(msn産経ニュースより引用。)
今回の整形外科医院の火災に限らず、都市で火災が起きるとどんな規模の火災でも消防車が一度に30台くらい駆けつける。
消防車がそれだけ空いているということだろう。昔は木造の建物がほとんどだったから、大都市では火災は毎日のように起き、消防車はもっと忙しかったように記憶している。多くても消防車は5台くらいしか来なかったのではないか?
私が名古屋市立の精神科診療所の所長として、新しくその建物を鉄筋に改築したとき、消防署に研修で呼ばれた。消防署の対応はソフトだったが、とにかく火災は消すより前に起こさないという強い意思を感じた。
30年前のことで、世の中ではまだタバコ排斥運動はかすかにしか起こっていなった。それでも、火災の第一原因はタバコの火の不始末ではなく、放火だった。今でもそうだ。
診療所が建ってからも消防署の実地検分があり、細部にわたって指導があった。建物の不燃化とともに、こうした火災を起こさないという姿勢が、今日の消防車の過剰を生んだのだろう。悪いことではない。
今回の整形外科医院の火災での死者数は平成に入って最大だというが、新宿の雑居ビル火災で100人近く死んだのが、ついこの前のような気がする。気が付かなかったが、この25年間、大火事がなかったということだ。
火事は俳句で冬の季語になっている。昔は火鉢や炬燵など、冬にはナマの火を使うことが多くなったからだ。今ではナマの火はコンロくらいにしか使わない。コンロは一年中使うから、火事が冬の季語だと言われてもピンとこない時代になった。