院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

警察と医療の違い・女子高生ストーカー殺人事件に寄せて

2013-10-11 06:04:52 | 経済

東京新聞電子版より引用。)

 せっかくストーカー被害を警察に届けたのに、その日に殺害されてしまった気の毒な女子高生の話が問題になっている。警察はなぜ敏速に動かなかったのかと。

 なんの関係もないようだが、じつはこのような国民の感覚が医療費を膨張させている。

 脳外科にたんなる頭痛で来院する人がいる。脳外科医は脳のMRIを撮る。結果は99.999・・%正常だが、10万人に一人くらい脳腫瘍が見つかることがある。

 脳外科医は儲けようと思ってMRIを撮るわけではない。脳外科にまでかかったのに脳腫瘍を見逃されたと世間に糾弾されるのが怖いのだ。どんな珍しい疾患でも見つけるのがプロだろうと責められるのが・・。

 その結果、残りの9万9千999人は、無駄な医療費を支払うことになる。この20年間で国民医療費は2倍になった(19兆円→38兆円)。だが、医者や看護師の数はさほど増えていないし、給料だって上がっていない。医療費の増加分はMRIや腫瘍マーカーなど、コンピュータを含む電子機器会社や、化学検査会社など高度な医学的検査を行う会社が持って行ったのである。医療関係で食べていく人が増えたのだ。

 悲しいかな警察には医療従事者ほどの数がいないし、予算にも限界がある。医療費のように無際限な膨張が許されたならば、警察はすぐさまストーカー被害者をかくまっただろう。だが、そのためのシェルターが必要になるし、シェルターを警備する人員も必要になる。

 ここにあるのは、つまり警察の意識の問題というよりもお金の問題なのだ。