大田区池上8丁目に建設予定の大規模店舗(スーパーマーケットやショッピングセンター)が12月8日開催した、大店立地法に定められている説明会に参加しました。
「大店立地法」は、スーパーマーケットやショッピングセンターなどが建設されることによって
【交通渋滞】:来店者の車の利用に伴う周辺への車の影響
【騒音】 :営業に伴う空調や冷蔵・冷凍などの機器、人や車自転車などによる音の影響
【廃棄物】 :店舗から排出されるごみの処理。生ごみなどの臭気策。
その他、照明による影響や放置自転車対策、プライバシーの問題など、生活環境への影響から、「周辺の地域の生活環境を保る」ことを目的につくられている法律です(のはずです。法律制定の目的・趣旨には少なくともそのように書かれています。
経済産業省は、そのリポートの中で、上記のような個別具体的な事象への影響のみならず「街並みづくり」への配慮というまちづくりの観点にまで言及しています。
先日、スーパーマーケットが開催した説明会は、こうした配慮すべき事項などについて周辺住民等に知らせるためのものです。
しかし、説明会は、出店による地域環境の変化に対して「周辺の地域の生活環境を保つ」ために「街並みづくり」のためにどうするかという視点で行われるのではなく、法律に或いは条例に定められたとおり出店計画がなされていることの報告だけでした。
室外機や冷蔵機器からの音はどうなのか、車の出入りによるエンジン音や排気ガスの影響はどうなのか、そうした説明にも東京都の指導の通りと説明します。
広い東京の中で、繁華街であっても、商店街であっても、そして今回のような閑静な住宅街でも一律の要件・基準の下に出店を認め、それをもって「周辺の地域の生活環境を保つ」ことにしているのが現在の大店立地法の実態であることがわかります。
しかも、大点立地法の所管は、国は経済産業省。東京都は「産業労働局商工部地域産業振興課」。大田区は「産業経済部産業振興課」。
「周辺の地域の生活環境」や「街並みづくり」とは全く異なる部署が担当しているのもおかしな話です。
どの地域に出店したとしても同じ基準で出店を認める法律のどこに、法律制定の本来の趣旨が反映されているでしょう。
地方主権といわれていながら、現実には、国が、地域のまちづくりに大きな影響をあたえる部分にまで一律に規制をかけ、自治体が判断することができないのが現状です。
一方で、国に判断を仰ぎ、自身の判断をしてこなかった自治体にも大きな問題があります。
住民は、この説明会によって「周辺の地域の生活環境の保持」がなされるのかどうか知ることができたのでしょうか。
そして、スーパーマーケットの出店によって変わってしまう生活環境をどのような工夫・配慮によってどの程度軽減されうるのか知ることができたのでしょうか。
地方主権は、国で一律に決めることができない、こうした市民生活に密着したきめ細かな対策を自治体でとりうる環境をつくるために進められているものです。国が決めたことだからそのとおりに執行するという自治体・そして議会の姿勢では、区民生活をよりよいものにしていくことはできません。