行きたいイベントに申し込み、お盆の真っ只中に新幹線を予約した。台風七号が発生する。進路を毎日確認しながら友人や知人に不安を送ったのは今思わなくても申し訳ない行動で、挙句の果てには知人から「行かない後悔より行く後悔、最悪帰れなくなったら拾いにいきますよ」と気楽ながらも骨の入った返信までいただいた。どうしても行きたかったのはイベントの内容もあるが、登壇者の方と直接お会いしたいという理由があった。今の御時世誰かと直接会うことはナンセンスだ。それでも体のある人間である限り、体と体が近くに存在する距離で対話し相手の質量を感じながら話すのはモニターを通すよりも圧倒的に情報を得ることができる。モニターを通せば隠すことの出来たこともばれてしまうが、それはお互い様で、モニターから得られる以上の情報が肉体には存在する。それはたとえば全身のコーディネートであったり、些細な特徴であったり、声色の微妙であったり、雰囲気であったり、いちがいに言語化し辛いものばかりだが、相手の人間を動物的に理解するにはなくてはならないことばかりだ。台風の進路を毎日携帯電話で確認する。扇が広がるように進路は日を追うごとに西へずれ、速度は遅くなり、ちょうどその日は台風の目になった。私は切符を握りしめて眠れない夜から無理やり起床し、駅へ向かって深夜に駅に帰った。台風はまだ海の南の方でじっとしていたが、外国人観光客を含めた上りの列車ははち切れそうなほどぱんぱんに膨らんでいた。
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