リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

コンクール

2005年12月11日 23時29分55秒 | 音楽系
今日は名古屋ギターコンクールに行ってきました。私はギターを人前で弾かなくなってからもう30年くらいに(あるいはそれ以上かな)なりますので,今の名古屋のギター界の状況はほとんど知りません。個人的に何人かの人を知っている以外はもうほとんどおつきあいもなくなってしまいました。

名古屋のギター専門店ミューズあたりでちょろっとギターを弾くと

「あら,中川さんギターもお弾きになるのですね」

なんていわれてしまいます。(笑)そういや40代以下の人は私がギターを弾いていたということは知るはずもないですからね。

大昔にこのコンクールの前身,ギター新人演奏会に出たことがありましたが,あのころと比べて今の若い人はどう変わっているかすごく興味がありました。

コンクールは本選から聴きました。6人の若いギタリストが熱演しました。コンクールはコンサートとは随分違う条件で弾かなくてはならないので,ほんとに大変です。以前新人演奏会や古楽コンクールに出たときの緊張感を思い出してしまいました。

6人聴いた感想で一番思うのは,古典の曲(課題曲のソルのメヌエットなど)がきちんと弾けていないことですねぇ,残念ながら。このあたりは30年くらい前とそんなに変わっていないかも。技術的にはしっかりした人ばかりでしたけど。その中で一人だけ古典の曲の語り口を身につけている人がいまして,彼は一位を取りました。

古典とかバロックの曲(あるいはそれ以前)は時代の様式感が必要,というかどんな音楽にも様式というのはあるんですけど,現代の日本人にとってその様式感に距離があるので大変なんですね。演歌のこぶしがはいったヨハネ受難曲のエヴァンジェリストなんて変ですよね。(笑)

クラシックの音楽をするのなら,古典の曲の勉強は必須です。今日はうまく語れなかった人たちもこれからしっかり勉強して,すばらしいソルを演奏してもらいたいですね。