院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

「涅槃経」と「年功序列」

2015-05-28 06:10:05 | 社会
 涅槃経とはブッダがいまわのきわに言い遺した教えを弟子がまとめたものである。その中に、(ブッダの弟子として)入門が一日でも遅い者は早い者を「尊い人」と呼んで敬いなさい、という教えがある。

 つまり、ブッダは弟子たちのコミュニティー(サンガ)に「年功序列」を持ち込んだ。コミュニティーが実力主義、能力主義だと、必ず権力争いが起こることを見越しての教えだと言われている。その効果かどうか、サンガは2千5百年間も滅びていない。

 さいきん、同一労働同一賃金とか成果主義が企業経営に持ち込まれようとしている。グローバリゼーションとやらで、世界の標準に合わせるために年功序列を捨てるのだという。じつは同じことがバブルが崩壊した20年前にも言われたのだが、失敗している。

 たぶん、今回も失敗するだろう。グループで出した成果を誰か一人に帰することはできないからだ。


※今日、気にとまった短歌

  遣り場なきマグマのごときを抑えつつ厨に立ちて片付けなせり (大分市)伊藤さゆり