院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

医療不信の行き過ぎ

2007-06-23 07:23:42 | Weblog
 最近はやや下火になったが、一時、医療不信がはなはだしかった。

 医療不信はゆえなしとしないと私は思う。昔はとんでもない医療が平気で行われていたからである。

 医学教育者からして、医の倫理にもとる者がいた。昔、麻酔事故で患者さんがなくなった。それで訴訟になった。

 私の麻酔科の教授は裁判に出て、被告に有利な鑑定をして、明らかな医療事故なのに責任なしの結果を導いた。

 学生の私が許せなかったのは、その教授(故人)がそれを得々と自慢していたことである。人格的にも問題のある教授だった。

 身内に甘いという面は誰でももっているだろう。だから、その教授は自分の胸ひとつにしまって、裁判のことを語らなければよいのである。

 それを自慢したものだから若い私に嫌悪された。

 以後、医療不信、医師不信が強くなって、マトモなことをやっていても難癖をつける患者さえ出てきた。これは、さすがに行き過ぎだった。

 その結果、産科、麻酔科の医師のなり手がなくなった。

 片方に振れすぎた医療の振り子は、今度は反対側に振れすぎている。もうそろそろ真ん中に戻さないと、わが国の医療はおかしくなるだろう。