院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

抽象画、抽象彫刻の見方

2008-12-02 08:24:26 | Weblog
 亡父の美術好きのために、私は幼いころから美術館に連れて行かれたことは、いつぞや書いた(2006.10.10)。

 幼い私は写実画の精妙さに驚嘆した。なんでこんなに本物そっくりに描けるのだろうと不思議に思った。

 美術館に置かれる作品だけではなく、当時、全盛を極めていたペンキ描きの映画看板にも驚いていた。近くからみたら粗雑な絵である。でも、遠くから見ると映画スターたちにそっくりなのである。

 でも、美術館でどうしても分からない絵や彫刻があった。それは抽象作品である。それらの作品に特選とか入選とかが付いている。それなら良し悪しがあるのだろう。

 高校の美術の教師は日展の常連だった。実際、本人の作品を上野の日展まで見に行ったこともあった。油彩で具象画だった。でも、どこが良いのか分からなかった。

 高校の美術の最終授業のとき、教師は「今日が最後だから、なんでも自由に質問してほしい」と言った。

 私はさっそく質問した。「僕には抽象画の良さが分かりません。鑑賞のポイントを教えてください」。答えは「君たちが良いと思えば良い。悪いと思えば悪い」という禅問答のようなものだった。

 えーっ?その程度のことなの?私は絶句した。

 もう抽象画や抽象彫刻を勉強することをやめにした。未だに抽象画や抽象彫刻に甲乙を付けることを美術展は止めない。

 私も未だに、それらの甲乙が分からない。抽象画や抽象彫刻を見なくなって何十年になる。今後も見るつもりはない。