リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

またオルガンコンサート

2005年04月16日 19時37分00秒 | 日記
毎週金曜6時15分に始まるレオンハルト教会のオルガンコンサートですが、最近時間が取れなかったり、あるいはたまに行くとハズレがあったりで、ちょっと足が遠のいていました。今日は、スコラの学生で上手い人が弾くという話を聞いてので、ひさびさに出かけてみました。

プログラムはなかなか興味深いもので、15世紀の作品からバッハまで、それもフランス、ドイツ、イタリアとそろえてありました。演奏者のマルクはフランス人だそうで、そのせいか一番最初のNicolas de Grignyの作品はすごくこなれていい表現をしていました。

2つめはBuxheimer Orgelbuchから選んだ作品です。このBuxheimer Orgelbuchは1470年ころに成立した写本ですが、実はボブの中世リュートのレッスンで資料としてよく使っている本なので、すごく興味深かったです。
あと残りは、フレスコバルディとバッハでしたが、バッハは意外に凡庸だったのでちょっとがっかり。最後の曲なので疲れてきたのかな。(笑)オルガン奏者は演奏中は顔が見えないのですが、演奏が終了して姿を現してMarcの名前と顔が一致しました。彼とは何回か話したこともありましたが、ちょっとシャイな彼です。

以前彼が通奏低音で出た、バッハのカンタータコンサート(プレディガー教会で毎月行われています。これもタダコン)を聴いたことがありましたが、あとで会ったとき、「あの時のコンサートの通奏低音、よかったよ」っていったら日本の人がよくやるように顔の前で手を振り照れ笑いしながら「全然だよ」って言ってました。なんかその言い方やジェスチャーがすごく印象的で興味深かったですね。それ以降他の人と話をするとき、ちょっと意識をして彼らのいろいろな態度を見るようになったんですが、どうも自分は偏見を持っていたようで、彼らも日本人と同じような細やかな心の動きを態度やことばに表すんだということに気づいてきました。

よく、「欧米の人」は皆ものごとをはっきりと主張し、ほめられたときなんかも堂々とにこやかに「おほめにあずかりありがとう」的な態度を取るって信じている日本人が多いようですけど、あれはウソですよ。もちろんそういう人もいますけど、同じ人でも時には照れたり謙遜したりあるいは曖昧だったりすることもあります。こういうのって別に日本人の専売特許じゃないんですね。

ステレオタイプ的に、日本人は主張するのがへただ、言うことが曖昧だ、謙遜はよくない、日本人はコミュニケーション力が低い、日本人の照れ笑いはよくない、それにひきかえ「欧米人」は・・・とよくいう人がいて、多くの日本人はそれを信じているみたいですけど、全く同じとは言いませんが基本的にはそんなに変わらないと思います。「欧米人」でもきちんとした議論ができる人はそう多くないし、それは日本人でも同じですよね。もっとも全然通らない理屈を大きな声で並び立てる程度の悪い人はいますけどね、そういう人ってやっぱり日本人にもいますよね。日本人が「欧米人」に比べて劣っているところが多いという「自虐的」な考えは間違っていると言うことに早く気づいてほしいと思いますね。

ということで話がコミュニケーション論に脱線してしまいましたが、マルク君お疲れさまでした。

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