ここにひとつの火災を報道する新聞記事があります。
消防車51台出動。8時間後に消火。
大田区の産廃処理施設で火災。
7月2日午前5時15分ごろ大田区城南島3の産業廃棄物処理施設「城南島エコプラント」から出火。鉄筋コンクリート3階建て述べ6422㎡のうち一階約100㎡と中にあったごみ400㎥、ベルトコンベアが二基燃えた。けが人はなかった。また消火するまでの約8時間にわたり、煙が激しく燃え上がったが、現場から約一キロ南にある羽田空港での離着陸に影響はなかった。東京消防庁と東京水上署の調べでは、施設は財団法人「東京都環境整備公社」が管理しており、ペットボトルや金属を破砕する中間処理を行っている。
この火事はテレビでも報道されましたのでご記憶の方もいらっしゃるかも知れません。
7月3日防災課に火事の確認をしたところ、ごみが燃えたという報告を受けました。
新聞報道と防災課からの報告を受け、7月14日(金)環境保全課とのヒアリングを行いました。その際には、7月3日付けの「東京都環境整備公社城南島エコプラントの火災事故について」という環境局名でだしている書類を環境保全課からいただき説明を受けました。書類には搬出ピットのプラスチック廃棄物の一部にも延焼と記載されていましたが、環境保全課は、この部分の記載は誤りであり、コンベアのベルトが焼けてピットに落ちた。ごみは燃えなかったと説明しました。
一般的にプラスチック等のごみを焼却するとその過程で塩化水素ガスや硫黄酸化物、ばいじんやダイオキシン類など大気汚染の原因となる物質が生成されるとされています。そのため清掃工場では高温による焼却、消石灰やカセイソーダを用いた除去設備の設置、触媒を用いた窒素酸化物対策などの様々な大気汚染防止対策を講じているのはご承知の通りです。そのため、こちらからは、燃焼残渣物をサンプリングして成分分析を行い、燃焼によって何が出たのかその物質の特定するための調査を依頼しましたが、環境保全課はそれに対し「分析まで必要かどうか疑問である」と答えています。
「大田区の防災課」の報告と「新聞報道」と「環境局の報告書」と「環境保全課」との内容に大きな食い違いがあったため、東京都環境整備公社が大田区に行う工場事故届出書の提出を待ちました。
公社から大田区に提出したと聞いたためすぐに環境保全課に届出書の閲覧を申し入れましたが、一旦公社から提出された報告書に不備があったため戻して書き直させているということでした。
そこで、最終の報告書が出来上がった連絡を環境保全課から受け取った後に工場事故届出書の開示請求を行いました。開示された工場事故届出書をもとに再度環境保全課とヒアリングを行いましたが、届出書にごみが燃えたという記載がなかったことからその部分を指摘するとごみは燃えなかったという回答でした。
また、調査を求めていたごみは、全量191㌧が既に7月8日(土)に中防埋め立て処分場へ搬出されており、調査のできない状態になっていました。
そこで、8月3日に東京都環境局廃棄物対策課と環境整備公社とに同席していただきヒアリングを行いました。公社の報告では、被害は確認設備機器としてコンベア、破砕機室および破砕設備、磁力選別機、搬出クレーン及びホッパ、電気計装設備等の焼損ということで、環境保全課同様、ごみは燃えなかったということでした。
城南島エコプラントは(財)東京都環境整備公社が事業主体の都内の中小企業から排出される廃プラスチック類、金属くず等の産業廃棄物を中間処理する施設です。
報道のとおり黒煙を上げて長時間にわたり燃えたものが廃プラスチックを含むごみであれば、ダイオキシンなどの有害物質が発生するなど環境や健康への被害を与える恐れがあるため事故発生直後から、当該部署に働きかけてきましたが、環境保全課も東京都環境局も公社もごみは燃えなかったと言い続けてきました。
そこで事実を確認するため、消防署に8月29日開示請求を行いました。その結果、開示された書類には、貯留ピット内のプラスチックごみ100㎥が燃えたと記載されています。それでは、
・どうして公社は環境保全課にごみが燃えていないと報告したのでしょうか。
・環境保全課は、東京都の環境局からの書類にプラスチック廃棄物の一部にも延焼という記載がありながら、何故公社の事故届けをそのまま受け入れたのでしょう。
・また、環境局も一度はプラスチック廃棄物の一部にも延焼と大田区に送ってきていながら、公社同席の場面ではどうして燃えていないという公社の発言を容認したのでしょうか。
・そして、ヒアリングの場面では環境保全課も東京都環境局も環境整備公社もごみは燃えなかったと事実と異なる発言をしたのでしょうか。
環境整備公社と大田区は、城南島で廃棄物処理をしているスーパーエコタウン事業者と同様、環境保全等に関する協定書を締結しています。
協定書は、法令を遵守し環境を良好に保つことや公害の防止に関し測定や記録の提示について定めているものです。
公社は、火災の発生に伴い、直ちに燃焼残渣物の調査をするべきであり、ごみを処分させてはならなかったのではないでしょうか。
また、今回の事故を契機に、協定書に事故の際の大気汚染や有害物質発生に関する環境影響調査などに関する報告を義務付ける項目を追加するべきではないでしょうか。
こうした、事実を隠す、正しく情報を伝えない事業者に対し、それを見抜けないあるいは容認する都や区の体制で、区内における廃棄物処理が安全に操業できるのでしょうか。
7月14日に東京都環境局は、大田区城南島で行っているスーパーエコタウン事業について新たに4事業者を選定しています。選定された事業者の中には、廃プラスチック類のリサイクルをする事業者も含まれています。
スーパーエコタウン事業については、これまでも、大田区に一極集中することによる環境や健康への負荷に対し、東京都が責任を持って対処するよう区として東京都に対し働きかけるべきであるということを都市計画審議会や議会など様々な場面で発言してきました。
今回の事態は、廃棄物処理にかかわる環境や健康への認識が甘く、隠蔽体質を持っていることを示しているもので今後の廃棄物処理に大きな不安を抱かざるを得ません。大田区もそこに加担しているということであれば事態は危機的であり、環境と健康は誰が守ればよいのか暗澹たる思いになります。
第三回定例会で、今回の件について、東京都環境局・東京都環境整備公社・大田区それぞれの、この事故に関する事実関係をいつまでにどのようにし明らかにするのか大田区に求めました。
また、区内に多く存在する廃棄物処理事業者が安全で環境への負荷を極力かけないよう操業していくために、また、万が一の事故などの際の被害を最小限にとどめるとともに、正確な事故情報の収集と公表や再発防止策に取り組むために、今回のことを教訓として区長は大田区として東京都や公社などの事業者にどのように働きかけるのか。また、今後の廃棄物処理に伴う様々なリスクへのコンプライアンス(法令順守)と情報開示、防止策についてどのように取り組むのか改善策についても区に対し求めています。
これに対し。区長は、報告書と私が言っていることは違っている印象を持った。各企業等、法令順守の環境データを公表する要請をしていく。担当のところに来ている書類の矛盾点を正すと答弁しています。
9月21日に質問し、10月12日に再度確認しましたが、三週間が経過していながら、未だに事実関係を明らかにすることが出来ずにいます。
大田区も、東京都も公社も事実を明らかにする気があるのでしょうか。事実はひとつであり、事実関係を明らかにすることに、これほどに時間がかかるとは思えません。
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誰かが、ウソをつくと、組織全体で守るのがお役人ですからね。
情けない!