陪審
 員は有罪と結論し、裁判に敗れ死刑判決が確定してしまう。
(これで上巻は終わり)
  下巻から主人公の弁護士ウィル・アレグザンダーの必死の反攻が始まる。珍しい
 構成である。

  ウィルは酒と女に弱い。顧客からのクレームで働いていた法律事務所からはパー
 トナーの座を奪われかけている。家庭も崩壊状態で、全財産を失いかねない離婚話
 が進行中。溺愛する娘は手元から失いかけている。まさに人生の崖っぷちに立たさ
 れているウィルが、名指しで弁護を依頼される。事件は冤罪の色濃く、堅固なアリ
 バイもあって起死回生の意気込みで裁判に臨む。

  舞台はアメリカはニュー・メキシコ州サンタ・フェ。放浪中のヒッピーの惨殺遺
 体が市郊外の山中で発見された。警察は事件発生当時サンタ・フェを通過中だった
 アウトロー・バイカー(暴走族)の4人組を逮捕する。凶悪と不潔の代名詞のよう
 に嫌われていた彼らは格好の容疑者になってしまう。
  逮捕された4人組無実を言い立てて、刑事事件では州内第一人者と目されている
 フィルに弁護を依頼してきた。

  ならず者を脅したりすかしたりしながら状況を聞いていくうちにフィルは彼らの
 冤罪を確信する。何しろアリバイを証明する物証がある。だが検察は現場にいたと
 いう目撃証人リタ・ゴメスと、その証言を裏付ける鑑定証人を立て反論する。しか
 し悪いことに嫌われ者のアウトロー・バイカーに対する予断と偏見は強力で、陪審
 員の審判は「有罪」だった。

  さて、有罪判決でバイカーの4人組は刑務所に収監された。失意のウィルは収監
 されている4人組に会いに行くが「何かいい知らせは?」と聞かれても首を横に振
 るしかない。上訴の要件は厳しく、再審の実現は普通千分の一しかないのだ。 
  
  弁護団の一人だった美人で有能な弁護士メアリー・ルーは今やウィルの新しい恋
 人。そのメアリーが決定的な証人であったリタ・ゴメスを探し出してきた。リタは
 裁判終結後忽然と姿を消していた。そのリタが現れ自分の行った証言は警察の仕組
 んだ偽りの内容だというのだ。

  ウィルとメアリーはリタの供述調書を作り、再審請求の可否を問う審理を求めた。
 リタは誰にも知られないところに匿った。ところが審理予定当日リタは姿を消して
 しまう。
  ウィルとメアリーは必死になってリタを探し回る。裁判官の心証を悪くしたウィ
 ルらは、4人組の無罪を決定的に裏付ける証拠でも出ない限り再審請求審理は無理
 だとあきらめかける。

  そんな時4人組収監の刑務所で暴動が起きる。刑務所看守など12人が人質にな
 った。州知事はじめ検察、警察が頭を抱えている中、4人組の頭ローン・ウルフが
 受刑者をまとめ評議会を作った。刑務所内の待遇改善を求めるが、交渉相手は弁護
 士のウィル以外は受け付けないという。決死の思いで乗り込んだウィルはローン・
 ウルフとのタイアップで見事人質の解放に成功する。ウィルは一躍ヒーローである。

  テレビでこの騒ぎで活躍したウィルを見たリタが再び連絡してきた。今度こそ警
 官に強要されて偽証したことを証言するという。また、遠く離れたウエスト・バー
 ジニア州の片田舎の保安官から事件の犯人は自分だという男がいると電話してきた。
 飛行機で飛んで話を聞くと真犯人との心証を得た。今度こそ再審請求の審理に立ち
 向かえる。

  しかし検察側は偽証をした証人が今度は本当の証言だと言っても信用できないと
 あくまでも反対する。ようやく「俺が犯人だ」という男の証言と凶器のピストルの
 発見で事態は急転直下収拾される。控訴棄却で収監中の4人は釈放された。

  この本の面白さは裁判でのやり取りもあるが、女たらしで酒浸りの中年弁護士
 ウィルが、4人組の裁判を通じて次第に崖っぷちの自分の姿に思いを致し、酒もほ
 どほどにし、女にも自戒し(しかしメアリーがいながら依然として女性にはふらふ
 らするが)徐々に立ち直っていくところだ。

  アメリカの小説ではありがちではあるが、読者へのサービスとして男女間のこと
 が必ずと言ってよいほど出て来る。本書でも幾度かかなり際どい部分が出て来る。
 U18の小説と心得て、年頃の娘の居る方はこの本の置き場所に十分注意を払われた
 方がよい。
                             (以上この項終わり)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする