リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

段差

2025年01月03日 15時30分30秒 | 音楽系

ラース・ジェンソンの新作Attiorbato はまだ本格的に弾き込み始めてまだ数日ですが、日に日に音が前に出るようになってきました。(本当はもう少し弾けたはずですが、インフルエンザにかかっていたのでその間はほとんど楽器に触っていません)

ペグのすりあわせも何度もペグコンポジションで調整しつつ回していますのでだいぶこなれてきました。ラースの楽器のペグはもともととても固い(回すのに力が要る)ですが、慣れるとそのほうが安全性が高いので好ましいです。

昨日発注した弦は早くも発送が終わったという連絡が来ました。前回注文したときは忘れていたみたいでこちらから催促したら発送してくれました。それと比べたら大進歩です。そう、やればできるんです!

今回のAttiorbatoは64cm/88cmで長いバス弦との段差が24cmです。弦を弾いた感じではあまり段差感を感じません。片やモーリス・オッティジェー作のフレンチテオルボは75cm/116cmで、41cmの差があり音にかなり段差感がでます。これを解消するためにサヴァレスの巻き弦を6~8コースに張っています。こうすることによって9コースにはいったときの音の段差感はほぼなくなります。

Attiorbatoの場合、バス弦自体が88cmと短めでそもそもガンガン音がならないことに加えて段差が24cmしかないので段差感がでないのだと思います。1~6コースが60数センチの同じような楽器でもバス弦の長さがその倍以上ある楽器がありますが、それだとかなり音の段差感がでるでしょう。

バス弦が100cmを超えると調弦がなかなか大変です。しかもそれが複弦だったりした場合はもうやってられません状態になります。その点私の楽器だと全てのコースのペグに演奏姿勢のままで手が届きます。バス弦のド「迫力」はありませんが、その分扱いは楽です。シングル弦仕様で64cm/88cmにしたのはそういった実用性を考えてのことです。

アマチュアの人で見てくれがいいということでバス弦が160cmくらいあるイタリアン・テオルボを買おうという人がいますが、絶対にやめた方がいいですよ。そういう楽器を弾いている人の演奏を聴いたことがありますがもうバス弦の調弦は放棄しているみたいで狂ったままで弾いていました。まぁそれで気にならないのでしたらそれはそれでいいのかも知れませんが。(聴いている方は気になります)

テオルボならバス弦が110数センチのフレンチ・テオルボで充分すぎるくらい音が出ますし、バス弦の長い楽器をというのなら私の楽器くらいのサイズで充分です。


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