リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

ローデドナイルガットその3

2017年06月24日 07時04分21秒 | 音楽系
新たに注文しましたローデドナイルガットが届きました。今回はわずか1週間で届きました。大体3週間くらいは見ておかなくてはいけなかったのですが、今回は優秀です。もう在庫は充分あるようです。

今回は、前回注文した分で、不良だったものを取り替える分と予備の分を注文しました。それと一番細いCD75も注文して4コースに張ってみました。

今までにわかっている「切れる」問題点はまだ残されていました。つまりCD125がプッツンした問題点は、たまたまその弦の個体の問題ではないようだということが分かってきました。今回注文したCD120もやはりプッツンします。

6コースにCD120を使っていたのですが、音程不良のため交換しましたところ、ペグボックス内にある部分で切れました。例によって切れた弦を、「一重結び引っ張り」をしてみましたところあっさり切れます。ちなみに古いほうのCD120も「一重結び引っ張り」をして見ましたところ切れました。この弦はずっと切れずに使うことができていたのですが、たまたま切れなかったということです。予備に購入した他の2本のCDについても同じ実験をしてみましたが結果は同様でした。

一番細いCD75も切れっ端を使って「一重結び引っ張り」をしてみましたら、これは切れません。他のより太いゲージについても同様のことをしてみましたらやはり切れません。

ということでCD120と125についてはとても切れやすいので注意が必要です。ふつうにセットしたら切れると思った方がいいと思います。近接ゲージのCD115とかCD130がどうなのかは分かりませんが、このことは重大な情報であるのでアキーラに問い合わせてみなくてはいけません。

切れる上限がとても低いと言うことですから対処法としては不要な張力がかからないようにしなくてはいけません。(CD125をアーチリュートに張った結果からすると4.2kgくらいで切れる感じです。バロックの6コースCD120は計算上は3.3kgです。)バロック・リュートの6コースバスはどんな弦をはっても、ナットからペグまでの距離が長いので、ペグを回してもその分で力が吸収されてしまいがちです。CD120,125が切れてしまうのは、ナット部分のフリクションのため、ペグボックス内の部分のテンションだけが上がり上限を超えてしまうからでしょう。本当はそのくらいで切れてもらっては困るのですが。

不要な張力がペグボックス部分の弦にかからないようにするためには、弦をナットのすぐそばあたりからほとんど伸びず耐過重力が高い素材で繋いでやることです。素材としては高強力アラミド繊維「帝人テクノーラ」がいいと思います。そうすることによって、切れずに済む(といいな)と思います。今のところ大丈夫です。帝人テクノーラで繋ぐことにより調弦もしやすくなります。現状では6コース7コースはこういう方法をとったほうがいいと思います。それと6コースは3kgを超えない弦をセレクトした方が無難です。

それからCD75を4コースに張ってみた結果ですが、音色的にはいけると思いましたが精度がよくなくて、開放弦でぴったり合わせることができません。音程もだめです。4本購入したうちの3本がだめでした。あと1本はもう試さず諦めてもともと張ってあったカーボン弦に戻しました。

ということでCD弦はちょっと「危ない」かつ精度もばらつきもある弦ではありますが、回避可能あるいは許容範囲内なので、5または6コース以下のミッドレンジおよびバス弦には音色、安定性ともにとてもいい弦だというのが今のところの結論です。CD弦以外を全てガット弦にするという組み合わせもとてもいいバランスです。実態を正しく認識して使いましょう!