院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

音に対する寛容

2007-08-05 08:23:44 | Weblog
 子供のころ繁華街に住んでいた私は、閑静な住宅地に住む祖父母宅に行くと、その静かなことに驚いた。何も音がないのである。静か過ぎて耳鳴りがするほどだった。

 昔は音が少なかった。車も多くはないし、人通りも少ない。

 もっと昔、戦前は音に対して今よりずっと不寛容だった。なんと通りを歩く下駄の音がうるさいと苦情が出た。隣の風鈴がうるさいという話もあったらしい。

 現代は、音に対して極めて寛容である。昔より圧倒的に車が多いが、車の騒音に文句を言わない。隣家のオーディオも我慢してしまう。

 マンションやアパートで階上の世帯のトイレを流す音が聞こえるだろう。それに対しても苦情を言わない。自分の家のトイレの音も近隣に届いているから、お互い様と思っているのだろうか?

 匂いに対しては不寛容なくせに、音に対してはずいぶん寛容になってしまった現代人である。こういう面でも流行があるようだ。

 「タバコの匂いがするタクシーなんて絶対イヤ」と声高に叫んだ中年女は、現在、タバコ排斥運動が盛んだから、言えたのだろう。昔だったら同じ女が「タバコの匂いって憂いがあって好き」なぞと言ったに違いない。