田園調布せせらぎ公園に建物を建設するため、大量の樹木が伐採されました。
最初267本と言っていた伐採数は、その後246本に減らされましたが、それは高木、中木だけで、低木は入っていなかったため、低木含めると、全部で1293本だったことがわかりました。
近隣住民に説明会をしたといいますが、こうした施設整備の発端は、一部の人と大田区が非公式に決めたもので、決める前に広く住民意見を聴取することもしていません。
大田区は、建物建設を請け負った隈研吾事務所に緑化計画の協議や届け出の一切の権限を委任しました。その結果、1293本の樹木伐採が必要になったわけですが、大量に樹木を伐採しなければ、建たない建物だとは、誰も知らされませんでした。
こうした、せせらぎ公園に関わる事業の一連の手続きに、民主的合意形成を求める陳情が提出されました。
大田区と、一部の人たちと、設計事務所とで決めた計画に、住民が違和感を覚えるのは当然です。
以下、奈須りえの、陳情に対する考えです。
元第52号 田園調布の諸事業に関わる住民への丁寧な説明と民主的合意形成を求める陳情
に採択を求める立場から討論いたします。
この陳情は、田園調布特別出張所の移転、富士見会館廃館、せせらぎ公園整備に関わる計画の住民への周知と、納得のいくまで丁寧な説明を行うこと、また、これらに関わる条例制定については、民主的合意形成プロセスを経たうえで、行うことを求める陳情です。
いずれも、行政が行うべき基本であり、極めて当りまえのことです。
この陳情を否決するということは、
住民へは周知しなくてよい、丁寧な説明は要らない、合意形成は民主的でなくて構わないということになります。
実際、この陳情が出た背景には、民主的合意形成を丁寧に行ってこなかった大田区の姿勢があります。
田園調布区域のゆうゆうくらぶ、出張所、富士見会館、せせらぎ公園内施設の玉突きでの整備は、区民の財産でありながら、行政発意により、区域の一部の人たちとの間の話し合いで始まっています。
この進め方について、もともと話に加わっていた町会の元役員もこの進め方は良くないと思うと地域住民の会議で発言しています。
そもそもの始まりが、公平性や平等性など、民主的な要件を備えていなかったということです。
しかも、一部で話し合い、形になって表に上がってきたときには、ほぼ修正できない「決定事項」になっていて、施設建設が始まってはじめて、大量の樹木が伐採されることを知りました。
公園内の樹木の大量伐採を問題だとして説明会に集まった住民に対し、大田区は、その場で、選挙後に再度説明会を開催することを約束しましたが、「大勢来たら困るから」と十分な周知もせずに、説明会を開催しています。
しかも、この5月18日の説明会で、大田区は、秋に再度説明会を開催すると言いました。しかし、住民の声をまとめても、その声に対する返答も出していない現段階、第二回定例会で、公園内の新設施設の設置条例と富士見会館廃止議案と公園条例の改正議案を提出しました。
大田区は、全体の奉仕者として広く住民の声を聞いて住民との合意形成をしながら事業を執行するのではなく、かねてより一部で合意した内容に固執し、公園整備を進めようとしているのです。
過去の議事録を読んでいると、ある時点2000年を少し過ぎたころまでは、大田区も議会も、住民の声に寄り添い、区政を運営し区議会として発言してきたように思います。今の大田区、大田区議会は、誰の意向に従い、誰のために区民の施設や公園の整備をしするのでしょう。
国が、投資利益優先、経済利益優先の政策にかわったことにより、住民に最も身近な自治体大田区までもが、行政権限や議会の権限で、区民の財産やしくみをつかうようになっています。
いくら説明を繰り返したところで、区民の声を施策に反映させなければ、区政と区民の思いはかい離するばかりで区民は納得できません。
陳情の求める当りまえの区政、民主的合意形成プロセスの実現を求め採択を主張いたします。