えぬ日和

日々雑記。第二、第四土曜更新を守っているつもり。コラムを書き散らしています。

・物のやりとり

2018年12月24日 | コラム
 クリスマス・イブが来ても年を取った現在に気にするものは明日の朝よりも明々後日のゴミの日の予定である。だいたいのおつとめ場所が指定している今年の勤め日の最終日28日を過ごした後に「ゴミ箱を空にしてすっきりと」新年を迎えるための掃除の最後のチャンスがクリスマス・イブなのだ。
 外は風が強い。埃がどこの家の窓からも飛び出してゆく。燃えないゴミの日は明日、瓶や缶はとっくに終わり、段ボールはまだ。布もまだ。処分のために動かなければならない日にわざわざ物を増やす行事がクリスマスである。大人になるにつれて、ひょっとしたら大人同士では物を贈りあうのが鬱陶しくなったのかもしれない。だからテレビの特番の大半はその場で消えてなくなるおいしい食事や、その場にモニュメントとして佇み家に持ち帰る必要のない名所ばかりなのだろう。
 邪魔にならないものを贈ることは難しい。ものが邪魔にならないことも難しい。そうしたらこの時期の一番良い贈り物は贈り物をしないことではないだろうか。たとえ贈り物が無くなっても何も思わなくなることは互いが大人になったということなのだろうか。
 汚れる白いおもちゃを手遊びに、細い髪を雲間から差し込む光にすかしながら、母親にしりとりをせがむ電車の隣の席に座った少女には、まだクリスマスの贈り物があるのだろう。

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