中央集権の批判の一つは、補助金による誘導でした。
そこで、地方分権にして、地方の財源を厚くして(*1文末に説明)、国の関与を弱めようとしたわけですが、地方分権になって20年が経ちますが、国の地方への関与は強くなっていると感じます。
国税も地方税も私たちが負担する税金に変わりはありませんが、行政や議会の一部は、補助金を使うことを基本的によしとしている傾向があると感じます。
2020年度決算の監査の意見にも、「国庫支出金・都支出金などを積極的に活用したさらなる財源確保、」とありました。
監査事務局に確認したところ、同じ事業をするなら制度をうまく活用して、と言った説明でしたが、事業の有用性や必要性より、もらえるものなら貰って、と言った印象を受けます。
こうした財源への自治体側の意識は、国からも見透かされていて、財源をつけて事業を誘導してきます。
待機児童が増えて問題になった時期に株式会社の保育園が急激に増えたのも、背景には、国の補助金での誘導がありました。
同じ待機児解消でも、私立の認可保育園には補助金をつけたのです。
今年度になって、小金井市で保育園の民営化が提案されたと聞きました。
待機児もほぼ収まってきたこの時期になぜ?と思ったら、人件費や老朽化した園舎の建て替え費用を私立認可保育園なら負担するということなのだそうです。
小金井市は、そのあたりの事情を誠実に説明しています。
公立と私立、総額の税負担に大きな差はありませんが、
そこで働く保育士の給与には大きな差があります。
株式会社の保育園ですと、その差額が株主利益になり
税金で格差を広げる事になってしまいます。
ジニ係数と言って、当初の所得の格差を
福祉でどれだけ是正できるか見る数字があります。
私立でも公立でも、保育園に税金が使われると、
その分、同じように格差を是正したことになりますが
私立保育園をつくれば、低賃金の保育従事者という
新たな格差をまねくという矛盾したことが起きるのです。
民営化すればするほど、格差は拡大しますが、
厚生労働省の数字では、格差が是正されていることになっています。
私たちが、政府の大丈夫に納得がいかないのは、こうした
実態と異なった数字で、大丈夫を作られているからなのです。
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小金井市のHPに掲載されている市の方針から抜粋しました(P3)
公立保育園に係る経費は、国の三位一体改革によって一般財源化されたことに
より、実質、公立保育園と民間保育園とで、国や東京都が負担・補助等する額に
大きな差が生じることとなった。本市においては、このような中にあっても、公
立保育園での保育水準を下げることなく、特別な配慮を必要とする児童の受入れ
をはじめ、地域の子育て支援などに積極的に取り組むとともに、民間保育園の協
力の下、本市の保育水準の向上に努めてきたところである。
しかしながら、待機児童解消のための新規園の開設等による施設整備及び運営
に係る経費の増や、昨今の保育士不足を解消するための保育士の処遇改善等によ
る扶助費の増など、保育に係る予算は急速に増大しており、さらには、「すこやか」
で示した「保育の質のガイドライン」の活用と、今後の保育施策の方向性に向け
て取り組んでいくためには、更なる財政負担が見込まれる。
(P4)
4 公立保育園における課題
⑴ 人材確保の課題
待機児童解消のため、ここ10年で全国的に保育園が急増したことに伴い、公
設・民設を問わず保育士確保が困難となっており、その傾向は都市部がより顕著
である。一方、かねてから課題となっていた保育士の処遇改善が国や都の施策に
よって、特に給料面等での処遇の改善が図られることとなったが、その対象から
公立保育園は除外されることから、公立保育園における保育士等の人材確保は更
に厳しい状況となっている。
⑵ 施設(建物)の課題
公立保育園5園中3園は、築年数が約50年を超えていることから、建物自体
の老朽化はもちろんのこと、保育環境を整えるための大前提となる給排水や空調
設備等の老朽化も進んでいる。これらの不具合や故障による修繕や取替え工事な
ど、維持管理に係る経費も大きな課題となっており、このまま建物の安全性を確
保しつつ現状の建物のままで使用し続けることは、困難な状況となっている。
また、経費面での課題もある。私立保育園の新設については、今後の待機児童
の状況により、その制度が変化していく可能性はあるものの、令和2年度におい
て国及び都の補助制度を活用した場合、市の負担は対象経費の1/16の負担で
ある一方、公立保育園の建て替えについては、国及び都の補助制度がないため、
その全てを市財政(一般財源)から捻出する必要がある
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(*1)三位一体の改革と住民税の定率化(三位一体の改革が大田区(都心部特に首都圏)の保育にどのように影響してきたか )
5%10%13%だった地方税ですが、一律10%になり、高額所得者層は減税になりましたが5%が10%の負担になった所得層の方たちは増税。
国は、
「税金の移し替えなので、所得税と住民税とを合わせた税負担が変わることは基本的にありません。」
(財務省HPより)と説明していますが、平成11年から導入されていた住民税と所得税の税額を一定割合減額する「定率減税」の廃止が同時に行われたことで、実質増税になりました。
注に以下のように書いてあります。
(注) 景気回復のための定率減税措置がとられなくなったことや、皆さんの収入の増減など、別の要因により、実際の負担額は変わりますので、ご留意ください。