「呑川の水質浄化と河川管理について」議場で質問した動画はこちから観られます
質問の元になっている原稿はこちらから読めます
地域で呑川の問題に取り組んでいる区民や専門家の皆さんの活動を通じて見えてきた問題について質問しました。
呑川は、もともとは、湧水が流れの源泉でしたが、東京都が昭和35年に呑川を下水道幹線として利用しはじめてから水質が悪化してきています。
水質の浄化対策として、下水処理水が、日量3万6000トン放流されていますが、現在も、呑川の流域では、大量のユスリカ、スカムやオイルボール、悪臭など、河川の汚染に起因した課題は解決されていません。
それは、現在、呑川流域の下水は、汚水と雨水を同じ管で運ぶ「合流式」という方式をとっていることにあります。
一時間当たり3ミリ以上の雨が降ると下水(トイレ・炊事などの生活排水)が呑川に流れ込んでしまうのです。これを、下水越流と言っています。
◆質問その①
呑川の水源は、落合水再生センターからの下水処理水3万6000㌧約98%とそのほとんどを依存しています。
それ以外の水源は、河川の護岸からの湧水が一日45トン。洗足流れから500トンと都営地下鉄の湧水140トンの合計700トン弱にとどまっています。
現在、小池公園では、地域の湧水を集め、池の湧水の循環を確保するための工事を行っています。莫大な工事費用をかけて、工事を行ったにもかかわらず、集めた湧水を排水してしまうのは非常に勿体無い話です。
小池に流入する湧水、日量平均で144㎥を、将来的に、洗足流れから呑川に導水することを考えられないでしょうか。
◆質問②
道路や建物に降った雨を透水性舗装や雨水浸透ますを使って下水に流さず、地面に「染み込ませる」ことは、下水が呑川に流れ込むことを防止することにも、また、湧水を確保することにもなり有効な対策です。
建築物や道路で土地の大部分を占められている都市部において、水を自然の循環に戻すためには、建築物に対し一定のルールを作り誘導していくことも欠かせません。
現在大田区では、1000㎡以上の開発と流域内の集合住宅に対しては、雨水流失抑制対策として貯留施設や浸透施設の設置を指導しています。これを
「面積を更に引き下げる」
「呑川流域内の建築については、面積を引き下げるとともに、集合住宅だけでなく個人住宅も対象とする」などして、水を自然の循環にもどすことが必要ではないでしょうか。
◆質問③
下水道法21条では、越流水が出た直後の水質調査をおこなうことを義務付けていますが現在東京都では呑川についてこれを行っていません。
現状の水質測定さえしていない上に、モデル地区に入っていないことは、区民としても到底納得のできることでは無く、現実の越流対策が遅々として進まない理由のひとつがここにあると考えます。
是非、水質調査とともに、呑川流域の対策が促進されるよう、東京都に強く働きかけていただくことを要望しますがいかがでしょうか。
◆質問④
たとえば、小金井市では、新築・増改築の際市下水道課との協議において、雨水浸透ます設置の協力が求められるため、ほぼ全ての新築建物で雨水浸透ますの設置が行われています。
新築時にの雨水浸透ますの設置を下水道局と連携して建築主に対し指導する仕組みを作ってはいかがでしょうか。
◆質問⑤
久が原の八幡橋(はちまんばし)付近の、現在、鋼矢板(こうやいた)で護岸している部分の補強工事は、鋼矢板を補強するために護岸および川床をコンクリート張りにする方法を採用しようとしています。
平成18年の第四回定例会においてまちづくり推進部長は、「JR蒲田駅付近の呑川の川床をコンクリートで固めてしまってはどうか」という質問に対し、「自然の浄化作用を活性化する効果があるので、できるだけ自然の川床を保全していきたい」と答弁しています。
八幡橋付近の改修工事、さらにいずれ近いうちに実施される新幹線横断地点から下流側の未改修区間の改修工事は、三面護岸のコンクリート張りにするのではなく、そこに、地元住民の要望である生物の生息を念頭にした、自然に近い形での河川改修ができるよう地元自治体として東京都に対して申し入れていただけないでしょうか。
◆質問⑥
区が、呑川の持つ自然の浄化作用を促そうとしているにもかかわらず、東京都が三面護岸張りの工事を採用しようとしてしまう理由のひとつには、都が地元自治体の要望を聞くことなく、河川の整備を行ってしまっていたという問題があるでしょう。
大田区では、1月末から東京都との協議の場である「呑川対策研究会」を立ち上げましたので、是非これを活用していただきたいと思います。
そして、もうひとつ重要なことは、地域住民である大田区民の意見を反映できるしくみが無かったことにあるのではないでしょうか。
呑川を地域に親しまれる川として、また、大田区の核となる地域資源としてどのようにしていくのかを区民・専門家・行政などが協働で進める場として「協議会」を作ってはいかがでしょうか。
◆質問⑦
底に沈んでいる汚濁成分を除去するため、雨天明けの干潮時にフラッシュ放流して堆積物を掃いてしまうことも考えられるかもしれないと浦瀬先生はおっしゃっています。
しかし、現実には、毎年500㎥の泥を機械的に浚渫しているため、周辺の川床が掘られてしまい、下流域より深くなってしまっていてこの川床の形状により、汚濁物質を滞留させる結果を招いています。
現在の単なる浚渫は、かえって悪臭を招く結果になり、無駄な費用を投じていることになります。早急に浚渫の方法を改めるとともに、深くなってしまったJR蒲田付近の川床の形質を改善する必要があると思います。勿論、コンクリートで固めることなく、自然な形で行われるべきことは言うまでもありません。
これらの、効果的とは言えない事業に税金を投入するのではなく、きちんとした調査・データ・根拠の下に呑川対策は進められるべきです。調査は、今年度の予算に入っていますが、信頼できる調査研究所やコンサルタントへの調査を委託すること。そして、その調査結果をもとに、先ほど提案した区民参加の協議会の中でも十分に検討できるしくみを作ることが重要です。